ポケットコイルマットレスの選び方とおすすめ3選|寝心地・耐久性・通気性を徹底解説

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ポケットコイルマットレスの選び方とおすすめ3選|寝心地・耐久性・通気性を徹底解説

こんにちは、加賀照虎です。

突然ですが、ポケットコイルマットレスの購入を検討している方は注意が必要です。

中途半端なものを選ぶと、腰を痛めやすくなったり、コスパの悪さにがっかりすることになるかもしれません。とはいえ、いきなりそんなことを言われても納得できないですよね。

そこで今回は、

  • ポケットコイルマットレスの特徴
  • その特徴を踏まえた選び方
  • おすすめのポケットコイルマットレス3選
  • ポケットコイルマットレス選びのよくある質問と注意点

について分かりやすく解説していきます。

ぜひ参考にしていただき、納得のいくマットレス選びにお役立てください。

(動画での解説を追加しました!)

※自分に合ったマットレスを選ぶ手順(型→素材→個別商品)と値段別におすすめできるマットレスについてこちらのページ「マットレスのおすすめ11選|専門家が教える自分に合うものを絞り込む手順」で徹底解説しています。コイルについてだけでなく、より網羅的なマットレス選びの情報をお探しでしたらあわせてご参考にしてください。

1. ポケットコイルマットレスの特徴

まずは比較してみましょう。

よくある高反発ウレタンマットレスやボンネルコイルマットレスと比較してみると、ポケットコイルマットレスの寝心地や使い勝手の違いがイメージしやすくなります。

高反発ウレタン ボンネルコイル ポケットコイル
画像 regular-foam bonnel-coil pocket-coil
寝心地
費用
横揺れ ×
きしみ音 ×
通気性

ポイントとなる特徴は下記の3つです。

  • 点で支える構造
  • コイルが独立していること
  • コイルが不織布で覆われていること

これにより寝心地・使い勝手が変わってきます。

それぞれ分かりやすく説明していきます。

1-1. 点で支える構造のため体圧分散性・弾力性ともに高い

面で体を支えるボンネルコイルとはまったく違います。

バネの1つ1つが点で支える構造のため体圧分散性がより高くなりますし、バネならではの弾力性のある寝心地です。

ボンネルコイル ポケットコイル
bonnel-coil pocket-coil

しかし、その構造上、ボンネルコイルのように頑丈ではないため、線材が低品質だと早期劣化により腰の沈み込みがひどくなりやすくなります。

そのため、ポケットコイルの良さを引き出す構造で、なおかつ、耐久性の高い線材のものを選ぶことが大事になります(2章で詳述)。

1-2. コイルが独立しているため横揺れ・軋み音が少ない

ポケットコイルはコイルがそれぞれ独立しているため

  • 横揺れしにくい
  • 軋み音が少ない

などのメリットがあります。

pocket-coil

ただ、コイルを包んでいる不織布が柔軟性のない低品質なものだと破れやすく、コイルが伸縮するときに接触してミシミシ音をたてることになります。

ただ、ポケットコイルの内部は開けて確認することができないため、信頼できるメーカーのものを選ぶようにしましょう。

1-3. 個々のコイルが不織布で包まれる構造のため通気性はそこそこ

ポケットコイルのコイルは1つ1つが不織布で包まれています。

そのため、ボンネルコイルよりは通気性がやや劣りますが、それでもそこそこ良いです。

とはいえ、マットレス内部の通気性が良くても、コイルの上にはウレタンフォームなどの詰めものがあるため、蒸れにくい寝心地というわけではありません。別途、対策が必要になります。

ポケットコイルマットレス断面図
ポケットコイルマットレス断面図

なお、この構造のため廃棄が大変です。

コイルが不織布で包まれているため、お住まいの地域によっては廃棄処分のときの手続きが煩雑だったり、追加費用がかかることがあります。事前に確認しておきましょう。

1-4. 大きく重たいので搬入、設置、処分は大変

ポケットコイルマットレスは大きく重たいです。

ノンコイル素材のマットレスと比べるとよく分かります。

敷布団 ノンコイル
薄型マットレス
脚付き
マットレス
ノンコイル
ベッドマットレス
コイルスプリング
ベッドマットレス
画像 futon1 thin-non-coil-mattress1 mattress-with-legs thick-non-coil-mattress1 coil-mattress1
厚み 5~10cm前後 7~10cm前後 10~20cm前後 15~25cm前後 20~35cm前後
重量 3~6kg前後 4~7kg前後 10~30kg前後 10~20kg前後 20~30kg前後
寝心地
耐久性
揺れ&音
使用環境 床&ベッド ベッド ベッド ベッド
手入れ
クリーニング × ×
処分
価格

