こんにちは、加賀照虎です。
「高反発マットレスってどれも同じに見えるけど、値段はバラバラ…一体何が違うんだろう?」
こうした疑問を感じたことはありませんか?
「高反発」という言葉はよく見聞きするものの、どれを選べばいいのか分からず迷うこともあると思います。
私のような寝具メーカーの人間であれば、スペックを少し確認するだけでその良し悪しがすぐに分かります(スペック非公開のものは論外!)。しかし、業界外の方にとっては何をどう目安にすればいいのかわからず、まるでブラックボックスのように感じられるかもしれません。
そこで本日は、皆さんに安心してマットレスを選んでいただけるように、
- 高反発マットレスと他との違い
- ニーズ別おすすめの高反発マットレス3選
- スペックをもとにした高反発マットレスの選び方
- 購入前によくある質問と注意点
- 高反発マットレスの使い方で気をつけたいポイント
などについて、詳しく解説していきます。
なお、この記事は紹介報酬をもらって書いた案件記事ではありません。内容が長くなってしまいましたが、専門的な選び方についての参考にしていただければと思います。
(動画での解説を追加しました!)
Contents
1. 高反発マットレスとは
高反発マットレスとはズバリ…!
と、いきたいところですが、実は高反発マットレスに定義はありません。
1-1. 高反発マットレスの歴史
始まりは2000年頃です。
ウレタンフォームを使用したマットレスが人気になったため、誰からともなくそれらのマットレスを高反発マットレスと呼ぶようになりました。
種類 | イメージ | 体圧分散 | 反発弾性 | 横揺れ | 通気性 | お手入れ | ||
ノ ン コ イ ル | 高 反 発 ・ 高 弾 性 | 高反発ウレタン フォーム | ◯ | ◎ | ◯ | △ | ◯ | |
ラテックス | ◯ | ◎ | ◯ | △ | ◯ | |||
TPEポリマー | ◯ | ◎ | ◯ | ◎ | ◯ | |||
中 間 | 一般ウレタン フォーム | △ | ◯ | ◯ | △ | ◯ | ||
ファイバー | × | ◯ | △ | ◎ | ◎ | |||
低 反 発 | 低反発ウレタン フォーム | ◎ | △ | ◎ | △ | △ | ||
繊維わた | ◯ | △ | ◎ | ◯ | ◯ | |||
詰 め 物 次 第 | ハイブリッド | – | – | – | – | – | ||
コ イ ル | ボンネルコイル | – | ◯ | △ | ◯ | △ | ||
ポケットコイル | – | ◎ | ◎ | ◯ | △ |
すごい勢いでした。
マニフレックスを筆頭にかなりの人気になったため、コイルマットレスや多層構造のハイブリッドマットレスも高反発マットレスとして打ち出されるようになりました。
その後、2010年頃になってから、ファイバー素材のエアウィーブさんも似たような反発具合だったため、高反発マットレスという触れ込みでアスリートを広告塔に起用して大規模PRを行い、そしてその1~2年後には西川さんがエアーマットレスをリリースしてこれもまた大掛かりな広告を打ちました。
世はまさに大高反発時代でした。
1-2. 当ページでの高反発マットレスについて
とはいえ、最近はめっきり「高反発」と聞かなくなったかと思います。
これには理由があります。
それはウレタンフォーム業界での高反発の基準が変わったため、今まで高反発マットレスだったものがある日を境に高反発マットレスではなくなってしまったのです。
具体的には、以前は反発弾性が15%未満のものは低反発、15~50%のものは高反発、50%以上のものは高弾性とされていましたが、2020年頃の基準変更後には、反発弾性が15%以下のものは低反発、15~50%のものはレギュラー、50%以上のものは高反発とすることとなりました。
【反発弾性とは】ボールをウレタンフォームに落として跳ね返った高さ(跳ね返り率)から反発弾性を求めます。 |
跳ね返り率 | イメージ | 種類 (改訂前) | 種類 (改定後) |
50%以上 | 高弾性 | 高弾性 高反発 | |
15~50% | 高反発 | 一般 レギュラー | |
15%未満 | 低反発 | 低反発 | |
– | ハイブリッド | ハイブリッド |
非常にわかりにくいかと思います。
そのため、当ページでは旧来の呼称に従って15~50%のものを高反発、50%以上のものを高弾性として説明していきます。
その上で、高反発ウレタンフォームだけで作られたマットレスと、高弾性ウレタンフォームなども用いられたハイブリッドマットレスを高反発マットレスとして説明していきます。
