腰枕の正しい使い方と効果|腰痛を悪化させないための注意点とは?
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- 「腰が落ち着かなくて眠れない」
- 「腰枕を使ったら楽になれるかな」
などと考えたことはないでしょうか。
実のところ、腰枕は寝具業界でも賛否両論です。
というのも、正しく使えないと腰を痛めることがありますし、そもそも不適切な形状により腰痛をさらに悪化させることがあるためです。とても残念ですよね。
そこで本日は、
- そもそも腰枕の使い方とは
- 腰枕を正しく使えないと腰痛を悪化させる理由
- 本格的に腰痛対策を考えるなら腰枕の代わりに使うべきもの
などについて分かりやすく解説していきます。
1. 腰が浮いたままだとなぜ腰が痛くなるのか
しかし、寝るときに腰が浮いているとなぜ腰を痛めるのか、疑問に感じられますよね。
その理由は2つあります。
- ブリッジ現象
- 圧迫の集中
1つ目の理由に、腰が浮いてしまって橋のようなブリッジ状態になると、浮いてしまった腰椎(ヨウツイ:腰の5つの骨)のサポートがないため大きな負担が腰と背中にかかるためです。
一晩中、無理な荷重が腰と背中にかかることを考えると、腰が痛くなることも理解いただけると思います。また、それと同時に、無理な姿勢で筋肉も硬直し続けるため、血行が悪くなり凝りにもつながります。

2つ目の理由に、腰が浮いていると体圧分散性が悪く、中半身の重みが腰(特に仙骨という骨)に集中してしまうため、腰を痛めてしまいます。
特に、高齢者がこのような姿勢で寝ていると、褥瘡(ジョクソウ:床ずれとも呼びます)の原因にもなるので、早急な対応が必要となります。
ご覧の通り、腰が浮いたまま寝姿勢だと、腰に大きな負荷がかかるのです。これを腰枕で改善することで、腰痛を和らげることが期待できるのです。
2. 腰枕はどんな人におすすめ?
腰枕は、腰痛持ちのすべての人に必要なわけではなく、体型や寝姿勢によって効果が変わります。特に 仰向け寝で腰が浮きやすい人や、痩せ型で腰が沈みにくい人、さらに 骨盤が前傾して背骨のS字カーブが強調されやすい反り腰タイプの人におすすめです。
腰枕を使うことで 圧迫感の軽減や姿勢改善が期待でき、寝返りもスムーズになり、腰痛予防や緩和に役立ちます。ここからは、それぞれのタイプごとに腰枕の効果や使い方を詳しく解説していきます。
3. そもそも腰枕の使い方とは
まずはそもそも論からですね。
腰枕とは、仰向けに寝ころんだときにマットレスと腰の間に生まれる隙間を埋めるための枕です。

つまり、浮いた腰をサポートする道具なのです。
そのため、腰「枕」といっても枕ほど厚みのあるものではなく、厚み3~4cm程度のシートクッション形状のものが大半です。
また、横向き寝のでも同じように、腰への圧迫感を減らし体圧分散性を高めるために、腰の下に敷いて使うことができるものもあります。
3-1. 腰枕を正しく使えないと腰痛を悪化させる
しかし、寝具業界で腰枕に対して賛否両論あるように、腰枕が正しく使えていないことから、期待とは裏腹に腰を痛めてしまうことがあります。
その理由は以下の2つです。
- 腰枕が腰を持ち上げすぎる
- 腰枕が寝返りを阻害する
1つ目の理由が、腰の隙間を埋めるための腰枕が、サイズが合わないために腰を持ち上げすぎてしまい、腰を余計に反らしてしまう(反り腰寝姿勢になる)可能性があることです。
体圧分散性は良くなりますが、腰椎を不自然に曲げてしまったり、腰の筋肉・腱を無理に伸ばしてしまい痛めてしまうからです。体型的にどうしても合わないこともあります。