そのため、こういった特徴から、

  • 5~6年前後の中期的使用を考えている
  • 引っ越しをする可能性がある
  • 手軽に扱えるものがいい
  • 力仕事は避けたい
  • 部屋の雰囲気が重くなるのはイヤだ

などに該当するならポケットコイルマットレスはやや合いにくいと考えられます。

2. ポケットコイルマットレスの特徴をもとにした選び方

それでは次に、ポケットコイルマットレスを選ぶときのポイントです。

絶対に守るようにしてください。そうしていただければポケットコイルの良さを引き出していないような低品質な商品を避けることができます。

2-1. 体圧分散させるための詰めものの厚さ

コイルの上の詰めものが大事です。

というのも、ポケットコイルの体圧分散性がいかに良いとはいっても、やはりコイルスプリングマットレスの体圧分散性を左右する最大の要素はコイルの上の詰めものだからです。

polyurethane-foams-on-the-coil-are-important
コイルの上の詰め物が寝心地を大きく左右する

詰めものが少ないものは危険です。

体を支えきれずにコイルの硬さを腰に感じることになります。薄いマットレスによくある底つき感のような感覚です。

底つき感のイメージ
仰向け
横向き

絶対に覚えておきましょう。

使用者の体重をもとに詰めものに必要最低限以上の厚さがあるか確認しましょう。

使用者の体重 必要最低限の厚さ
ウレタン ファイバー コイルの上の詰めもの
30kg 5cm 3cm 3cm
60kg 7cm 5cm
80kg 10cm 7cm 4cm
100kg 13cm 10cm

低価格なものは本当にひどいです。

そのような商品の中には、厚さ1cmのウレタンフォームが一枚だけしかないようなものがあります。

このようなマットレスで寝ているとコイルの硬さが腰に直撃して腰痛の原因になります。

低品質なスプリングマットレスは詰め物が少なすぎることが多い
低品質なスプリングマットレスは詰め物が少なすぎることが多い

なお、これとは反対に、厚さが35cm以上の分厚いマットレスには、詰めものが分厚すぎてポケットコイルの弾力性を損なっているものがあります。

寝てみたときに詰めものの気持ちよさだけでなく、コイルの柔軟性を感じられるか確認してみてください。

2-2. 耐久性の高いものを選ぶ方法

ポケットコイルマットレスの耐用年数(寿命)の長さは詰めものの「ウレタンフォームの密度」と「コイルスプリングの線材の品質」により決まります。見るべきポイントを解説します。

2-2-1. ウレタンフォームの密度

意外に思われるかもしれませんが、コイルマットレスのへたりの多くはウレタンフォームなどの詰めものを原因としています。そのため、コイルマットレスといえど、詰めもののウレタンフォームなどの品質を見極めることが大事になります。

結論、ウレタンフォームの耐久性は密度(=体積/重量)により決まります。

ウレタン密度(kg/㎥) 耐久性の評価
高反発 低反発
20D以下 30D以下
  • 数ヶ月~1年程度の耐用年数。
  • 1万円をきる安価なマットレスに使用される。
25D前後 35D前後
  • 3~5年程度の耐用年数。
  • リーズナブルなマットレスに使用される。
30D前後 40D前後
  • 5~8年程度の耐用年数。
  • 国内・海外ブランドの有名マットレスに使用される。
40D以上 50D以上
  • 8年以上の耐用年数。
  • 高価で高品質なマットレスに使用される。

スカスカで低密度のウレタンフォームはへたりやすく、ぎっしりと詰まった高密度のウレタンフォームは丈夫で長持ちする、というとイメージしやすいかと思います。

5~8年の耐用年数を考えているなら高反発ウレタンフォームで密度30D前後、低反発ウレタンフォームで密度40D前後のものを、10年以上使えるものを想定しているなら高反発ウレタンフォームで密度40D前後、低反発ウレタンフォームで密度50D前後のものを選ぶことをおすすめします。

