硬い枕は良いのか?頭痛・肩こりの原因と正しく選ぶチェックポイントを専門家が解説
更新日:
硬い枕といってもいろいろな素材のものがあります。
そして、素材の特性により、硬さでの問題の起こりやすさが変わります。
もちろん、枕が硬すぎるのは問題です。
しかし、多少硬めであったとしても、枕選びのポイント(フィット性・高さ)を押さえてさえいれば、問題が起こることはまずありません。
ということで本日は、「硬い枕を購入する際のチェックポイント」について解説していきます。
0. 硬い枕は本当に良いのか?合う人と合わない人がはっきり分かれる
硬い枕は「頭が沈まない」「寝返りがしやすい」といった快適性を感じる人がいる一方で、使ってすぐに頭痛や首のハリを悪化させる人もいます。これは、硬い枕が"誰にでも良い枕"ではなく、体型・寝姿勢・頸椎カーブの形によって極端に相性が分かれる枕だからです。
後頭部をしっかり支えられるため、柔らかい枕で沈み込みすぎている人には快適に感じられます。しかし、頸椎のカーブが浅い人や肩幅が広い人、横向き寝が多い人にとっては、硬すぎる枕が首や肩の圧迫につながることもあります。
つまり硬い枕は、「合う人には抜群に快適、合わない人には体の不調が出やすい」という特徴を持つ枕です。
1. 硬い枕を購入する際のチェックポイント
硬い枕を購入するのなら、以下の3つのポイントをしっかりチェックしましょう。
そうすることで快眠できる枕を選べるようになります。
- 枕が首から後頭部にフィットするか
- 枕の高さは適切か
- 硬すぎないか
各チェックポイントの詳細を解説していきます。
1-1. 枕が首〜後頭部にフィットするか
硬い枕を選ぶときに気をつけていただきたいのが、「枕が首から後頭部にしっかりとフィットしているか」の確認です。
以下のイラストのように枕がピタッとフィットすることを目指しましょう。
このようにフィットさせれれば、快適に寝られます。
しかしもし、硬い素材の枕なのに首から後頭部にかけてフィットしていないとすると、以下のイラストのようになってしまいます。
こうなってしまうと、以下のような不快な症状を起こす可能性があります。
- 後頭部に負担がかかってしまい圧迫感や頭痛、痺れの原因に
- 首のサポートがないため首こり、肩こり、寝違えの原因に
休息のための睡眠なのに、体を疲れさせてしまうことになってしまいます。
なお、枕のフィット性は素材の柔らかさに加えて、素材がモルダブルか(素材を動かしてあなたの後頭部のカタチに合わせられるか)どうかにより左右されます。
| モルダブル | ノンモルダブル | |
| イメージ |
|
|
| フィット性 | ◎ | ◯ |
| 高さ調整 | ◎ | △ |
| 耐久性 | ◯ | ◎ |
いかに素材が硬くとも首から後頭部にかけてしっかりフィットしていれば、圧迫感はややあるものの負荷のせいで首を痛めることはまずありません。
そのため、硬い枕を購入するならモルダブルなものを選ぶほうが無難です。
1-2. 枕の高さは適切か
1つ目のポイントがOKでしたら、その次に「枕の高さが適切か」を確認しましょう。
適切な枕の高さは人によって異なるので、「理想的な寝姿勢を取れる枕の高さ」を目安にして選ぶようにしましょう。
理想的な寝姿勢には2つのポイントがあります。
- 肩口から頭が10~15度の傾斜
- 顔が5度前後の傾斜
枕の高さをこのように最適化することで、頚椎(首の骨)や筋肉を自然な状態でリラックスさせられますし、気道を圧迫せず呼吸が楽に眠れます。
反対に枕が高すぎたり低すぎたりすると、
- 頚椎を痛める
- 筋肉に疲労が溜まり、肩こり首こりに
- 気道を圧迫しいびきの原因に
- 血が頭に上りむくみの原因に
などの症状を起こす恐れがあります。自分自身で枕の高さが適切か判断しにくい場合は、店員さんにチェックしてもらいましょう。
枕の高さが適切であることは、快眠するための最重要項目の一つです。
1-3. 硬すぎないか
枕の硬さはある程度好みで決めてしまっても大丈夫です。
しかし、硬すぎるものは厳禁です。枕は一度購入したら数年程度の長い付き合いになるので、きちんと試し寝をして適切な硬さであるか(硬すぎないか)チェックすることをおすすめします。
試し寝をする際、まずは上記の2点をチェックしましょう。そしてその上で、少なくとも10分以上枕の上に頭を置いて、圧迫感が生じないかを確認しましょう。圧迫感や痺れを感じる場合は、その枕は硬すぎるのではないかと思います。購入しても不満の残る寝心地になるのではないかと思います。
1-4. 硬い枕と柔らかい枕、どちらがいいのか?