なお、ファイバーマットレスやコイルマットレスは選び方のポイントが異なるため、当ページでは高反発マットレスではないものとします。
1-3. 高反発マットレスの特徴
そんな高反発マットレスの特徴です。
理解しやすくするために一般的なファイバーマットレスやコイルマットレスと比較して説明していきます。
高反発ウレタンマットレス | ファイバーマットレス | コイルマットレス | |
画像 | |||
体圧分散性 | ◯ | △ | ◯ |
反発弾性 | ◯ | ◯ | ◎ |
通気性 | △ | ◎ | ◯ |
横揺れ | ◯ | △ | ◯ |
きしみ音 | ◯ | △ | △ |
手入れ | ◯ | ◎ | △ |
水洗い | △ | ◎ | △ |
クリーニング | △ | △ | ◯ |
搬出入・設置 | ◎ | ◯ | △ |
廃棄 | ◯ | ◯ | △ |
価格 | ◎ | ◯ | △ |
高反発マットレスの長所(メリット)
- 寝心地と費用のバランスが良い
- 圧縮梱包のため値段が安め
- 搬入&設置がしやすい
- 揺れやきしみ音がしない
- 手入れがしやすい
- 廃棄しやすい
高反発ウレタンフォームは硬めな印象があるかと思いますが、ファイバーマットレスと違い表面加工によって柔さを持たせられるため寝心地は良いものが多いです。
そして何よりも圧縮梱包ができるため物流コストが少なく、値段が安めなのは嬉しいところです。また、そのおかげで搬入や設置も手軽です。
高反発マットレスの短所(デメリット)
- 通気性があまり良くない
- 水洗いやクリーニングができない
デメリットは少なく上記の2点ですが、とはいえ、マットレスの上に敷きパッドを敷いてしまえばどちらもカバーできます。
つまり、欠点とはいってもあってないようなものです。
敷きパッド | ベッドパッド | ベッドシーツ | トッパー | プロテクター | |
画像 | |||||
役割 |
|
|
|
| |
厚み | 1cm前後 | 2~3cm前後 | 5mm前後 | 3~5cm | 5mm前後 |
温湿度調整 | ◎ | ◎ | ◯ | × | △ |
汚れ防止 | ◯ | ◯ | △ | △ | ◎ |
洗濯 | △ | △ | ◯ | × | ◯ |
体圧分散性 | △ | ◯ | × | ◎ | × |
高反発マットレスの評価
結論、高反発マットレスはかなり使い勝手が良いです。
「万が一のためにマットレスは洗えないと困る」「コイル付きの分厚いマットレスがほしい」などのような特別な考えがない限りは、寝心地、使い勝手、費用などの総合的な観点から高反発マットレスがベストだろうと私は考えています。
2. おすすめの高反発マットレス3線
まず先におすすめのマットレスの紹介です。
これらの中からあなたに合うものを絞り込むためにも、3章での選び方について目を通していただけると良いかと思います。
2-1. 快眠タイムズマットレス【高反発×高弾性×低反発×ベッド仕様】
型・種類 | ノンコイルベッド/ハイブリッドマットレス |
厚み | 20cm |
硬さ | 柔らかめ |
送料 | 無料 |
返品保証 | 60日間 |
サイズ・重量 | シングル: 98×195×20cm・約15.5kg、セミダブル: 118×195×20cm・約18.5kg、ダブル: 138×195×20cm・約21.5kg、クイーン: 158×195×20cm・約25kg |
価格 | シングル: 50,000円、セミダブル: 50,000円、ダブル: 58,000円、クイーン: 66,000円 |
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体圧分散性 | 反発弾性 | 通気性 | 吸放湿性 | お手入れ |
◎ | ◎ | ◯ | ◎ | ◯ |
イチオシです。
ふわふわ低反発、もちもち高弾性、しっかり高反発の三層構造のハイブリッドマットレスです。
高反発ウレタンフォームの上にふわふわ・もちもちのウレタンフォームを重ねることで高反発特有の硬さを和らげてもちふわな寝心地になっています。自社製品で手前味噌ですが、無重力の寝心地でぐっすり快適に寝られます。
2-2. エコラテエリート 三つ折りマットレス【高反発×凸凹プロファイル×床置き】
型・種類 | ノンコイル薄型/高反発ウレタンフォームマットレス |
厚み | 10cm |
硬さ | ふつう~やや硬め |
送料 | 無料 |
返品保証 | 60日間 |
サイズ・重量 | シングル: 98×195×10cm・約7kg、セミダブル: 118×195×10cm・約8kg、ダブル: 138×195×10cm・約9kg、クイーン: 158×195×10cm・約10kg |
