いびき改善に効果的な枕の選び方|原因別のおすすめ商品と寝姿勢を解説
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「いびきの原因が枕にあり、枕を正しく使っていびきを改善したい」
とお考えではないでしょうか?
結論から言うと、いびきの原因は8つです。
そしてその内4つは、枕の使い方と寝姿勢に一工夫することで、いびきの改善が見込めます。
そこで本日は、「各ケース別に、いびきの改善が期待できる枕の使い方と寝姿勢」をご紹介します。
1. いびきのメカニズムを知る
まずは大前提として、いびきが起こるメカニズムを理解しましょう。1分で分かります。
いびきとは「眠っているときに吸い込んだ空気が喉を通るときに鳴る振動音」です。ラッパなどの管楽器から音が鳴るのと同じ原理です。

通常の呼吸ではこのような音は鳴りませんが、睡眠中に上気道がなんらかの原因で狭くなると、いびきが起こります。
そのため、「あなたの上気道が狭くなっている原因」=「いびきの原因」と考えると、どのような対策をとれば良いのか分かりやすくなります。
2. いびきの原因は8つ!その内4つは枕で改善が見込める
上気道を狭める原因(以下、いびきの原因)は8つです。そして、その内4つは枕の使い方を工夫することで改善が見込めます。
それでは次に、どの原因がその4つなのかをご紹介します。
2-1. 枕で改善できるいびきの4つの原因
あなたのいびきの原因が1~4の場合は、枕で改善が見込めます。5~8の場合は枕で改善するよりも効果が見込める対策があります。
- 肥満
- 加齢
- 顎の骨格
- 寝姿勢が悪い
- 扁桃の肥大
- 口呼吸
- 薬理学的原因(アルコール、薬剤、タバコ)
- 寝室の温湿度
(※5~8の原因については、『メカニズムに沿った8つのいびき対策』で詳細な対策方法をご紹介しているので、ご一読ください。)
それでは次に、1~4のいびきの原因の場合、具体的にどのようにすれば良いのかご紹介いたします。
2-1-1. 肥満による首周りの脂肪が原因のケース
太ると身体の内側に脂肪がつきます。もちろん、首の周りにも脂肪がつきます。そして、首の周りの体内脂肪により、上気道が狭くなります。
このケースでは、上気道の通りが寝姿勢により狭くならないことを目指します。そのため、3-2章のフラットな寝姿勢で眠る、3-4章の横向き寝をする、などの対策をお試しください。
もちろん根本的な解決策は、脂肪を落とすことです。枕と寝姿勢での対策はあくまで、対処法になります。
2-1-2. 加齢が原因のケース
年齢を重ねることで、筋肉の機能が低下します。もちろん、上気道内の部位(舌・口蓋垂(コウガイスイ:のどちんこのこと)など)の筋力も低下します。
睡眠中にこれらの筋肉が緩むことで、上気道を狭めることになりいびきの原因になります。運動量により個人差がありますが、早い人では30代から兆候が見られます。
このケースでは、舌や口蓋垂が喉元に落ち込みにくいような寝姿勢で眠ることがポイントです。そのため、3-3章の上体を若干起こした寝姿勢で眠る、3-4章の横向き寝をする、をお試しください。
2-1-3. 顎の骨格に原因があるケース
顎が小さかったり、細かったり、噛み合わせが悪かったりすると、寝ているときに舌が顎の中で収まりが悪くなり、喉に落ち込みやすくなります。そうすると、上気道が狭くなるのでいびきの原因になります。
女性に多い原因です。
このケースでは舌が上気道に落ち込みにくいように、3-3章の上体を若干起こした寝姿勢で眠る、3-4章の横向き寝をする、をお試しください。
2-1-4. 悪い寝姿勢が原因
あなたの枕は高すぎたり低すぎたりしていませんか?
枕が高すぎると上気道を狭めることになり、いびきの原因になります。枕が低すぎると、舌や口蓋垂が喉に落ち込みやすくなり上気道が狭められるので、いびきの原因になります。
このケースでは、3-1章の理想的な仰向け寝姿勢で眠ることをまずは試してみましょう。
それでもいびきをかく場合、他の原因も考えられます。例えば、年配の人の場合は、筋肉の衰えも影響していると考えられるので、3-3章の上体を起こした寝姿勢で眠る、3-4章の横向き寝をする、など臨機応変にあなたの状況を鑑みて他の対策にもチャレンジしてみましょう。
3. 改善ができる4つの寝姿勢の工夫
各寝姿勢の工夫の方法を分かりやすく説明します。あなたのいびきの原因に合わせた寝姿勢を試してみましょう。
3-1. 理想的な仰向け寝姿勢で眠る
理想的な仰向け寝姿勢のポイントは2つです。