2つ目の理由が、「腰枕の上で寝なければいけない」と意識してしまうことで、寝返りがしにくくなることです。
寝返りには、体圧のかかる部位を定期的に変える大切な役割がありますが、寝返りが出来なくなることで負担が集中し、血流も悪くなり体の疲れがとれなくなってしまいます。また、寝返りができたとしても、寝返りにより腰枕のポジションが悪くなり、寝姿勢の乱れから腰を痛める可能性もあります。
これらのケースはタチが悪いことに、寝始めの段階では腰が楽に感じるのですが、眠っている内にじわじわと腰を痛める原因を作っていくのです。私はあまりおすすめしません。
3-1-1. 購入前に腰枕をバスタオルで自作してみる
腰枕というものがあなたにとって眠りやすいかどうか、購入する前にバスタオルを使って自作することをおすすめします。
バスタオル腰枕のメリットは、
- 腰の隙間を埋めるだけの高さに調整できる。
- 臀部、背中の下にも敷いて、腰だけ高くなり反らないよう調整できる。
これで腰の調子がよくなれば幸いですが、もし寝返りがしにくく感じられる場合は、そもそもあなたに腰枕が合わない可能性があります。
4. 腰枕と他の腰痛対策グッズの違いは?
腰痛対策グッズには、腰枕のほかにもマットレストッパーや横向き寝サポーター、整体グッズなどがあります。それぞ
グッズ名 | 使い方 | 効果 | 注意点 | 向いている人 |
---|---|---|---|---|
腰枕 | 腰とマットレスの隙間に入れて背骨を支える | 腰の浮きを防ぎ、体圧分散や姿勢改善につながる | 厚みを誤ると腰が反って逆効果になる | 仰向けで腰が浮く人、痩せ型の人、反り腰タイプ |
トッパー(マットレストッパー) | マットレスの上に重ねて寝心地を調整 | マットレス全体の硬さを改善し、腰への負担を軽減 | 厚みがあり収納しにくい。来客用には不向き | 硬すぎる・柔らかすぎるマットレスを使っている人 |
横向き寝サポーター(抱き枕など) | 足や体に抱えて横向き寝の姿勢を安定させる | 骨盤や腰のねじれを防ぎ、横向きでも背骨ラインをキープ | 仰向け寝が多い人には効果が薄い | 横向き寝が多い人、妊婦さん |
整体グッズ(骨盤ベルト・ストレッチ器具など) | 日中や就寝前に装着・使用して腰回りをサポート | 姿勢改善・筋肉の緊張緩和・血流改善 | 睡眠中の腰痛対策には直接的効果が薄い | 日常生活でも腰痛対策をしたい人 |
腰痛対策は「睡眠中に腰を支えるもの」と「日常生活で腰をケアするもの」に大きく分けられます。腰枕やトッパーは就寝時のサポートに向いており、整体グッズは日中の姿勢改善や筋肉ケアに有効です。
5. 本格的に腰痛対策を考えるなら
腰枕の(一般論としての)メリットを紹介しましたが、私は腰枕についてはどちらかと言うと否定的です。
というのも、寝返りがしにくいためです。
私の考えとしては、中途半端に腰枕で対策をするよりは、本格的に寝具環境を見直すことをおすすめします。具体的に言うなら、以下の3つです。
- 既存のマットレスの上に厚手のベッドパッド・トッパーを敷く
- マットレス自体を買い換える
- 横向き寝サポーターを使用する
敷きパッド | ベッドパッド | ベッドシーツ | トッパー | プロテクター | |
画像 |
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役割 |
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厚み | 1~2cm前後 | 3~4cm前後 | 5mm前後 | 3~5cm | 5mm前後 |
温湿度調整 | ◎ | ◎ | ◯ | × | △ |
汚れ防止 | ◯ | ◯ | △ | △ | ◎ |
洗濯 | △ | △ | ◯ | × | ◯ |
体圧分散性 | △ | ◯ | × | ◎ | × |
5-1. 既存のマットレスの上にトッパーを敷く
もし今のマットレスがまだ使えるのであれば、マットレストッパーや厚みのあるパッドを敷くことをおすすめします。
トッパーで体全体の体圧分散性を高めるので、寝姿勢を悪くすることなく、浮いている腰をうめてサポートすることができます。
マットレスを購入するよりも少ない予算で、問題解決できます。

型・種類 | マットレストッパー |
厚み | 6cm |
硬さ | ふつう |
送料 | 無料 |
品質保証 | 3年 |
トライアル | 60日 |
サイズ・重量 | シングル: 98×195×6cm・約4kg、セミダブル: 118×195×6cm・約4.5kg、ダブル: 138×195×6cm・約5kg、クイーン: 158×195×6cm・約5.5kg |
価格 | シングル: 11,990円、セミダブル: 13,990円、ダブル: 15,990円、クイーン:17,990円 |
リンク | 商品ページ |
体圧分散性 |
反発弾性 |
通気性 |
吸放湿性 |
お手入れ |
◯ | ◯ | △ | ◯ | △ |
低価格マットレストッパーの決定版です。寝心地がイマイチになってしまったマットレスの復活にお役立てください。
反発弾性45%の柔軟な寝心地に加え、凸凹プロファイル加工で適度な体圧分散性を再現しました。ウレタン密度は32Dあるため7年程度の使用期間を考えている方には、素晴らしいコストパフォーマンスを実感していただけます。
是非一度お試しください。ただいま弊社サイトにて「60日間トライアルキャンペーン」を設けておりますので、この機会をお見逃しないようご利用ください。