価格 | シングル: 19,990円、セミダブル: 22,990円、ダブル: 26,990円、クイーン: 29,990円 |
リンク | 商品ページはこちら |
体圧分散性 | 反発弾性 | 通気性 | 吸放湿性 | お手入れ |
◯ | ◯ | △ | ◯ | ◎ |
「この寝心地でこの価格」と人気の高反発ウレタンフォーム三つ折りマットレスです。
やや硬めな寝心地ながらも凸凹加工により、体への負荷をより少なくサポートします。普通~がっしり体型の人の向いています。また、10cm厚の三つ折り仕様のため、収納が手軽です。自社製品のため恐縮ですが、無駄のない素晴らしいコストパフォーマンスを実感していただけると自負しています。
2-3. エコラテエリート 一枚ものマットレス【高反発×7ゾーンプロファイル×ベッド仕様】
型・種類 | ノンコイルベッド/高反発ウレタンフォームマットレス |
厚み | 14cm |
硬さ | ふつう~やや硬め |
送料 | 無料 |
返品保証 | 60日間 |
サイズ・重量 | シングル: 98×195×14cm・約9.5kg、セミダブル: 118×195×14cm・約11kg、ダブル: 138×195×14cm・約12.5kg、クイーン: 158×195×14cm・約14kg |
価格 | シングル: 23,990円、セミダブル: 26,990円、ダブル: 29,990円、クイーン: 32,990円 |
リンク | 商品ページはこちら |
体圧分散性 | 反発弾性 | 通気性 | 吸放湿性 | お手入れ |
◯ | ◯ | △ | ◯ | ◎ |
上記のエコラテエリートと同シリーズの1枚ものマットレスです。
こちらも「この寝心地でこの価格」と大人気です。低価格のマットレスでベッドの上で使えるものをお求めなら、折り目のないこちらのモデルがおすすめです。厚みが14cmもあるので体重が100kgの大きな人の体でさえもしっかりとサポートします。
3. 高反発マットレスの選び方
それでは次に高反発マットレスの選び方について。
3-1. 適切な硬さ
硬さは最重要事項です。
自分に合うかどうか、快適に眠れるかどうかを左右します。
適度な柔らかさと弾力性があること
まずは適度な柔らかさと弾力性があるものを選びましょう。
- 柔らかさ:体圧分散性
- 弾力性:反発弾性
と、専門的には言います。
これらが適度だときれいな寝姿勢で快適に寝られます。
硬さと弾性が不適当だと眠りが悪くなります。
例えば、マットレスが硬すぎると、腰への圧迫が強くて不快だったり、背中へのサポートがなくて腰を痛める恐れがでてきます。また、弾力性がないと、寝返りがしづらくて寝疲れしやすくなります。
硬さ | イメージ | 評価 |
硬すぎ |
| |
適度 |
| |
柔らかすぎ |
|
表面加工があるものを選ぶこと
具体的な選び方としては、表面加工があるものを選びましょう。
高反発ウレタンフォームはやや硬めです。
表面がフラットだとやや硬すぎる寝心地になってしまう恐れがあります。
フラット | 多層構造 | 凸凹プロファイル |
波型カット | デクビトスカット | ピンホール加工 |
例えば、西川エアーやムアツふとんは凸凹プロファイル加工になっています。
表面を凸凹にすることで柔らかさを持たせているのです。
西川[エアー01] | ムアツ 2フォーム 90 | エコラテエリート | ||||
ニュートン値 | 厚さ | ニュートン値 | 厚さ | ニュートン値 | 厚さ | |
一層目 | 110N | 3cm | 160N | 3cm | 140N | 3cm |
二層目 | 140N | 5cm | 220N | 5cm | 140N | 7cm |
硬さ | ふつう~やや硬め | 硬め | ふつう~やや硬め | |||
画像 |
一見、同じように見えるかと思います。
が、それぞれウレタンフォームの硬さ(ニュートン値)が異なるため、寝心地はかなり違います。西川エアーがふつうからやや硬めなのに対して、ムアツふとんは硬めな寝心地です。
ニュートン値 | 硬さ |
110以上 | かため |
75~110 | ふつう |
75未満 | 柔らかめ |
分厚い高反発マットレスは低反発ウレタンフォームを組み合わせています。
コアラマットレスオリジナルは表面に6cmの低反発ウレタンフォーム、エマ・マットレスは表面に3cmの低反発ウレタンフォーム、快眠タイムズマットレスは2cmの低反発ウレタンフォームの層があります。
| コアラマットレス オリジナル | 快眠タイムズマットレス | エママットレス | ||||||