-
肩口から頭が10~15度の傾斜」
この角度だと、頚椎(ケイツイ:首の7つの骨)のカーブを自然なまま保っていられます。肩と首の筋肉が強張ることなく、リラックスした状態を維持できます。舌・口蓋垂が落ち込みやすいケースの人は、15度程度の傾斜を作ると良いです。 -
顔面が5度の傾き
顔が若干うつ向く程度だと、気道の通りに差し支えることなく、睡眠中の呼吸を楽なままできます。
3-2. フラットな寝姿勢にする(≒低めの枕)
太り気味の人、首周りに脂肪がついている人にオススメの寝姿勢です。
上記の理想的な寝姿勢では通常、「顔面が5度の傾き」を推奨していますが、顔の傾きを0度に(床と水平)にしてみましょう。 太り気味の人からはこの方が呼吸がしやすいという報告があるためです。
低めの枕を使う、といえば理解が早いと思います。
3-3. 上体を若干起こした寝姿勢で眠る(≠高めの枕)
舌・口蓋垂が喉に落ち込みやすい体質の人にオススメの寝姿勢です。

枕を2つ使うなどして、上体を若干起こして寝るようにしてみましょう。
こうすることで、舌・口蓋垂が喉に落ち込みにくくなるのでいびきの軽減が期待できます。
くれぐれも注意していただきたいのが、「高めの枕を使う」のとは異なる点です。

上体を起こさずに枕を高くするだけの場合、上気道を狭めることになりいびきの原因になります。
なので、「上体を起こすこと」と「枕を高くすること」の違いをしっかりと認識しましょう。
3-4. 横向き寝をする
様々ないびきの原因に対して汎用的に改善策となれるのが、横向き寝の良いところです。

横向き寝姿勢のポイントは「あなたの頚椎が真っ直ぐ(床と平行)になること」です。この状態だと、上気道の通りに差し支えにくく呼吸ができます。
また、舌・口蓋垂が落ち込んでくることも減らせられるので、いびきの軽減を大きく期待できます。
3-4-1. 楽に横向き寝を安定させる方法
しかし、1晩中横向き寝姿勢を維持するのは、思ったよりも大変です。なので、本格的に横向き寝を検討されるなら、横向き寝サポート枕を使うことをオススメします。