商品資料にウレタンフォームの密度の記載がないものがありますが、販売店の方に聞けば教えてもらえます。密度情報が非公開の商品は、、、避けることをおすすめします。

2-2-2. コイルスプリングの線材の品質

コイルスプリングの線材の品質のほうは、品質表示ラベルの「コイルスプリングの材料と種類」を見ると分かります。

ポイントは線材の種類、炭素保有量、マンガン保有量です。

5~8年の耐用年数を考えているなら硬鋼線(SWRH)で②の数値が70以上で③がB以上のものを基準にして選ぶようにしましょう。耐用年数が10年以上のものを想定しているなら硬鋼線(SWRH)で②の数値が70後半以上で③がB以上のもの、もしくは、ピアノ線(SWRS)を使用しているものを選びましょう。

線材の種類 炭素保有量値 耐用年数の目安
ピアノ線 SWRS 77~92 10年前後
硬鋼線 SWRH 82
72~77 6~7年前後
62~67 3~4年前後

【注意】大変残念なことに、平成29年3月30日よりスプリングマットレスの品質表示法の改定があり、表示内容が大幅に簡素化されることになりました。

今後はこのような表示内容になるため、品表ラベルを見てスプリングの数、大きさ、材料の種類、品質などを知ることができなくってしまいました。とはいえ、メーカーも販売店も今まで通り上記のスペックを参考に売買をしているので、あなたが店頭でマットレスの線材と品質を質問すれば教えてくれるでしょう。優れた一品を選び抜くため使える知識ですので、品質表示に記載はされていないとしても、知っておくに越したことはありません。

もちろん、コイルスプリングと詰めもの、どちらの品質も良いものでないといけません。

またそれと同時に、パッドやプロテクターなどで大切に扱わないと生地が擦れたり破れたりなどして結局長持ちしなくなることはご了承ください。

敷きパッド ベッドパッド ベッドシーツ トッパー プロテクター
画像 shiki-pad1 bed-pad1 bed-sheet1 mattress-topper1 mattress-protector1
役割
  • 肌触りの改善
  • 温湿度の調整
  • マットレスの汚れ防止
  • 肌触りの改善
  • 温湿度の調整
  • おしゃれ
  • 体圧分散改善
  • マットレスの
    汚れ防止
厚み 1~2cm前後 3~4cm前後 5mm前後 3~5cm 5mm前後
温湿度調整 ×
汚れ防止
洗濯 ×
体圧分散性 × ×

2-3. コイルを吟味する優先順位(コイル数は二の次でOK)

ポケットコイルマットレス選びで大変なのが、コイルのスペックです。

上記で説明した線材の品質に加えて、コイルの形状、数、長さ(ストローク)、太さ(線径)、巻き数、配列など多くの要素があるため、何がなんやらと困り果ててしまいますよね。

下記の優先順位で考えましょう。

  1. 線材の種類と品質
  2. コイルの形状と配列
  3. ゾーニング
  4. 数、長さ(ストローク)、太さ(線径)、巻き数

1つ目の線材の種類と品質は先に話したとおり。最重要ポイントです。絶対に押さえるようにしましょう。

2-3-1. コイルの形状と配列

そして、2つ目に大事なのがコイルの形状と配列です。

円筒型 樽型 円錐型 砂時計型
画像 pocket-coil-cylinder-shape pocket-coil-barrel-shape pocket-coil-cone-shape pocket-coil-hourglass-shape
特徴 平均的な寝心地 柔らかめの寝心地 硬めの寝心地 柔軟な寝心地
並行配列 交互配列
画像 honeycomb-layout1 parallel-layout1
密度 普通 高め(約1.2倍)
硬さ 普通 やや硬め
弾力性 高め 低め
通気性 高め 普通
耐久性 高め 普通

これは主にコイルの動きが左右されるポイントです。

いかにもポケットコイルのような柔軟な寝心地が好みなら樽型や砂時計型がおすすめですが、しっかりとした寝心地が好みなら円筒型や円錐形でなおかつ交互配列になっていているものが合いやすいです。

2-3-2. ゾーニング

そして、3つ目に考えてもらいたいのがゾーニングです。

通常 3ゾーン 5ゾーン エッジサポート 5ゾーン
エッジサポート
画像 mattress-without-zone mattress-three-zones mattress-five-zones mattress-with-edge-support mattress-five-zones-with-edge-support
特徴 硬さが全体で
統一されている
腰を硬めに
しっかりサポートする
足、腰、頭を硬めに
しっかりサポートする
腰掛けやすいよう
外周が硬めになっている
5ゾーンとエッジ
サポートの組み合わせ