硬さ | 反発弾性 | 厚さ | 硬さ | 反発弾性 | 厚さ | 硬さ | 反発弾性 | 厚さ | |
1層目 | 70N | 16%(低反発) | 6cm | 40N | 12%(低反発) | 2cm | 70N | 非公開(低反発) | 3cm |
2層目 | 120N | 42%(高反発) | 5cm | 60N | 60%(高弾性) | 4cm | 150N | 非公開(高反発) | 15cm |
3層目 | 200N | 40%(高反発) | 12cm | 160N | 45%(高反発) | 14cm | 120N | 非公開(高反発) | 7cm |
寝心地 | 柔らかい | 柔らかめ | ふつう | ||||||
画像 |
自分に合う硬さは「体型×慣れ×好み」を勘案すること
ここで気になるのが「自分に合う硬さ」だと思います。
これについてはあなたの体型と慣れと好みを総合して考えるようにしましょう。
体型 | BMI値 | 寝心地の相性 | |
太め | 25以上 |
| |
ふつう | 18.5〜25未満 |
| |
細め | 185未満 |
|
がっしり体型の人は硬め、ふつう体型の人はふつうの硬さ、痩せ型の人は柔らかめの寝心地が合うと聞いたことがあるかと思います。
が、大事なのがさらにその上に、慣れと好みもあわせて考えることです。というのも、寝心地が一気にガラッと変わると、違和感のせいで本当は良いはずの寝心地も悪く感じることがあるからです。
なので例えば、今まで硬い寝心地の薄い敷布団で寝てきた痩せ気味の人の場合、「フィット性の良い柔らかいマットレスに変えようかな」と、いきなり教科書通りに柔らかい寝心地に変えるのではなく、まずは一旦、ふつうくらいの硬さ、もしくは若干柔らかめくらいの硬さを選ぶほうが失敗しにくいと私は考えています。
腰痛なら硬めは信じなくてよし
「腰痛持ちだから硬めのマットレスのほうがいいのかな?」
これは正しくありません。
スペインで行われた研究によると、硬いマットレスよりもふつうからやや柔らかめのマットレスのほうが腰痛が和らいだ人が多く、腰痛が悪化した人が少なかったと報告されています。
硬いマットレス | 中程度の硬さのマットレス | |
日中腰が痛む | 77.2% | 67.6% |
ベッドで腰が痛む | 72.2% | 67.6% |
起床時腰が痛む | 77.2% | 62.3% |
睡眠時の腰痛悪化 | 17.1% | 9.0% |
起床時の腰痛悪化 | 12.7% | 6.5% |
3-2. 適切な厚さ
色んな厚みのマットレスがあります。
寝心地と使い勝手を左右するポイントなので、こちらもきちんとポイントを押さえましょう。
種類 | イメージ | 厚み | 評価 |
マットレス トッパー | 3cm |
| |
5cm |
| ||
敷布団/ ノンコイル 薄型 マットレス | 7cm |
| |
10cm |
| ||
ノンコイル ベッド マットレス | 15cm |
| |
20cm |
| ||
コイル スプリング ベッド マットレス | 25cm |
| |
35cm |
|
床で使うなら薄型、ベッドで使うなら厚みがあるもの
最初に考えもらいたいのが高反発マットレスをどう使うかです。
- 床敷き:敷布団のように床に敷いて使うのなら厚さが10cm前後の薄いものがおすすめです。コンパクトな分お値打ちですし、扱いも手軽になります。子供が転落するもありません。
- ベッド:ベッドに載せて使うなら15~20cm前後の厚みがあるものがおすすめです。分厚い分寝心地が良いものが多いですし、ベッドの見栄えも良くなります。床冷えやホコリっぽさがなく睡眠環境は良くなります。
ノンコイル 薄型マットレス | ノンコイル ベッドマットレス | コイルスプリング ベッドマットレス | |
画像 | |||
厚み | 7~10cm前後 | 15~25cm前後 | 20~35cm前後 |
重量 | 4~7kg前後 | 10~20kg前後 | 20~30kg前後 |
寝心地 | ◯ | ◎ | ◎ |
耐久性 | ◯ | ◯ | ◎ |
揺れ&音 | ◎ | ◎ | △ |
使用環境 | 床&ベッド | ベッド | ベッド |
手入れ | ◯ | ◯ | △ |
クリーニング | × | × | ◯ |
処分 | ◯ | ◯ | △ |
価格 | ◎ | ◯ | △ |
床で使うなら収納可能な三つ折りマットレスがおすすめ
なお、高反発マットレスを床で使うなら三つ折りマットレスがおすすめです。
二つ折り | 三つ折り | 四つ折り(均一型) | 四つ折り(ソファ型) | 五つ折り | |
画像 | |||||
