褥創を予防するために、様々な方法をお考えのことと思います。
体圧分散マットレスの利用は非常におすすめです。
というのも、日本褥創学会が定めるスキンケア、栄養管理、リハビリなどの在宅褥創予防方法の中で、唯一の「推奨ランクA(最高ランク)」だからです。もしあなたが介護をしている人が通常の敷寝具を使っているのなら、体圧分散マットレスを利用することを強くおすすめします。
しかし、エアマットやら低反発やら、何がどう違うのか分からないと思います。
そこで本日は「褥創予防のための体圧分散マットレス」について比較をしながらご紹介します。
1. 褥創対策体圧分散マットレスの比較
まずそもそも何をもって体圧分散マットレスと言うのか。
「褥創予防・治療ガイドブック」の定義によると、
体圧分散マットレスとは、①体を沈める、②骨突出部等にフィットする機能によってマットレスと体との接触面積を拡大させることができる寝具である。
と、なっています。
そして、いわゆる体圧分散マットレスには以下の5つの種類があり、それぞれを特徴は以下のチャートのようになっています。
とはいえ、この表だけでは細かく理解できないと思うので、1つずつ詳細にご説明していきます。
1-1. 圧切替エアマット
面で支えるキャンプ用エアマットと異なり、褥創予防用のエアマットはエアセルが点や線で支える構造になっています。
空気圧を使用者に合わせて調整するので、褥創部位を圧迫しないようにできます。以下の動画を見ていただくと、エアマットの構造についてご理解いただけます。
○エアマットのメリットとデメリット
- メリット:空気圧を調整することにより、使用者に合わせた体圧分散が出来る。寝返りができない人のために、空気量を周期的に調整して圧がかかる部位を変えることが出来る。
- デメリット:圧がかかる部位を変える際、使用者の体にズレ力を生じさせることがある。シーツにしわが出来やすい。調整・保守点検に手間がかかる。高価。
○エアマットの向き不向き
被介護者が自力で寝返りが出来ず、そして、介護者が定期的に体位変換をしてあげられない場合、圧切替エアマットの使用に向いています。
しかし反対に、被介護者が自力で寝返りを出来たり、介護者がこまめに体位を変えてあげられるなら、せっかくの機能を使わずじまいになってしまい勿体無いです。機械いじりが得意な人はいいですが、苦手な人にはあまり向きません。どちらかと言うと医療機関向けで、在宅介護には不向きです。
そのため、やや古いデータにはなりますが、在宅ケアでの利用者は減ってきています。
1-2. ウォーターマットレス
水で満たしたバッグをマットレスとして使用する構造になっています。水の量を調整することで使用者に合わせて体圧を合わせられます。
○ウォーターマットレスのメリットとデメリット
メリット:液体の浮力を利用することで適切な体圧分散性を発揮できる。また、水の量を調整することで個々に応じた体圧調整をすることができる。
デメリット:浮いているような感覚が不快なことがある。水温などの管理が煩雑。重たい。水が減った際に調整しなければならない。
○ウォーターマットレスの向き不向き
体圧分散性には優れているものの使用者がその寝心地に慣れるかの問題がありますし、水温や水量の調節など管理者の手間がかかるのであまりおすすめできません。
1-3. 低反発ウレタンマットレス
柔らかく体が沈み込む寝心地の低反発ウレタンマットレスは、体への圧迫がとても少なく褥創予防に非常に向いています。分厚いマットレスだけでなく、既存のマットレスの上に敷く厚み3~4cm程度のトッパータイプでも体圧を大分分散させられます。
○低反発ウレタンマットレスのメリットとデメリット
- メリット:圧迫を非常に少なくできる。トッパータイプでも十分。比較的低コスト。
- デメリット:体が沈み込み寝返りがしにくいものがある。通気性が良くないため、体(特に褥創部位)がムレやすい。水に弱いため防水対策必要あり。
○低反発ウレタンマットレスの向き不向き
なるべく費用を抑えて体圧分散マットレスを導入したい人におすすめです。
