羽毛布団の正しい手入れ方法|日常から季節別ケア・NGな手入れ方法まで解説
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せっかくの羽毛布団、きちんと正しくお手入れをしてずっと快適に使いたいですよね。
間違ったお手入れをすると羽毛を悪くしたり、側生地を痛めたりして、台無しになってしまう恐れがあります。
そこで本日は「羽毛布団の日々のお手入れ方法」についてご紹介します。
※羽毛と羽根の比率、ダウンパワー、充填量などのスペックを比較した選び方についてこちらのページ「【専門家監修】羽毛布団の選び方とおすすめ9選と選び方|失敗しない条件とは?」で徹底解説しています。羽毛の充填量だけでなくより網羅的に羽毛布団選びを進めたい方はぜひご参考にしてください。 |
1. 羽毛布団の日々のお手入れ方法
日々のこまめなお手入れ方法から順番にご紹介していきます。
1-1. 毎朝、羽毛布団をめくったままにしておく
毎朝、羽毛布団を丁寧にベッドメイキングされる方は注意が必要です。
起床時のベッド(マットレスの表面と羽毛布団の内側)は、睡眠中にかいた汗によりやや湿った状態になっています。そのままですとお互いがお互いをフタした状態になり、乾くことができません。
そこで、以下のイラストのように羽毛布団をめくっておくようにしましょう。
毎日、羽毛布団を押入れにしまう方は、このめくった状態で數十分放置してから押入れにしまうようにしましょう。
そうすることで羽毛布団が湿気りにくく、ふわっとした使用感を長く維持させられます。
1-2. 週に1度、羽毛と空気と馴染ませる
また、週に1度でよいので、羽毛布団と空気を馴染ませるようにしましょう。
羽毛布団をバサバサっと振ったり、ポンポンっと優しく叩いて、側生地内に溜まっている湿気を外に出させながら空気と触れさせると効果的です。
1-3. 月に1~2度、日陰干しをする
羽毛布団に限らず布団は日陰干しをしましょう。
天日干しをすると日光の力によって側生地が日焼けで傷んでしまいます。黄変して見た目が悪くなるだけでなく、劣化が早くなるので控えるようにしましょう。
なお、日陰干しは晴れた日の10~14時の間に行うのがベストです。この時間帯は一日の内で大気中の湿度がもっとも低いからです。1~2時間を目安に行ってください。
1-4. 2~3年に1度、クリーニングで洗浄する
上記の内容を行なっていただければ日々のお手入れとしては十分です。
しかし、使い始めてから数年経つと、汗染みやちょっとした汚れなどで羽毛布団が汚れてきます。そうなった際にはクリーニングに出して羽毛布団をキレイさっぱり洗浄しましょう。
羽毛布団クリーニングのサービスの種類、手順、値段の相場などを以下のページでまとめていますので、必要な方はご参考にしてください。
関連記事:羽毛布団クリーニングの料金相場は?比較と依頼先選びのコツまた近年、羽毛布団の洗濯対応のコインランドリーも増えてきました。以下のページでコインランドリーで羽毛布団を洗う際の注意点、値段の相場、洗う手順を紹介しているので必要な方はご参考にしてください。
関連記事:羽毛布団をコインランドリーで洗う手順、コツ、注意点なお、ちょっとした生地汚れくらいであれば自宅で部分的に洗うことは可能です。ただ、羽毛は一度濡れてしまったら乾かすまでがとても大変です。「生地だけの部分洗い」で済むのであればご自身で洗ってドライヤーなどで優しく乾かせば大丈夫です。しかし、羽毛を濡らすほどの洗濯は控えることをおすすめします。
1-5. 生地に痛み・破れがあれば打ち直し(リフォーム)をする
またさらに何年も使っていると、生地に痛み・破れが生じることもあります。
その場合は、羽毛布団を打ち直し(リフォーム)に出しましょう。打ち直しとは簡単に言うと「新しい側生地に仕立て直しつつ羽毛を補填するサービス」のことです。打ち直しをすることで羽毛布団をほぼ新品同様に生まれ変わらせられます。まさに破壊と再生です。
以下のページで料金相場、羽毛布団による対応の可否、依頼手順の流れなどを紹介しているので必要があればご参考にしてください。
関連記事:ふわっと復活!羽毛布団の打ち直し【料金相場とよくある質問】2. 羽毛布団を長持ちさせるための季節ごとの手入れ
羽毛布団は季節ごとに適切なお手入れをすることで、劣化を防ぎ、快適に使い続けることができます。春夏は保管や湿気対策、秋冬は日陰干しや使用中のケアがポイントです。ここでは、季節に合わせた手入れ方法を解説します。
2-1. 春(3〜4月):衣替え前の下準備と保管方法
春は日中に暖かさを感じるようになり、厚手の寝具が徐々に不要になります。羽毛布団を片付ける前には、日陰干しをして湿気を取り除き、黄ばみやカビ臭がないかを確認することが大切です。
汚れやにおいが強い場合は、クリーニングを依頼すると安心です。収納する際は圧縮袋を避け、通気性のある収納袋を使うことが望ましいです。除湿シートや乾燥剤を併用すれば、保管中も湿気対策を続けられます。
2-2. 5月:本格収納のベストタイミング
