「ダウン率が5%上がるだけ価格が1万円も高くなる!」
専門外の方がよく驚かれます。
ものによっては5%で5万円以上価格が変わることもあります。
「何がそんなに変わるのか?」
「そこに価値はあるのか?」
こう疑問に感じられるかと思います。
そこで本日は、
- 羽毛布団のダウン率は90%以上がおすすめな理由
- 保温性はダウン率だけでは変わらない理由
- ダウン率90%以上にこだわるなら側生地にもこだわるべき理由
- ダウン率の許容範囲には注意しておくべき点
などについて解説していきます。
ぜひご参考にしてください。
※羽毛と羽根の比率、ダウンパワー、充填量などのスペックを比較した選び方についてこちらのページ「羽毛布団の選び方とおすすめ9選【専門家直伝】」で徹底解説しています。羽毛の充填量だけでなくより網羅的に羽毛布団選びを進めたい方はぜひご参考にしてください。 |
Contents
1. 羽毛布団のダウン率とは
まずは定義から。
ダウン率とは、布団に充填される羽毛(ダウン)と羽根(フェザー)の割合を表した数値です。
羽毛と羽根は似ているようでまったくの別物です。
羽毛(ダウン) | 羽根(フェザー) | |
画像 | ||
風合い | ふわふわ | 芯がある |
保温性 | ◎ | ◯ |
重量 | ◎ | △ |
フィット性 | ◎ | ◯ |
獣臭 | ◯ | △ |
価格 | △ | ◎ |
羽毛はふわふわと軽くて保温性に優れています。
その一方、羽根は羽軸(骨のような芯)があるため、重くて肌当たりが悪く保温性も高くはありません。
そのため単純に、布団布団は羽毛の割合が多ければ多いほど(ダウン率が高いほど)、高品質だとされています。
ちなみに、羽毛布団と羽根布団の定義が、このダウン率により定められています。
- 羽毛(ダウン)の比率が51%以上だと羽毛布団
- 羽根(フェザー)の比率が50%以上だと羽根布団
なお、ダウン100%というものは存在しません。
製造の過程でフェザーが一部どうしても混ざってしまうことから、100%にするのは不可能だからです(市販されている最高値のものは95%のものがほとんどです)。
1-1. 羽毛布団のダウン率は90%以上がおすすめな理由
さあ、そんなダウン率。
どれくらいを目安にすればよいかと言うと、高品質なものをお求めであればダウン率90%以上であることがおすすめです。というのも、羽毛布団の最大の特徴である「軽さ」と「フィット感」を最大限に引き出せるからです。
価格のために妥協をするとしても、ダウン率が80~85%以上あるものにしましょう。
寝心地にうるさい寝具業者の中には「ダウン率は90%以上が絶対だ」と頑なに譲らない方もいますが、一般的な感覚からいえばダウン率が80%あれば十分快適です。ただそれよりも下回ってしまうと、重さが目立ちやすく何のための羽毛布団なのか分からなくてなってしまうのでおすすめできません。
1-2. 保温性はダウン率だけでは変わらない理由
羽毛布団の保温性はダウン率だけでは決まりません。
ダウン率、ダウンパワー、充填量の総合値によって保温性が決まってきます。
- ダウン率:羽毛と羽根の割合。
- ダウンパワー:羽毛の大きさ。大きいほうが保温性が高いです。
- 充填量:羽毛と羽根の量。多いほど保温性が高いです。
ケーススタディです。
以下の2つどちらが暖かいと思いますか。
- ダウン率93%、ダウンパワー400dp、充填量1.0kg
- ダウン率90%、ダウンパワー440dp、充填量1.1kg
ダウン率だけを見るとaのほうが暖かそうですが、ダウンパワーと充填量ではbが圧倒しており、総合的にはbのほうが保温性が高いのです。
そして、絶対に押さえてほしいのが、「良い羽毛布団」を選ぶには、保温性が高すぎず、あなたの寝室の温度に適切なものを見定めるのが重要ということです。
これについては弊社のパートナー企業であるCIL快適睡眠環境研究所が紹介している「羽毛布団のスペック別の適切な寝室の温度例」を参考にしてください。
商品例1 | 商品例2 | 商品例3 | TOG値 | 寝室の温度 | 住居例 | |
ダウン率 | 85% | 12 | 16~18℃ | 年中、冷暖房で 調整されている部屋 | ||
ダウンパワー | 330dp | |||||
充填量 | 1.0kg | |||||
ダウン率 | 85% | 90% | 93% | 13 | 14~16℃ | 気密性の高いマンション |
ダウンパワー | 330dp | 350dp | 400dp | |||
充填量 | 1.1kg | 1.0kg | 1.0kg | |||