日本人に好まれるのが腰を硬めにする構造のものです。

また、ベッドの淵に座る習慣がある人には、エッジサポートといって周りが硬くなっているものがおすすめです。

2-3-3. コイルの数や長さ、太さ、巻き数

最後に、コイルの数や長さ、太さ、巻き数になりますが、これについてはあまり考えてなくて結構です。

上記の3点を精査していると自然に決まってくるかと思います。なお、ポケットコイルマットレスというと、「コイルの数が多いもの」=「良いもの」というイメージが強いかと思いますが、正直、コイルの数は見掛け倒しのマーケティング手法であることが大抵です。作っている側の人間も「寝心地は変わらないけど高く売れるからコイルの数を増やしている」という認識がほとんどです。

2-4. 体圧分散性を左右するキルト構造

とても細かい話です。

側生地(元々付いてるカバー)がどのような縫製(縫われ方)になっているかでも寝心地が若干変わってきます。

ジャンプキルト 連続キルト
画像 jump-quilting quilting
風合い 柔らか しっかり
横揺れ

右側の連続キルトというのは縫製が一続きになっているため生地の伸縮性・柔軟性が落ちてしまい、つっぱる感じがしてしまいます。

その一方、左側のジャンプキルトは縫製が部分部分で完結しているため、生地本来の伸縮性を保つことができます。高品質なポケットコイルマットレスを購入するなら絶対にジャンプキルトのものがおすすめです。

2-5. 蒸れにくさを左右する詰めものの中わた素材

詰めものはウレタンフォームだけではありません。

その上に、わたが詰められています。そして、どのようなわた素材が採用されているかで、そのマットレスの品質が分かってきます。

素材 弾力性 吸水性 放湿性 洗濯 費用
綿
(コットン)
cotton1
ポリエステル -
羊毛
(ウール)
wool1

結論、下記のようなイメージです。

  • 低価格:ポリエステルわた
  • 中価格:抗菌・防ダニなどの機能性ポリエステルわた
  • 高価格:羊毛わた(または機能性ポリわたとブレンド)

長期的に使うポケットコイルマットレスを購入するなら10万円前後の予算感になるかと思いますが、その価格帯のものなら羊毛わたなどが採用されているものが多いです。

羊毛は吸湿性、発散性に優れるので蒸れにくく快適です。高品質なマットレスを購入するならぜひ押さえておきましょう。

2-6. 通気性を高めるためにベンチレーターがおすすめ

お住まいが湿気りやすいならマットレスの側面にベンチレーターが付いているものを選ぶことをおすすめします。

ventilator-on-mattress

これによりマットレス内外の空気の流通を促すことができます。

とはいえ、これだけでは安心できません。マットレスの下には除湿シートを敷いたり、マットレスの上にはパッドやプロテクターを敷いて、湿気と汚れがたまらないようにしないとマットレスにダニやカビが繁殖してしまいます。

ダニ・カビ繁殖三大原因 発生源
温度 temperature
  • 人の体温
  • 気候
湿度 humidity
  • 寝汗
  • 気候
  • 結露
エサ foods
  • 剥がれ落ちた皮膚
  • フケ
  • 皮脂

パッドなどをきちんと揃えるようにしましょう。

2-7. ローテーションは大変なので両面より片面仕様がおすすめ

ポケットコイルマットレスには両面仕様のものがありますが、片面仕様のものがおすすめです。

というのも、両面仕様のマットレスとなると半年から一年に一度を目安にマットレスをひっくり返すローテーション作業をやることになるからです。

マットレスのひっくり返し方
マットレスのひっくり返し方

この作業は酷です。ポケットコイルマットレスは薄めのシングルサイズでも20kg前後、厚さが30cm前後のものでダブルサイズのものとなると40kg前後になります。

この重さのものをひっくり返すのは相当大変ですし、運動に慣れていない人がやると怪我をする恐れすらあります。

敷寝具種類 イメージ  厚さ   重量 
敷布団 木綿 cotton2

10cm
(仮定)