ただ、使用者の寝返り状況には目を光らせて、自力で寝返りが出来ない場合には定期的に補助をしてあげましょう。品質が悪いものだと、体が沈み込みすぎて自力で寝返りが出来ていた人が出来なくなることもあるので注意が必要です。
1-4. ゲル/ジェルマットレス
ジェルを膜で封じ込めた素材のマットレスです。
面で体圧を分散する構造のものもあれば、ハニカム構造でズレ力まで軽減するものもあります。ハニカム内部の掃除はやや手間になりますが、褥創予防を考える上でズレ力が少ないのはとても大切な要素です。
○ゲル/ジェルマットレスのメリットとデメリット
- メリット:沈み込みすぎることなく体圧を分散することが出来る。耐久性が高い。防水加工になっている。
- デメリット:表面温度が低く冷たく感じられることがある。重い。
○ゲル/ジェルマットレスの向き不向き
マットレス自体をアルコールで清拭出来たり、X線室で使えたりと主に医療機関向けの仕様になっているものが多いです。家庭で使えなくもないですが、かなりの重みがあったり、表面がひんやりしていたりなど特徴上、在宅介護にはあまり向いていません。
1-5. ハイブリッドマットレス
2種類以上の素材を組み合わせたマットレスです。例えば、低反発ウレタンフォームと高弾性ウレタンフォームだったり、低反発ウレタンフォームとエアマットなどがあります。
○ハイブリッドマットレスのメリットとデメリット
メリット:各種類の良いとこ取りの性能を引き出せる。例えば、沈み込みすぎないウレタンフォームマットレスや、寝返りのできる低反発ウレタンフォームエアマットなど。
○ハイブリッドマットレスの向き不向き
組み合わせ次第のため、デメリットと向き不向きについては一概に論じられません。
2. 褥瘡対策マットレスの選び方
褥瘡対策のためにマットレスを選ぶには下記のチャートを参考にしてください。
使用者が自力で体位変換できるかなどによりどのようなマットレスを選ぶべきかが変わってきます。
用語の解説をしておきます。
- 骨突出:骨が出張っている部位のこと
- 頭側挙上:仰向け寝のときにマットレスの上半身部分を上げること
となっています。どれに該当するか確認してみてください。
2-1. おすすめの褥瘡予防マットレス
使用者が自力で体位変換ができるなら褥瘡予防として下記のマットレスがおすすめです。
型・種類 | ノンコイルベッド/ハイブリッドマットレス |
厚み | 20cm |
硬さ | 柔らかめ |
送料 | 無料 |
品質保証 | 5年 |
トライアル | 60日 |
サイズ・重量 | シングル: 98×195×20cm・約15.5kg、セミダブル: 118×195×20cm・約18.5kg、ダブル: 138×195×20cm・約21.5kg、クイーン: 158×195×20cm・約25kg |
価格 | シングル: 50,000円、セミダブル: 50,000円、ダブル: 58,000円、クイーン: 66,000円 |
リンク | 商品ページ |
体圧分散性 | 反発弾性 | 通気性 | 吸放湿性 | お手入れ |
◎ | ◎ | ◯ | ◎ | ◯ |
厚さ2cmの低反発ウレタンフォームに厚さ4cmの高弾性ウレタンフォームを組み合わせたマットレスです。低反発と高弾性の組み合わせにより素晴らしい体圧分散性を実現しつつも、寝返りがしやすく沈み込みにくい寝心地となっています。自社製品のため手間味噌ですが、褥瘡予防に体圧分散に優れたマットレスを検討している方におすすめの一品です。
最後に
体圧分散マットレスについては十分ご理解いただけたと思います。
体圧分散マットレスは非常に大事ですが、それだけで褥創予防が完璧になることはありません。体圧分散マットレス以外の褥創予防の方法も知りたいという場合は、こちらのページ『褥創(床ずれ)の予防&リスク評価方法』をご参考にしてください。
また、こちらのページ『褥瘡(床ずれ)とは?分類、原因、予防法、よくある疑問と禁忌』で褥瘡に関して総括しているので併せてご参考にしてください。