折りたたみベッド | ◯ | × | ◯ | × | × |
コンパクト性 | △ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
腰の違和感 | △ | ◯ | △ | ◯ | △ |
ヘタリ復活 | ◯ | ◯ | ◯ | △ | ◯ |
ソファ変形 | × | △ | △ | ◯ | △ |
小さく畳んで部屋の隅に片付けられますし、押入れに収納することも可能だからです。
厚さが10cm以下の三つ折りマットレスであれば敷布団のように使えますので、日々の扱いやすさを重視する人におすすめです。
また、敷布団と違って「干す手間」がいりません。マットレス自体を自立させられるため朝起きたら壁に立てかけておけばそれで十分です。
なお、折りたたみベッドなどで二つ折りマットレスを使うのはおすすめできません。
折り目を腰に感じやすいですし、そもそもベッドを折りたたむのが非常に面倒だからです。「結局、折りたたまなくなった…」というユーザー多数ですので、避けることをおすすめします。
体重を目安に必要最低限以上の厚さを選ぶこと
薄型の高反発マットレスを選ぶなら、あなたの体重をもとに必要最低限以上の厚さがあるものを選びましょう。
使用者の体重 | 必要最低限の厚さ | |
ウレタン | ファイバー | |
40kg | 5cm | 3cm |
60kg | 7cm | 5cm |
80kg | 10cm | 7cm |
100kg | 13cm | 10cm |
厚さが必要最低限に満たないような薄型のマットレスだと、体の重さを支えきれずに腰が床の硬さを感じることになります。
これをいわゆる底つき感と呼びます。
底つき感のイメージ | |
仰向け | |
横向き |
底つき感があると腰に圧迫がかかりながら眠ることになるので、寝心地が悪いですし、最悪、腰痛につながることにもなります。
そのため絶対、必要最低限以上の厚さがあるものを選びましょう。
分厚すぎるのにも注意すること
反対に、分厚すぎるマットレスにも要注意です。
- 大きく重たくなるので手入れが大変になる
- ベッド高が高くなりすぎると出入りしづらかったり、部屋に圧迫感が出てくる
- ヘッドボードが隠れて見栄えが悪くなる恐れがある
低い | 標準 | 高め | 高い | |
画像 | ||||
目安 | ~30cm | 35~45cm | 50~60cm | 90cm~ |
開放感 | ◎ | ◯ | △ | × |
出入り | △ | ◯ | △ | △ |
ホコリ | △ | ◯ | ◯ | ◯ |
転落 | ◯ | △ | △ | △ |
収納 | △ | ◯ | ◯ | ◎ |
安定性 | ◎ | ◯ | ◯ | △ |
寝具制限 | △ | ◯ | △ | △ |
これについてはベッドの高さとあわせて考えるようにしましょう。
3-3. 蒸れにくいものを選ぶために
人は眠るときに脳と体を休めるために体温が下がるようになっています。
蒸れやすい睡眠環境だと体温が下げられず寝苦しくなります。
つまり、蒸れにくいことは快眠の必須条件とも言えます。
蒸れにくい構造とは
高反発マットレスの表面に使用されているウレタンフォームが、以下のような構造や加工になっていると蒸れにくくて快適です。
- オープンセル構造
- 調湿加工
- プロファイル加工
- ピンホール加工
オープンセル構造 | ピンホール加工 |
適度な厚みと吸水性のある素材の側生地は使用されているか
側生地も大切です。
見落とされがちですが、マットレスの品質を推し量るバロメーターとも言える存在です。
安い高反発マットレスはペラペラで薄いポリエステル100%のニット生地のものが多いです。
生地の重さ | 厚さ | 生地 | 内部 |
1000g/m2 | 厚い(約2~3cm) |
|
|
400g/m2 | 厚め(約1.5cm) |
|
|
250g/m2 | 中間(約1cm) | ||
100g/m2 | 薄い(約0.3cm) |
|
|
ニット | 三層ニット | ジャカード | 3Dメッシュ | |
画像 |
もちろん、睡眠にも良くありません。
ポリエステル100%の側生地だと吸水性がないため、非常に蒸れやすくなります。
適度な厚さと吸水性があることが大切です。
例えば、綿やレーヨンなどの素材が使用された側生地だと蒸れにくいのでおすすめです。
素材 | イメージ | 柔らかさ | 滑らかさ | 吸湿性 | 放湿性 | 耐久性 | 洗濯性 | ||
天 然 繊 維 | 植 物 性 | 綿 (コットン) | ◯ | ◯ | ◎ | △ | ◯ | ◯ | |