硬い枕vs柔らかい枕の論争は尽きることはありません。
これは本当に好みの問題だと私は考えています。硬すぎたり柔らかすぎたりせず、適度な硬さ/柔らかさであれば(そして、高さと素材が合っていれば)あとは好みで決めてしまって良いと思います。
快適に眠れる枕の選び方(枕の素材/硬さ/高さ)に関して、以下のページで詳しくお伝えしているのでご参考にしてください。
関連記事:【熟睡枕おすすめ7選】正しい選び方で相性チェック!2. 硬い枕のメリット・デメリット
硬い枕には、柔らかい枕とは異なるはっきりとした長所と短所があります。
2-1. メリット
2-1-1. 頭が沈みにくく、寝返りがしやすい
硬い枕は後頭部の沈み込みが少ないため、体の動きが阻害されず、寝返りがスムーズに行われます。寝返りの多い人、朝身体がこわばりやすい人に向いています。
2-1-2. 高さが変わりにくく姿勢が安定する
柔らかい枕は頭の重みで形が崩れ、高さが変化することがあります。硬い枕は"枕本来の高さ"がキープされるため、寝姿勢のブレが少なく、首・頭の安定感が特徴です。
2-1-3. 湿気がこもりにくい素材が多い
パイプやそばがらなど硬め素材は通気性が高いものが多く、夏場でも蒸れにくい寝心地が得られます。
2-2. デメリット
2-2-1. 後頭部に圧が集中しやすい
硬い枕は接触面の柔軟性が少ないため、後頭部に"点で圧"がかかりやすく、慣れない人は頭痛を感じる場合があります。
2-2-2. 合わない人は首のカーブを崩してしまう
頸椎カーブの浅い人やストレートネックの人は、硬い枕で後頭部が浮き、首に負担がかかりやすくなります。
3. 素材別|硬い枕の特徴
「硬い枕」といっても、パイプ・そばがら・高反発ウレタン・ファイバーなど、素材によって寝心地はかなり異なります。
3-1. パイプ枕
パイプ枕は、小さな樹脂パイプが中材になっていて、カリッとした適度な硬さと通気性の良さが特徴です。頭が沈みにくく、ジャラッと動くことでフィット感も調整しやすく、「硬めだけど使いやすい」バランスの良いタイプです。
3-2. そばがら枕
そばがら枕は、昔ながらのしっかり硬い枕です。後頭部が安定し、寝返りもしやすい一方で、湿度が高い環境では匂いやカビに注意が必要です。
3-3. ウレタン
硬めのウレタンは「ガチガチに硬い」というより、反発力で沈み込みを抑えるタイプで、硬さとフィット感の中間を狙いたい人に向きます。
3-4. ポリエチレンファイバー
ポリエチレンファイバーのような立体構造素材は、支えがしっかりしているのに通気性が非常に高く、熱がこもりやすい人や夏場に使う硬め枕として相性が良い素材です。
このように、同じ"硬い枕"でも素材ごとに寝心地の方向性が大きく異なるため、硬さだけで選ぶのではなく、素材の反発性、通気性、頭へのフィット性を理解し、自分に合った一つを選ぶことが重要です。
4. 硬い枕が向いている人・向いていない人
硬い枕は、特定の体型や寝姿勢の人にとっては非常に快適ですが、同時に相性が悪い人にとっては不快感や痛みの原因となる、極端に"向き不向きが出る枕"でもあります。
4-1. 硬い枕が向いている人
硬い枕が向いているのは、まず仰向け寝の時間が長い人です。後頭部が安定しやすく、頭の沈み込みが少ないため、仰向け姿勢が乱れにくいという特性が合いやすい理由です。
また、寝返りが多い人も、硬い枕によって動きが阻害されず、頭がスムーズに転がるため、夜間の姿勢変化をサポートしてくれます。汗をかきやすい体質の人や暑がりの人にとっても、通気性の高い硬め素材は蒸れを防ぎ、夏場の快適さを高めてくれます。
4-2. 硬い枕が向いていない人
横向き寝が中心の人には硬い枕はあまり向きません。横向きは肩が沈むスペースが必要な寝姿勢であり、硬い枕はその沈み込みを受け止めにくいため、肩や首に圧が集中しやすくなります。また、頸椎カーブが浅い人やストレートネック気味の人は、硬い枕で後頭部がわずかに浮くことで首に負担がかかり、朝の首こりや頭痛を招きやすくなります。