型・種類 | セルプール スウィートドリーム |
厚み | 2.5cm |
硬さ | ふつう |
送料 | 無料 |
品質保証 | 3年 |
トライアル | なし |
サイズ・重量 | シングル: 約幅98×長さ195×厚さ2.5cm・約3.3kg、セミダブル: 約幅118×長さ195×厚さ2.5cm・約3.87kg、ダブル: 約幅138×長さ195×厚さ2.5cm・約4.3kg、クイーン: 約幅158×長さ195×厚さ2.5cm・約5.23kg |
価格 | シングル: 25,300円、セミダブル: 31,625円、ダブル: 37,950円、クイーン: 43,450円 |
リンク | 商品ページ |
体圧分散性 |
反発弾性 |
通気性 |
吸放湿性 |
お手入れ |
◯ | ◯ | △ | ◯ | △ |
自社製品で恐縮ですが、体圧分散性を高めるおすすめのマットレストッパーです。値段は多少張りますが、これ一枚で寝心地グレードアップできます。
ウレタン素材の中でもダントツの高弾性を誇るセルプールウレタンを使用しているので、弾むように快適な寝心地をご堪能いただけます。
5-2. マットレス自体を買い換える
しかし、長く使ったマットレスでヘタったりしている場合は、マットレスを買い換えることをおすすめします。以下のページで腰痛対策のためのマットレスの選び方を紹介しているので参考にしてください。
5-3. 横向き寝サポーターを使用する
もし、仰向け寝は全く問題ないが、横向き寝を楽にするために腰枕を検討しているのであれば、横向き寝をサポートする横向き寝専用枕の使用をおすすめします。
マットレストッパーを敷くことでも横向き寝を楽にできますが、やはり餅は餅屋です。横向き寝のためであれば、横向き寝枕がおすすめです。以下のページでいくつか方法をご紹介しているのでご参考にしてください。
最後に
もし腰枕を試すのなら、バスタオルで自作をしあなたに合うか試してからにしましょう。
その際、腰枕を正しく使えるようしっかりと確認してください。その使い心地を確かめた上で、次のステップの判断をすることをおすすめします。腰枕を検討する一助になっていれば幸いです。
なお、枕に関するページを以下にまとめましたので、気になるトピックがあればあわせてご参考にしてください。
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よくある質問
Q1. 腰枕の正しい位置はどこですか?
A.腰枕の正しい位置は、腰のくびれ(腰椎とマットレスのすき間)を自然に支える場所です。具体的には、骨盤の上あたりで、仰向けに寝たときに腰が浮いてしまう部分を軽くサポートするように当てるのが理想です。
高すぎたり低すぎたりすると、背骨のS字カーブを崩してしまい、逆に腰に負担をかけてしまうこともあるため注意が必要です。最適な位置を見つけるには、仰向けに寝て腰がマットレスに接する感覚になるポイントを基準に調整してみてください。
Q2. 腰枕は毎日使っても大丈夫ですか?
A.はい、腰枕は正しい高さと硬さであれば毎日使用しても問題ありません。むしろ、反り腰や寝姿勢の乱れによる腰痛に悩む方にとっては、継続使用することで負担軽減や睡眠の質向上に役立ちます。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 使い始めに違和感がある場合は、短時間から慣らすこと
- 朝起きて腰が痛い、寝苦しいと感じる場合は高さを再調整する
- へたりやすい素材の場合は、定期的に交換やローテーションを行う
- 個人差があるため、自分の体型や寝姿勢に合ったタイプを選ぶことが大切です。
Q3. 腰枕とバスタオルでは効果が違いますか?
A.はい、腰枕とバスタオルではサポート力やフィット感に違いがあります。バスタオルを丸めたものでも腰のサポートは可能ですが、長時間使うとズレやすく、高さが安定しにくいというデメリットがあります。
一方、腰枕は体圧分散やフィット感を考慮して設計されており、仰向け寝の姿勢を正しく保ちやすい点がメリットです。また、形状記憶ウレタンや高反発素材を使用した専用の腰枕は、反り腰や腰の沈み込みを効果的に防ぐことができます。
「まずは試したい」という場合はバスタオルでも代用可能ですが、継続的に使うなら専用腰枕の方が効果は高くなります。
Q4. 腰枕は妊娠中でも使えますか?
A.妊娠中でも、体調に問題がなければ腰枕を使用することは可能です。特に妊娠中期以降になると、腰への負担や反り腰が強くなる方も多く、適切なサポートによって快眠をサポートすることができます。
ただし注意点として、
- お腹が大きくなる妊娠後期は、仰向け姿勢自体が苦しくなる場合があるため要注意
- 横向き寝に切り替える場合は、抱き枕やサイドクッションで姿勢を整えるほうがよい
- 腰枕の使用は自己判断ではなく、体調に不安がある場合は医師に相談すること
妊婦さん向けに設計されたマタニティ用の腰クッションや抱き枕も選択肢に入れると安心です。
著者紹介

著者情報
加賀 照虎(上級睡眠健康指導士)
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
各種SNSで情報発信中。
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
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