- 製品:サイドウェイズ(Sidewayz)
- 価格:8,250円
- 【購入ページはこちら】
自社製品の横向き寝枕で手前味噌ですが、横向き寝を抜群に快適にするのでご紹介します。
横向き寝の際に、写真のようにL字の長い辺を背当てにしてもたれることで体圧を分散させられるので、安定して横向きのまま眠れます。また、抱きつくように反対向きになると、安定して半うつぶせ寝ができます。
4. いびき改善におすすめの枕タイプ
いびき改善には、頭圧分散性に優れた低反発枕がおすすめです。横向き寝の姿勢を安定させ、寝返りを減らすことで気道の閉塞を防ぎ、呼吸をスムーズに保ちやすくなります。
肩幅に合わせて高さを設計した横向き寝用枕も、気道を広く確保できるため効果的です。さらに抱き枕を組み合わせれば、胸が自然に開いて呼吸が楽になりやすいでしょう。
近年は、頭の位置を自然に調整して気道を塞がれにくくするいびき防止専用枕も登場しており、睡眠時無呼吸が気になる人にも有効です。
5. いびき改善に使用する枕を選ぶときのポイント
いびきを軽減するには、枕の種類そのものだけでなく、選び方のポイントを押さえることが大切です。高さや硬さ、通気性、頭圧分散性といった要素を見直すことで、気道が確保されやすくなり、睡眠の質改善にも役立ちます。
ここでは、その具体的なポイントについて見ていきましょう。
5-1. 高さ調整を意識する
高すぎる枕を使うと顎が必要以上に引けて首の後ろが緊張し、気道が狭まっていびきや睡眠時無呼吸の原因になります。反対に低すぎる枕では首が反り返り、頭が落ち込むような姿勢になりやはり呼吸がしにくくなります。
首の自然なカーブを保ち、横向きでも仰向けでも無理のない高さを見つけることが大切です。体格によって最適な高さは変わるため、実際に試してみるのが理想でしょう。
5-2. 硬さ(反発力)のバランスを取る
柔らかすぎる枕は沈み込みすぎて姿勢が崩れ、硬すぎる枕は接地面が少なく一部に負担が集中します。その中間でおすすめなのが低反発枕です。頭の形に沿ってフィットしやすく、包み込まれるように安定するため、寝返りが減って気道を圧迫しにくい姿勢を保ちやすくなります。
反発力は寝心地の好みも分かれる部分なので、高反発やラテックスなどとの違いも体感して選ぶと安心です。
5-3. 通気性を確認する
低反発やウレタン素材はフィット感が高い一方で、どうしても熱や湿気がこもりやすく蒸れを感じやすい傾向があります。寝汗や蒸れが気になる人は、通気孔が設けられたタイプや3Dメッシュ素材のカバーを組み合わせると快適さがアップします。
通気性が高いほど、長時間使用しても呼吸がしやすくリラックスしやすい環境を整えられるでしょう。
5-4. 頭圧分散性を重視する
頭部の重さを一点に集中させず、広く分散して支える枕は、首や肩に余計な負担をかけません。体圧分散性の高い枕は寝返りをスムーズにし、横向き寝の姿勢を安定させる効果があります。
結果として気道の閉塞が起きにくくなり、いびき改善にもつながります。特に低反発素材は頭全体を面で支える構造のため、頭圧分散性を重視する人におすすめです。
6. いびき対策の枕と生活習慣改善の重要性
いびき対策として、枕は気道を確保しやすくするサポートをしてくれます。生活習慣の改善を併行して行うことで、より効果的な改善が期待できます。
まず大切なのは体重管理です。肥満は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の大きなリスク要因であり、適正体重の維持や減量が症状の改善に直結します。
次に注意したいのが飲酒習慣です。就寝前のアルコールは筋肉を弛緩させて気道を狭めるため、いびきを悪化させる恐れがあります。「眠りやすくなる」という誤解もありますが、実際には無呼吸を招くリスクが高まるのです。
また、禁煙も欠かせません。喫煙は気道の炎症やむくみを引き起こし、いびきを助長する要因になります。加えて、睡眠薬の中には筋弛緩作用を持つものがあるため、使用している場合は医師に相談することが望ましいでしょう。
7. いびき改善の枕を使っても改善しない場合は?
枕を工夫したり生活習慣を改善したりしても、いびきがなかなか収まらない場合は、背景に別の要因が隠れている可能性があります。
とくに注意したいのが睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。睡眠中に呼吸が断続的に止まる病気で、強いいびきや日中の眠気を引き起こすだけでなく、高血圧や心疾患などのリスクにもつながります。
このようなケースでは、自己判断で対処を続けるのではなく、呼吸器内科や耳鼻咽喉科などの専門医に相談することが重要です。検査を受けて原因を明らかにし、診断に基づいた治療を進めることが改善への近道となります。
最後に
もしあなたのいびきの原因が8つの内、①肥満、②加齢、③顎の骨格、④悪い寝姿勢の場合は、各原因に合わせた枕の使い方と寝姿勢を工夫することで改善が見込めます。
すぐに効果が期待できるので、是非今夜からお試しください。
また、もしあなたが「素材から見直して枕選びをしたい」とお考えであれば、以下のページで13種類の比較しながら適切な高さ・硬さなどの選び方をご紹介しているので参考にしてみてください。
関連記事:【熟睡枕おすすめ7選】正しい選び方で相性チェック!なお、枕に関するページを以下にまとめましたので、気になるトピックがあればあわせてご参考にしてください。
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よくある質問
Q1. いびき改善に効果的な枕の高さはどのくらい?
A. 一般的には首から肩のラインが自然な寝姿勢になる高さが理想です。仰向けではやや低め、横向き寝では肩幅を支えられる高さが必要です。
高さ調整ができる枕を選ぶと頭圧分散が安定し、鼻呼吸がしやすくなりいびき軽減につながります。
Q2. 横向き寝専用の枕はいびきに効果がありますか?
A. はい。横向き寝は気道が確保されやすく、専用枕は肩と頭をしっかり支えて反発力やフィット感を保ちます。
特に舌の筋力低下で気道がふさがりやすい方には、横向き寝用の専用枕が効果的です。
Q3. いびき対策枕はどのくらいで効果を実感できますか?
A. 個人差はありますが、早ければ1週間ほどで睡眠の質やいびきの音量に変化を感じる人もいます。
通気性が良く、寝返りしやすい枕を使うことで効果が出やすくなります。ただし生活習慣の影響も大きいため、禁酒や体重管理と併用することが重要です。
Q4. いびき枕を使っても改善しない場合はどうすればいいですか?
A. 枕で改善しない場合、睡眠時無呼吸症候群など病気の可能性があります。
専用枕や高さ調整だけでは対応できないケースもあるため、耳鼻科や睡眠外来での診断をおすすめします。必要に応じてCPAPなど医療的な治療が有効な場合もあります。
著者紹介

著者情報
加賀 照虎(上級睡眠健康指導士)
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
各種SNSで情報発信中。
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
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