麻 (リネン) | △ | △ | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ | |||
動 物 性 | 絹 (シルク) | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | △ | △ | ||
羊毛 (ウール) | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ | △ | △ | |||
化 学 繊 維 | 再 生 | レーヨン | ◎ | ◯ | ◎ | ◎ | △ | △ | |
合 成 | ポリ エステル | △ | ◯ | △ | – | ◯ | ◎ |
敷きパッドを重ねること
とはいえ、限界があります。
そこで私のおすすめは、高反発マットレスの上に敷きパッドを重ねて使うことです。
敷きパッド | ベッドパッド | ベッドシーツ | トッパー | プロテクター | |
画像 | |||||
役割 |
|
|
|
| |
厚み | 1cm前後 | 2~3cm前後 | 5mm前後 | 3~5cm | 5mm前後 |
温湿度調整 | ◎ | ◎ | ◯ | × | △ |
汚れ防止 | ◯ | ◯ | △ | △ | ◎ |
洗濯 | △ | △ | ◯ | × | ◯ |
体圧分散性 | △ | ◯ | × | ◎ | × |
適切な素材の敷きパッドを併用することでほとんど蒸れることなく快適に眠れるようになります。
(高反発マットレスに限らず全てのマットレスで敷きパッドの併用をおすすめしています)
3-4. すぐにへたらない耐久性のものを選ぶために
期待通りの耐用年数があるか確認するためのポイントです。
耐久性=ウレタンフォームの密度
高反発マットレスの耐久性は、ウレタンフォームの密度を確認しましょう。
密度とは重量に対しての体積です。つまり、低密度のスカスカのものだとへたりやすく、高密度のぎっしり詰まったものは長持ちします。
ウレタン密度(kg/㎥) | 耐久性の評価 | ||
高反発ウレタン | 低反発ウレタン | 高反発ファイバー | |
20D以下 | 30D以下 | 35D以下 |
|
25D前後 | 35D前後 | 45D前後 |
|
30D前後 | 40D前後 | 55D前後 |
|
40D以上 | 50D以上 | 65D以上 |
|
高反発なら密度が30D以上のものを選びましょう。
大事なスペックのため商品ページに記載されているはずです。格安のマットレスはウレタン密度が20D前後のため長持ちしません。安くてもすぐにへたるなら買うだけ無駄ですよね。低密度のものは避けるようにしましょう。
密度の記載がなくても推計可能
なお、密度を公開していない商品もあります。
大事なスペックなのに非公開にしているのは疑問です。
とはいえ、商品情報に記載されている商品サイズと重量から推計できます。
例えば、西川エアーやムアツふとんだと以下のようになります。
西川エアー01 | ムアツ 2フォーム 90 | |
サイズ | 97x195x8cm | 91x200x8cm |
推定体積 | 0.132405m3 | 0.1274m3 |
記載重量 | 4.7kg | 5.2kg |
正味重量 | 4.165kg | 4.37kg |
推計密度 | 31.456516 | 34.3014129 |
30Dを超えているので十分な耐久性があると言えます。
とはいえ、2万円台のマットレスでも30D前後のウレタンフォームを使っているものがあるため、コスパはやや低めだとも考えられます。比較検討をする材料としてお使いください。
3-5. 適切なサイズを選ぶために
マットレスのサイズは以下の通りです。
名称 | 幅寸法 | イメージ | 寝室目安 | 用途 |
セミシングル | 80cm | 4畳 | 1人(子供・小柄な方) | |
シングル | 97cm | 4畳 | 1人(中柄な方) | |
セミダブル | 120cm | 6畳 | 1人(大柄な方) | |
ダブル | 140cm | 8畳 | 1~2人(小柄な方2人) | |
クイーン | 160cm | 8畳 | 2人(中柄な方) | |
キング | 180cm | 10畳 | 2人(大柄な方) |
幅が広ければ広いほうが快適ですが、限度がありますよね。
以下の2つのポイントを押さえて選ぶようにしてください。そうすれば使用感や部屋の住み心地でも満足していただけます。
- 体の大きさに合う
- 部屋の広さに合う
体の大きさに合うサイズとは
まずは最低限、肩幅+40cm以上の幅があるものを選びましょう。