肩幅が広い人も注意が必要です。硬い枕は高さが変わりにくいため、自分に合った高さを確保できないと、首が不自然に傾いた状態で寝ることになり、肩こりや背中の張りにつながります。さらに、後頭部への圧迫に敏感な人や、「硬い感触が苦手」と感じやすい人は、短時間の使用でも違和感が出やすいため、硬さより"適度な弾力性"を持つ枕の方が向いています。
このように、硬い枕は万人向けの枕ではありませんが、条件が合えば非常に快適な寝姿勢をサポートしてくれます。大切なのは自分の寝姿勢・体型・首のカーブとの相性をしっかり見極めることです。
5. 硬い枕と頭痛・肩こりの関係性
硬い枕を使うと頭痛や肩こりが悪化する、逆に硬い枕に変えたら痛みが軽減したといったような相反する感想が生まれるのは、硬い枕が「首と後頭部の角度」に非常に敏感な寝具だからです。硬い枕の最大の特徴は"沈みにくい"ことであり、この特徴がメリットにもデメリットにもなります。
沈まないことで頭が安定し、寝姿勢が整いやすいという利点がありますが、一方で後頭部への圧が強くなるため、枕の高さがわずかに合っていないだけでも後頭部の血流が悪くなり、朝起きたときの鈍痛や頭重感につながることがあります。特に、硬い枕は形が変わらないため、フィットしない形状のまま一晩中頭を乗せ続けてしまうことで、小さな違和感が蓄積して痛みに発展します。
肩こりとの関係性にも同じことが言えます。硬い枕自体が肩こりを生むのではなく、硬さによって"高さ調整の許容範囲が狭まる"ことが原因となって肩周りが緊張しやすくなります。枕が低すぎると肩が前に巻き込み、僧帽筋に負担がかかります。逆に枕が高すぎると首が曲がったまま固定され、頸椎の周囲の筋肉が長時間緊張した状態になり、肩や首のこりが悪化します。
つまり、硬い枕で頭痛や肩こりが生じるかどうかは「硬さ」そのものではなく、硬さ+高さ+寝姿勢の相性で決まります。硬い枕を選ぶ際には、まず自分の寝姿勢に合った高さを基準にし、その上で素材の弾力やフィット感を確認することが、痛みを防ぎ快適に使い続けるための最も大切なポイントになります。
まとめ
硬い枕の選び方を復習すると、以下のようになります。
- 枕が首〜後頭部にフィットするか
- 枕の高さは適切か
- 硬すぎないか
硬い枕を選ぶ際は、きちんと試し寝をしてこれら3つのポイントを満たした枕であるかチェックしましょう。
3つともポイントを満たした枕であれば、その枕は「買い」の判断を下しても問題ないはずです。あなたが快眠枕に出会えることを陰ながら祈っています。
また、枕に関するページを以下にまとめましたので、気になるトピックがあればあわせてご参考にしてください。
■あわせて読んでおきたい「枕」の記事一覧
・【熟睡枕おすすめ7選】正しい選び方で相性チェック!
・抱き枕おすすめ10選【長さ・形状・素材を徹底比較】
・枕を正しくオーダーメイド!【失敗談から学ぶ7つの注意点】
・枕の正しい使い方とは?高さ・素材別の工夫と症状別改善法
・【枕サイズ一覧】標準からロング枕、あなたに合うサイズは?
・枕なしで快適に睡眠できる人が持つ3つの条件とは
・横向き寝が快適になる正しい寝方と枕の選び方【専門家解説】
・うつ伏せ寝におすすめの枕の使い方|高さ・素材の選び方と快眠の工夫
・しっかり熟睡できる!寝返りがしやすい枕の特徴とは
・写真で分かる!首のためのタオル枕の作り方と使い方
・睡眠時無呼吸症候群なら枕を変える前にするべき3つのこと
・ストレートネックに効果的な枕と使い方|姿勢改善の3ステップ
・頚椎(首)ヘルニアならするべき3つの枕対策
・枕から後頭部へ圧迫感がある3つの原因と対処法
・首こりを悪化させる枕とは?原因と正しい選び方・7つの解消法を徹底解説
・いびき改善に効果的な枕の選び方|原因別のおすすめ商品と寝姿勢を解説
・もう寝違え無用!熟睡枕を選ぶ3つのポイント
・手軽に清潔な洗える枕!洗濯機・乾燥機対応のおすすめ品
・腰枕の正しい使い方と効果|腰痛を悪化させないための注意点とは?