6kg
ノン
コイル
高反発ウレタン regular-foam 7kg
高反発ファイバー air-fiber 10kg
高弾性ウレタン high-resiilience-foam 10kg
ラテックス latex-foam 15kg
低反発ウレタン memory-foam 11kg
ハイブリッド 3-layers-hybrid-mattress -
コイル ボンネルコイル bonnel-coil 20cm
(仮定)
18kg
ポケットコイル pocket-coil 20kg

私のおすすめの選び方は、詰めものは片面だけでいいのでその分、高品質な詰めもの(高密度な高弾性ウレタンフォームや天然100%のラテックスなど)が使われているものを選ぶことです。

そしてその上で、プロテクターなどで保護してへたりにくいように扱うことです。

2-8. サイズの選び方と注意点

マットレスのサイズ選びは、体の大きさ、使用人数、部屋の大きさなどをもとに考えるのが順当です。

名称 幅寸法 イメージ 寝室目安 用途
セミシングル 80cm mattress-semi-single-size1 4畳 1人(子供・小柄な方)
シングル 97cm mattress-single-size1 4畳 1人(中柄な方)
セミダブル 120cm mattress-semi-double-size1 6畳 1人(大柄な方)
ダブル 140cm mattress-double-size1 8畳 1~2人(小柄な方2人)
クイーン 160cm mattress-queen-size1 8畳 2人(中柄な方)
キング 180cm mattress-king-size1 10畳 2人(大柄な方)

一人で使用するならこの選び方で問題ないですが、二人で使用される(もしくはする予定)の方は気を付けなくてはならないポイントがあります。

それがクイーンなどの大きいサイズです。昨今の物流業界の値上げにつぐ値上げにより、クイーンサイズ以上のコイルマットレスはその大きさと重量から製造・販売が不可能になりつつあります(数十キロ運ぶだけで2~3万円/1台の配送料がかかるので採算が合わない)。

そのため、私のおすすめはセミシングルやシングルサイズを2台買い揃えることです。十分な広さであることはもちろん、使う人に合わせてマットレスやパッドなどを選ぶことができるからです。例えば、男性はやや硬めで女性はやや柔らかめ、男性のシーツは麻で女性のシーツはシルク、などといった調整も可能です(見た目がチグハグにならないように調整するのが大変ですが)。

2-9. 側生地の機能性加工は"あると嬉しい"程度で

ポケットコイルマットレスは上にシーツや敷きパッドを重ねて使うため、肌で実感する機能は上層(シーツ/敷きパッド)側の影響が大きくなります。

本体側生地の機能性加工は「補助的」と考え、まずは【詰めものの厚さ/密度】【コイル線材の品質】【キルト構造】【ベンチレーター】を優先しましょう。そのうえで、ここからご紹介する加工は"あると嬉しい"選択肢として見ていきましょう。

2-9-1. 吸水速乾(側生地)

寝汗由来の湿気を拡散し、側生地のベタつきを抑えます。ムレ感の軽減に寄与しますが、体感の主役はシーツ/敷きパッド側です。本体は「速乾ニット×ジャンプキルト」の組み合わせだと生地の突っ張りが少なく快適です。

2-9-2. 抗菌防臭(制菌)

汗臭の原因菌の増殖を抑制する加工です。梅雨時や汗っかきの方に相性が良いです。衛生性の底上げには有効ですが、実運用ではプロテクターやこまめな洗濯のほうが効果大です。

2-9-3. 消臭

汗・皮脂・生活臭の低減を狙う加工です。強い体感はシーツ側の消臭機能や洗濯頻度で担保しましょう。

2-9-4. 防ダニ

忌避・増殖抑制系の加工です。アレルギー配慮としてはプラスですが、決め手は「洗えるカバーの運用」と「プロテクター+定期洗濯」です。機能表示だけに依存しないのがポイントです。

2-9-5. 防水

裏面ラミネートで液体浸透を防ぐ加工です。おねしょ・汗染み対策としては、本体よりも"防水プロテクター"の常用が現実的でしょう。マットレス自体の"防水"は選択肢が限られ、通気・肌感に影響しやすいため優先度は低めです。

2-9-6. 接触冷感・吸湿発熱

触れた瞬間のひんやり感/湿気でじんわり発熱するタイプです。マットレス本体に施されても、上にシーツ/敷きパッドを敷く運用で肌感の多くが打ち消されます。季節の体感は"上層(リネンや接触冷感シーツ/起毛パッド等)"で調整しましょう。