日本人の肩幅は女性で40cm、男性で45cmとされているので、一人寝ならセミシングルからシングルサイズで十分です。寝返りを打つのに十分な広さを確保できます。
とはいえ、セミシングルサイズは展開が少なく、マットレスだけでなくシーツやパッドやベッドなどの選択肢も狭まるため、あまりおすすめではありません。
二人寝でダブルサイズは禁物
一点注意が必要なのがダブルサイズです。
二人寝用としてダブルサイズを購入されることがありますが、ダブルサイズのマットレスに二人で寝るとなるとかなり窮屈になります。二人寝ならクイーンサイズ以上がおすすめです。
ショートやロングサイズなどの選択肢もある
また、大柄の人のために215cm前後のロングサイズ、小柄の人のために180cm前後の小さめのショートサイズが販売されていることもあります。
名称 | ショート | 通常 | ロング |
画像 | |||
長さ | 180cm | 195cm | 215cm |
用途 | 小柄な方向け | 一般向け | 大柄な方向け |
窮屈な寝心地だと快眠しにくいので身長が190cm近くあるならロングサイズがおすすめです。
反対に、身長が160cm未満ならショートサイズのマットレスを購入することで部屋が広く使えるのでおすすめですが、同じくショートサイズのシーツやらパッドやらを用意しなければならなく大変です。どちらがいいか天秤にかけて考えるようにしましょう。
部屋の広さに合わせたサイズ
ベッドが大きすぎると窮屈になります。
生活がしにくくならないように生活動線を確保しましょう。
- 通路スペース:50cm
- クローゼットの前:90cm
4. 高反発マットレスの購入に際してよくある質問と注意点
ここまでお読みいただいたとなると欲しい高反発マットレスがかなり絞り込めてきていて、レビューを見たりして細かい比較検討をされている状況かと思います。
そんなときによく感じられる疑問についてまとめました。
気になっているポイントがあれば参考にしてください。
4-1. 口コミ(レビュー)を見るときのポイントは?
- 「床の硬さを感じる」「底つき感がある」
- 「すぐにへたった」
- 「膨らまない」「ふくらみが不均等」
- 「汚れ」「縫製不良」
などのレビューが多ければその高反発マットレスは品質に問題があると考えられます。なるべく避けるようにしましょう。反対に、硬さや臭いについては個人差が大きいのであまり参考にしすぎないことをおすすめします。
4-2. お試しすることはできるのか?
トライアルプログラムなど無料返品できるサービスを設けているメーカー・販売店があるので、自宅で数日寝心地を試したい方はそのようなものを選ぶようにしましょう。
4-3. 臭いと聞くことがあるが大丈夫か?
圧縮梱包されているものだとウレタンフォームのニオイを感じやすいです。
アミンなどの原材料の使用を制限しているエコテックス規格の認証があるものだと比較的ニオイは感じられにくいですが、嗅覚が敏感な方はそれでもニオイを感じやすいかと私の経験上思います。
4-4. 柔らかくすることはできるのか?
高反発ウレタンフォームのマットレスであれば硬く感じる部分を足で踏むことで若干柔らかくなります。とはいえ、本当に若干くらいです。硬さが合わないと寝心地に満足できないので返品可能なものを購入するようにしましょう。
4-5. 慣れるまで時間がかかるのか?
敷布団や低反発マットレスから高反発マットレスに変えられたりすると、その寝心地の違いから使用当初は違和感があることが多いです。とはいえ、2~3週間経っても違和感があるなら、「慣れない」のではなく「合わない」と考えられますので、返品することをおすすめです。
4-6. ローテーションする必要はあるのか?
両面使用可能なものであればローテーションしましょう。もちろん、必ずしもローテーションしないといけない訳ではないのですが、定期的に使用する面を変えられるとマットレスを長持ちさせられるのでやれるならやるに越したことはないです。
とはいえ、ローテーションはかなりの重労働ですので、あえて両面仕様のものを購入することは推奨しません。片面であってもウレタンフォームの密度が高いものを選ぶほうが総合的に満足していただけるはずです。
4-7. ダニが繁殖しにくいものはどれか?
高反発ファイバー素材はダニが繁殖する余地が限りなく少ないです。次点で高反発ウレタンフォームです。高反発コイルマットレスは(良い意味で)側生地にわたが使われることが多いのですが、このわたでダニが繁殖しやすいのでダニ予防という観点ではやや劣ります(もちろん、きちんとお手入れできていればダニが大繁殖することは少ないのですが)。
4-8. 布団乾燥機や電気毛布、湯たんぽは使えるのか?