・※要注意!足枕の正しい高さと、足の置き方(姿勢)
・大人気の大きい枕で快適ベッド生活!おすすめの使い方
・低い枕の弊害?!低めの枕を選ぶ時の注意事項
・【快眠の方程式】理想的な枕の高さ=理想的な寝姿勢
・枕が高いと最悪!悪影響とすぐに枕にするべき処置
・肩甲骨のコリと痛みの原因は枕?ケース別の対策を!
・避ければ快眠!低反発枕が肩こりを起こす、たった1つの理由
・整形外科医による枕外来って?概要、相場、注意点など
・硬い枕は頭痛の元?!購入時のチェックポイント
・首と肩にやさしい!柔らかい快眠枕を選ぶ方法
・【枕の2種類16素材】合うものを選ぶための比較方法
・熟睡できる高反発枕を選ぶための7項目とおすすめの枕
・ラテックス枕の評判は?熟睡のためのおすすめの選び方
・パイプ枕で快眠するコツ&上手に洗濯する方法
・爽やかに快眠!そばがら枕のおすすめの選び方とお手入れ方法
・羽毛枕を選ぶ5つの目安、黄金比、上手な洗い方
・※要確認!羽根枕をおすすめできない2つの理由
・他素材との比較でわかる!マイクロビーズ枕の寝心地と選び方
・16種類の素材と比較|ひのき枕の寝心地と注意点
・ひんやり&あたたか!小豆枕の効果と寝心地は?
・塩まくらは効果なし?!気になる使用感は?
・寝起きの肩こりがひどい…考えられる原因と対策は?
・枕のクリーニング料金の相場、洗い方・素材などの注意点とは
・※水洗い禁止※ラテックス枕の洗濯&お手入れ方法
・低反発枕は洗濯厳禁!汚れをキレイにする方法とは
・枕の寿命はいつ?買い替えサインと長持ちの秘訣を徹底解説
よくある質問
Q. 硬い枕に変えると寝返りは増えますか?
硬い枕は頭があまり沈み込まないため、柔らかい枕と比べて寝返りはしやすくなる傾向があります。頭が深く落ち込まないぶん、身体を動かすときの"段差"や引っかかりが少なく、スムーズに向きを変えられるからです。
ただし、高さが合っていないと、いくら寝返りが打ちやすくても首や肩に負担がかかるため、「寝返りの打ちやすさ」と同時に「自分に合った高さかどうか」も確認して選ぶことが大切です。
Q. そばがら枕とパイプ枕、硬いのはどっち?
一般的には、そばがら枕の方がパイプ枕よりもしっかりとした硬さがあります。そばがらは粒同士が詰まりやすく、面で頭を支えるような感覚になりやすいため、「昔ながらの固い枕」が好みの方に向いています。
一方、パイプ枕は中材がコロコロと動いて弾性があり、頭に当たる感触も少しマイルドです。そのため、硬めが好きだけれど痛みは避けたい、という方にはパイプ枕の方が使いやすい場合が多いです。
Q. 硬い枕はストレートネックに悪い?
ストレートネックの方が合わない硬い枕を使うと、首のカーブがさらに不自然になり、症状を悪化させる可能性があります。頸椎のカーブが浅い状態で後頭部だけが高く持ち上がると、首の後ろ側の筋肉が緊張し続けてしまうためです。
硬い枕を使う場合は、「硬さ」よりもまず頸椎カーブに合った高さかどうかを優先して選ぶことが重要で、10分ほど横になって首の後ろに突っ張り感や詰まる感じがないかを確認すると失敗しにくくなります。
Q. 横向き寝でも硬い枕は使える?
横向き寝でも硬い枕を使うことは可能ですが、その場合は特に"高さ"の確保が重要になります。横向きでは肩幅のぶん頭が高い位置になるため、枕が低すぎると首が下に傾き、肩や首に強い圧力がかかってしまいます。
横向き寝で硬い枕を選ぶ場合は、肩幅に見合った十分な高さがあるかどうかを確認し、横向きで寝たときに首がまっすぐ保たれているかを鏡や家族にチェックしてもらうと安心です。
著者紹介
著者情報
加賀 照虎(上級睡眠健康指導士)
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
各種SNSで情報発信中。
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
各種SNSで情報発信中。
「いくら眠っても眠い」
「寝付きが悪くなった」
など睡眠のお悩みを抱えてはいないでしょうか?
多くの研究データから質の低い睡眠は生活の質を下げることがわかっています。
快眠タイムズでは、皆さんの睡眠の質を向上させ、よりよい生活が送れるように、プロの視点から睡眠/寝具の情報を発信していきます。