2-9-7. 制電・静電気防止

乾燥期のパチパチ軽減につながる加工です。冬場の不快感を下げる補助要素としては有用ですが、湿度管理と素材選び(起毛の上層使い過ぎ回避)のほうが効果的です。

3. ポケットコイルマットレスのメンテナンスと寿命の見極め方

ポケットコイルマットレスは、正しいお手入れを行うことで快適に使い続けることができる寝具です。ただし、通気性の悪い環境やローテーションを怠ると、カビやへたりが早期に発生してしまう場合があります。

3-1. 日常のお手入れで寿命を延ばすコツ

除湿シートの併用で湿気を防ぐ

マットレスの下に除湿シートを敷くことで、底面の湿気を吸収し、カビや臭いの発生を防ぎます。梅雨や冬場は、月1回程度陰干しを行うとより効果的です。

ローテーションでへたりを分散

同じ部分に体重がかかり続けるとスプリングが劣化しやすくなります。3〜6か月に一度、上下・表裏を入れ替えることで、反発力と体圧分散性を長持ちさせられます。※片面仕様タイプは上下の入れ替えだけでもOK。

マットレスプロテクターやベッドパッドを使用

汗や皮脂の染み込みを防ぎ、コイルや詰めものの劣化を防止します。洗濯可能なカバーを使用することで衛生面も安心です。

3-2. 寿命の見極めポイント

以下のようなサインが出たら、買い替えを検討するタイミングです。

  • 中央部分の沈み込みが戻らない
  • 横になると腰や肩に違和感がある
  • スプリング音(ギシギシ音)が出る
  • 表面の生地にたるみや波打ちが見られる

これらはコイルや詰めものの耐久性が低下したサインです。寝姿勢のバランスを崩す原因にもなるため、快眠を維持するためには適切な時期の買い替えが大切です。

3-3. 快適さを保つためのおすすめ習慣

  • 週1回はシーツを外して通気を確保
  • 季節ごとに陰干し+除湿機を併用
  • 床置きの場合は「すのこ+除湿シート」の併用で湿気対策

正しいメンテナンスを継続すれば、ポケットコイルマットレスは反発力・通気性・衛生面を長く維持できます。

4. 使用者タイプ別おすすめマットレス

ポケットコイルマットレスといっても、コイル数・硬さ・詰めものによって寝心地は大きく異なります。自分の体格や寝姿勢に合わせて、最適なタイプを選びましょう。

使用タイプ おすすめ仕様 特徴・メリット
腰痛に悩む人 樽型コイル × 交互配列 × 高密度ウレタン 腰の沈み込みを防ぎ、体圧分散性が高い。寝姿勢を正しくキープ。
蒸れが気になる人 ベンチレーター付き × 羊毛混充填 × メッシュ生地 通気性・放湿性が高く、夏でも快適。湿気対策にも最適。
二人で使用する人 交互配列 × エッジサポート付き × 中硬質タイプ 横揺れを抑え、体の沈み込みを分散。耐久性も◎。
一人暮らし・女性 片面仕様 × 軽量モデル × 中反発ウレタン 扱いやすく、持ち運び・陰干しがしやすい。コスパも良好。
柔らかめの寝心地が好きな人 円筒コイル × ソフト詰めもの構造 フィット感が高く、包み込まれるような寝心地。
硬めの寝心地が好みの人 硬鋼線コイル × 高密度フォーム 反発力が高く、寝返りがしやすい。腰痛対策にも◎。

ポケットコイルマットレスの快適さは、素材選び+メンテナンスで大きく変わります。除湿シートやベッドパッドなどを併用し、季節ごとのケアを行えば、より長く快適な寝心地を保てる長寿命マットレスとして活用できます。

5. ポケットコイルマットレス選びによくある質問と注意点

購入前によく聞かれる点について解説します。

5-1. 脚付き仕様のものを選ぶときの注意点

脚付き仕様自体は悪くないです。

しかし、低価格・低品質なものが多く、詰めもののウレタンフォームが1cm前後しかなく硬すぎる寝心地のものが大半です。詰めものは4cm以上あるものを選びましょう。

一体型 分割型
画像 mattress-bed-with-legs separatable-mattress-bed-with-legs
寝心地
取扱い

なお、分割式のものは分割部のフレームが腰に当たり寝心地がひどく悪いことがあるので避けることをおすすめします。

5-2. 薄型のものは非推奨

厚さが10cm前後の薄型ポケットコイルマットレスが販売されることがありますが、ほぼすべて詰めもののウレタンフォームが1cmあるか、もしくはわただけだったりします。つまり、寝心地がひどく硬いものが大半ですので、避けることをおすすめします。