高反発ウレタンフォームマットレスや高反発コイルマットレスであれば基本的にどれも使用可能です。60℃を限度とするものが大半です。一方、高反発ファイバー素材は熱に弱いものがありますので、制限があるものが多いです。詳しくは各メーカーに確認するようにしてください。
4-9. 圧縮梱包を開封したら再圧縮できるのか?
再圧縮は不可能です。そのため、マットレスを使うべきところで開封するようにしましょう。
4-10. 枕は必要なのか?
マットレスの柔らかさによっては必要ないこともありますが、基本的には、枕があったほうが寝姿勢が乱れにくいためおすすめです。
4-11. 処分はどうすればいいのか?
ウレタンフォーム素材のマットレスは小さくちぎって家庭ゴミとして捨てることができます。手間をかけたくなければ粗大ゴミとして処分しましょう。
4-12. 洗濯・お手入れはどうすればいいのか?
高反発マットレスは洗濯やクリーニング不可です。汚さないように敷きパッドなどを重ねて使うことをおすすめします。
4-13. へたりを復活させることはできるのか?
どの素材も一度へたったら復活させることは不可能です。
唯一可能なのが三つ折りマットレスのパーツを入れ替えることです。基本的にマットレスは腰の部分がへたるので、腰の部分がへたったら脚の部分と入れ替えることで寝心地を復活させることができます。
もちろん、中材を取り出して入れ替えられるようにファスナーが付いているものでないと出来ないので、事前に確認しておくようにしてください。
5. 高反発マットレスの使い方の注意点
どのような高反発マットレスを買うかもう決まっているかと思います。
そこで最後にお伝えしたいのが高反発マットレスの使い方です。寝心地からマットレスの寿命まで、正しく使うだけで大きく変わりますのでぜひ頭に入れましょう。
5-1. そのまま寝るのはダメ。上に敷くべきもの
マットレスの上にそのまま寝るのはダメです。
シーツやパッドも買い揃えましょう。
敷きパッド | ベッドパッド | ベッドシーツ | トッパー | プロテクター | |
画像 | |||||
役割 |
|
|
|
| |
厚み | 1cm前後 | 2~3cm前後 | 5mm前後 | 3~5cm | 5mm前後 |
温湿度調整 | ◎ | ◎ | ◯ | × | △ |
汚れ防止 | ◯ | ◯ | △ | △ | ◎ |
洗濯 | △ | △ | ◯ | × | ◯ |
体圧分散性 | △ | ◯ | × | ◎ | × |
結論、この組み合わせについての唯一の答えはないので、あなたのニーズに合わせて買い揃えることをおすすめします。一例を紹介します。
- 最低限:(下)マットレス → 敷きパッド(上)
- 標準:(下)マットレス → 敷きパッドorベッドパッド → シーツ(上)
- 高価なマットレスなら:(下)マットレス → プロテクター → 敷きパッドorベッドパッド → シーツ(上)
敷きパッドだけの利用でも問題ないですが、洗濯がやや面倒になります。そのため、敷きパッドを汚さないようにその上に一枚シーツを敷くのが標準的な使い方になります。ただ、もしある程度高いマットレスを購入するなら汚して耐用年数を縮めないようにマットレスプロテクターも一緒に使われることをおすすめします。
なお、マットレストッパーは買う必要はありません。トッパーはマットレスがへたって寝心地が悪くなったときに補助として利用するものなので、新品のマットレスには不要だからです。
5-2. 床・畳に直置きするなら除湿シートを下に敷くこと
高反発マットレスを床や畳に直置きする予定なら、絶対に除湿シートを利用しましょう。
フローリング | 畳 | 除湿シート | 床置きすのこ | すのこベッド | コルクマット | アルミシート | |
画像 | |||||||
吸湿性 | △ | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ | ◯ | △ |
通気性 | △ | △ | △ | ◯ | ◎ | △ | △ |
保温性 | △ | ◯ | △ | △ | △ | ◯ | ◎ |
クッション性 | △ | ◯ | △ | △ | △ | ◯ | ◯ |
特にフローリングのような吸湿性のない面に直置きするとなると、マットレスの底面に湿気が溜まってダニ・カビの繁殖を促すことになります。
ただ、お住まいの環境によっては除湿シートだけでは湿気対策が不十分になることがあります。そのような場合、除湿シートとすのこなどを組み合わせて対策をするようにしてください。
最後に
長くなりましたが、ここまでじっくりお読みくださった方は高反発マットレスについて網羅的にご理解いただけているはずです。
その知識をもってあなたに合う高反発マットレスを見つけていただければ、寝具屋冥利に尽きます。
もし不明点などあればお気軽にコメントください。