ダウン率 | 85% | 90% | 93% | 14 | 12~14℃ | コンクリートの アパートや戸建て |
ダウンパワー | 330dp | 350dp | 440dp | |||
充填量 | 1.3kg | 1.2kg | 1.0kg | |||
ダウン率 | 85% | 90% | 93% | 15 | 10~12℃ | 同上 |
ダウンパワー | 330dp | 350dp | 400dp | |||
充填量 | 1.4kg | 1.3kg | 1.1kg | |||
ダウン率 | 93% | 93% | 93% | 16 | 8~10℃ | 築年数の古い 木造一戸建て |
ダウンパワー | 400dp | 440dp | 440dp | |||
充填量 | 1.3kg | 1.2kg | 1.3kg |
(※TOG値:保温性レベルとお考えください)
1-3. ダウン率90%以上にこだわるなら側生地にもこだわること
「ダウン93%の羽毛布団だから軽くて肌当たりもいいだろう」
こう決めつけてしまうのは早計です。
「羽毛を包む側生地」の品質も同じように高くなくては、ふわっと軽くて肌当たりの素晴らしい寝心地を実現することは不可能です。やや大雑把な説明にはなりますが、60番手以上の綿100%であることを目安にしていただけると良いでしょう。
生地素材 | 生地重量 | 通気度 | 評価 |
綿100% (100番手) | 800g前後 | 3.0cc以上 |
|
綿100% (80番手) | 950g前後 | 3.0cc前後 |
|
綿100% (60番手) | 1100g前後 | 2.0cc前後 |
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綿100% (40番手) | 1300g前後 | 1.5cc前後 |
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ポリエステル30% 綿70% | 900g前後 | 0.5cc前後 |
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ポリエステル85% 綿15% | 750g前後 | 0.5cc前後 |
|
ポリエステルは言語道断です。
蒸れて寝苦しくなりやすいので避けるようにしましょう。
なお、羽毛布団の側生地は、通常の布団のものよりも高い密度で織られています。
細かい羽毛のクズが吹き出さないようにするためです。
そのため、一般的な40番手の綿生地だとやや硬くてゴワゴワした風合いになることがあります。そのような側生地に良質な羽毛を充填してもふわっと軽い寝心地は到底望めません。極端な例ですが、デニムパンツの生地(大体20番手の綿100%)で羽毛を包んでも絶対に気持ちよくないですよね。
羽毛布団というと羽毛のスペックに目が行きがちですが、側生地も一緒に吟味しましょう。
1-4. ダウン率には許容範囲がある
ダウン率には±5%の許容範囲が設けられています。
つまり、ダウン90%と表記されている羽毛布団が実際にはダウン85.5%であっても法的に問題はないのです。指定した数値とドンズバリ同じ数値のものが出来上がることなど、どの分野の製造業でもありえません。そのため、このような許容範囲が設けられているのです。
ただ、記載されたダウン率からほぼブレることなく羽毛布団を仕上げているメーカー・ブランドがあれば、記載されたダウン率の許容範囲の下限ギリギリぴったりに合わせて仕上げているだろうと言われるメーカーもあるのが事実です(悲しいことにそもそも数値自体がデタラメだろうと言われているメーカーがあるのも事実です。特にamazonで販売されている海外から直送されるものは注意です)。
冒頭でも述べたようにダウン率を5%上げるだけでも価格が数千円から数万円変わってしまいます。それほど羽毛原料の価格は高いのです(しかも高騰が続いています)。数値に偽りのない信頼できるメーカー・ブランドのものを選ぶようにしましょう。
最後に
繰り返しになりますが羽毛布団のダウン率にこだわるのなら側生地を疎かにしないようにしましょう。
なお、以下のページで最高の羽毛布団を選ぶために考えるべきポイント(ダウン率、ダウンパワー、充填量、水鳥の種類、側生地の品質など)とおすすめの羽毛布団について解説しています。是非あわせてご参考にしてください。
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