5-3. 折りたたみ仕様のものは非推奨

ポケットコイルマットレスを折り畳んでも重たいため収納することはできませんし、片付けるのも大変です。もちろん、薄く作られることが大半のため詰めもののが少なくて寝心地が悪いことが多いです。また、折り目のフレームが硬いことも寝心地を悪くする一因です。デメリットしかないので非推奨です。折りたたみマットレスを検討しているなら、高反発ウレタンマットレスのほうがおすすめです。下記のページを参考にどうぞ。

関連記事:三つ折りマットレスのおすすめ9選。失敗しない選び方のコツを解説

5-4. フローリングや畳に直置きするときの注意点

ポケットコイルマットレスはベッドの上で使うことを想定されていますが、フローリングや畳の上に直置きして使うことも可能です。とはいえ、湿気がたまりやすいのできちんと対策をしておきましょう。下記のページで説明しているので参考にどうぞ。

関連記事:フローリングにマットレスを直置きする前に知るべき注意点とおすすめ対策

5-5. 圧縮仕様のものは再圧縮不可

圧縮ポケットコイルマットレスは一度開封したら再圧縮不可能です。そのため、圧縮ポケットコイルマットレスを購入するなら、ベッドの上で開封するようにしましょう。

5-6. 汚れた洗濯できるのか?

側生地が汚れたら湿ったタオルで拭いて掃除しましょう。しかし、内部まで汚れているとなるとマットレスを開けられないので自分で処理するのは不可能です。クリーニング業者に依頼してスチーム洗浄してもらいましょう。1台で1~2万円の費用が発生してしまいますがダニなども一掃してもらえます。

5-7. お手入れのときの注意点

高反発ウレタンマットレスのように壁に立てかけて干すことはできません。

How-to-air-mattress
マットレスを壁に立てかけて干す

そのため、パッドやシーツなどを上手に買い揃えてお手入れの手間を省くようにしましょう。お手入れの詳細については下記のページで説明しているので、気になる方はあわせてお読みください。

関連記事:ベッドマットレスのお手入れ・掃除方法と、簡単にするコツ

5-8. 自分自身で解体処分するのは不可能

ポケットコイルマットレスを自分自身で解体処分するのは不可能です。

プロによる解体の様子を映した動画があるのでご覧ください。きっと諦めがつくかと思います。

粗大ゴミとして廃棄するのが通常です。

しかしもし、ゴミ捨て場まで運ぶのが不可能でしたら、引取専門業者などに依頼して捨てるようにしましょう。このような捨て方だと1台につき1~2万円ほど費用がかかってしまうので購入時にこの点を念頭に置いておくことをおすすめします。

6. おすすめのポケットコイルマットレス3選

上記でご説明したポイントを踏まえて、おすすめできるポケットマットレスを3つご紹介します。

6-1. New Rev.7 パープルラベル

tokyo-bed-moisture-mattress
New Rev.7 パープルラベル
  • 製品:New Rev.7 パープルラベル
  • 硬さ:ソフト/ベーシック/ハードから選択可能
  • サイズ:シングル(97×195×27cm)
  • 価格:82,500円
  • 送料:無料
  • 【販売ページはこちら】

フランスベッドグループの老舗メーカー東京ベッドが手がけるマットレスです。7インチ(約18cm)のポケットコイルに高反発ウレタンフォーム2cmと湿度調整機能のあるウレタンフォーム2cm、さらに羊毛わたが詰められています。体圧分散性は十分ですしさらに蒸れにくい構造になっています。

6-2. ドリームベッド ドリームポケットトルネード

ドリームポケットトルネード
ドリームポケットトルネード

アメリカのベッドブランドの中でも有名なSerta(サータ)の製造を手がけるドリームベッド社のマットレスです。ポケットコイルにしてはなかなかお目にかかれないハードタイプです。円錐形のコイルを順向き・逆さ向きと交互に並べることにより、スプリングの動きに制限が生まれ、しっかりとした硬さを実現しています。パートナーと一緒に寝ていてマットレスの揺れが気になる方におすすめです。

6-3. フランスベッド PR70-DDEX

  • 製品:フランスベッド PR70-DDEX
  • 硬さ:やや柔らかめ
  • サイズ:シングル(97×195×31cm)
  • 価格:115,500円
  • 送料:無料
  • 保証:2年間品質保証
  • 【販売ページはこちら】

フランスベッド独自の高密度連続スプリングがダブル構造になっている上に、高弾性ウレタンフォームを組み合わせたベッドマットレスです。寝たときの風合いがふんわりと心地良いのはもちろん、体をしっかりとサポートするスプリングが二重構造になっているので横揺れがさらに少なく、家族で寝る方にもおすすめのマットレスです。生地に防ダニ、抗菌、防臭加工が施されているのも嬉しいポイントです。

最後に

ポケットコイルマットレスの選び方について理解いただけていれば幸いです。

ポケットコイルマットレスは構造上、低品質なものは劣化しやすく処分も手間なので、くれぐれも高品質なものを選ぶようにしましょう。

また、「ポケットコイルマットレス以外のマットレスも検討してみたいな」とお考えであれば、以下のページで寝心地が素晴らしいマットレスを選ぶためのポイント(体圧分散性、弾力性、耐久性など)とおすすめのブランドについて徹底的に解説しているので、是非あわせてご参考にしてください。以下のページで寝心地が素晴らしいマットレスを選ぶためのポイント(体圧分散性、弾力性、耐久性など)とおすすめのブランドについて徹底的に解説しているので、是非あわせてご参考にしてください。

関連記事:【2025年最新】快眠マットレスおすすめ17選&専門家が選ぶおすすめと失敗しないポイント

なお、マットレスに関するページを以下にまとめましたので、気になるトピックがあればあわせてご参考にしてください。

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よくある質問

Q1. ポケットコイルマットレスの寿命はどれくらい?

A. 一般的な耐用年数は7〜10年が目安です。ただし、使用環境やコイルの品質によって差があります。マットレスの寿命を左右するのは、コイルの線材と詰めもの(ウレタンフォーム)の密度です。

  • コイル素材は「SWRH」や「ピアノ線(SWRS)」が使われている高品質モデルを選ぶと◎
  • 詰めものは高密度(30D以上)のウレタンを使用しているものがおすすめ

また、除湿シートを併用して湿気を防ぎ、半年に一度ローテーション(上下・裏表の入れ替え)を行うことで、反発力と寝心地を長く保てます。

Q2. 腰痛持ちでも使えますか?

A. はい。体圧分散性が高く、正しい寝姿勢を保ちやすい構造のため、腰痛対策にもおすすめです。ポケットコイルは体のラインに沿って沈み込み、腰や背中への局所的な圧力を軽減します。

ただし、柔らかすぎるタイプは体が沈み込みすぎて腰が反り、痛みを悪化させる可能性があります。腰痛持ちの方は、中〜高反発タイプ(硬めの弾力)を選ぶと安心です。また、腰部を強化したゾーニング構造のモデルを選ぶと、よりサポート性が高まります。

Q3. フローリングに直置きしても大丈夫?

A. 使用自体は可能ですが、湿気がこもりやすい点に注意が必要です。マットレスの裏面と床の間に結露が発生しやすく、カビやダニの原因となります。対策としては、以下の3点を徹底しましょう。

  • 除湿シートを下に敷いて湿気を吸収
  • すのこベースや除湿マットで通気性を確保
  • 週1回程度の陰干し+換気で内部を乾燥

これらを実践することで、直置きでも清潔かつ衛生的に使用できます。

Q4. どうやって手入れすればいい?

A. ポケットコイルマットレスは湿気・ホコリ対策と定期的な通気が重要です。

  • 直射日光は避け、風通しの良い場所で陰干し(2〜3ヶ月に1回程度)
  • 除湿機やサーキュレーターを併用して内部の湿気を放出
  • カバー類・ベッドパッドは週1回の洗濯で清潔を維持

また、マットレスの上下・裏表を半年に1回入れ替える(ローテーション)ことで、へたりを防ぎ、耐久性と反発力を長持ちさせられます。

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