5月は空気が比較的乾燥していて、布団を収納するのに適した時期です。使用を終えた羽毛布団は部屋干しで日陰干しをしてしっかりと湿気を飛ばしてから収納袋に入れましょう。
羽毛の吹き出しや片寄りがないかを点検することも欠かせません。異常が見られる場合は、買い替えのサインと考えることができます。まだ布団を使う人は、カバーを清潔に保ち、汗取りパッドを活用するなど工夫して使用すると良いです。
2-3. 梅雨(6月):最優先は湿気対策
6月は湿気がこもりやすく、布団にカビやダニが発生しやすい季節です。無理に水洗いをすると乾きにくく、内部に湿気が残ってしまうため、梅雨時は除湿シートや除湿機を活用するほうが安全です。
布団を軽く日陰干しして風通しを良くし、カビ臭や重さが気になる場合はクリーニングや打ち直しを検討しましょう。適切に湿気対策を行うことで、羽毛布団の劣化を防ぎやすくなります。
この時期には羽毛布団をしまったままになると思うので書くことはないかと思います。
2-4. 初秋(9〜10月):戻し準備と点検
秋に羽毛布団を使い始める前には、日陰干しをしてふくらみを回復させることが重要です。収納中に吸った湿気でカビ臭が発生していないか、羽毛の吹き出しやステッチ間の片寄りがないかを確認しましょう。
保温性が下がっていると感じる場合や、戻りにくいへたりが見られる場合は、打ち直しや買い替えを検討するタイミングと考えられます。
2-5. 晩秋(11月):使い始め時の注意点
本格的に使用を開始する前には、日陰干しをしてふんわり感を取り戻すことが大切です。使用開始後は寝室の湿気対策を心がけ、寝汗や室温差による結露が布団を冷やさないように注意します。
新しく購入を検討する際には、羽毛の品質や側生地、カバーとの相性を確認し、耐用年数や今後のメンテナンス費用も見据えて選ぶことが望ましいです。
2-6. 冬(12〜2月):使用中のケアを軽く・こまめに
冬は毎日使うため、布団が寝汗を含みやすくなります。週に一度は日陰干しを行い、朝は掛け布団を少し開けて放湿をすると効果的です。重さを感じたり、カビ臭がしたりする場合は湿気がたまっているサインです。
カバーをこまめに洗い替え、羽毛の偏りを手で均すなど日常的なケアを続けることが重要です。保温力が落ちたり、羽毛の吹き出しが目立ったりした場合は、まずクリーニングを試みて、改善が見られなければ打ち直しや買い替えを考えるようにしましょう。
3. やってはいけない羽毛布団の手入れ
羽毛布団は湿気対策や日陰干しを上手に取り入れることで長く快適に使えますが、誤ったお手入れをすると、羽毛が劣化して保温力を失ったり、側生地から羽毛が吹き出したりする原因になります。ここでは避けたい代表的なNG行為を紹介します。
3-1. 頻繁な天日干しや強い直射日光
羽毛布団は綿布団のように頻繁に干す必要はありません。直射日光に長時間当てると側生地が黄ばみやすく、羽毛も劣化しやすくなります。
月に1〜2回、1〜2時間程度を目安に、必ずカバーを掛けたまま日陰干しするのが安心です。布団叩きで強く叩くのも羽毛を傷める原因になるため避けましょう。
3-2. 圧縮袋での収納
羽毛布団を圧縮袋に入れると、羽毛や側生地を傷め、ふくらみが戻らなくなる恐れがあります。やむを得ず使う場合は、空気を完全に抜かず高さを4分の1程度にとどめ、半年以上の長期保管は避けましょう。
収納前は必ず乾燥させ、使用前には日陰干しをしてから使うようにします。
3-3. 家庭用洗濯機での丸洗い
「洗える表示」がある場合を除き、家庭での丸洗いは避けるべきです。中性洗剤を使って低温水で洗える布団ならネットに入れて洗濯機を利用できますが、乾燥が不十分だとカビ臭や劣化の原因になります。
大きな汚れや臭いが気になる場合は、無理に自宅で洗わずクリーニングを利用しましょう。クリーニングは2〜3年に1度が目安です。
3-4. 針や安全ピンを使う
小さな穴からでも羽毛は吹き出してしまうため、針仕事や安全ピンで留めるのは厳禁です。カバーの装着や補修は、必ず布団専用の方法を取り入れるようにしましょう。
4. 羽毛布団を使わない時期の保管方法
また、あたたかい季節になったら羽毛布団を押入れにしまわれると思います。使わない間の保管方法も羽毛布団の品質にかかわる大事なポイントです。
要点を簡単にまとめると、
- まず半日乾かして湿気を飛ばす
- 不織布袋に入れて保管する
となります。以下のページで細かく説明しているので必要があればご参考にしてください。
関連記事:羽毛布団の正しい収納・保管方法なお、羽毛布団を潰して圧縮袋に入れると、羽毛のダウンボールが悪くなりますし、フェザーの羽軸が側生地を傷つける恐れがあります。そのため、圧縮袋の使用はお控えください。

5. 手入れ不足による劣化サイン
羽毛布団は正しくケアすれば長く使えますが、放置すると湿気や皮脂が原因で劣化が進みます。ここでは、買い替えやリフォームを検討すべき代表的なサインを紹介します。
5-1. ふんわり感がなくなる・中身が偏る
購入時は弾力があり、湿気を吸っても布団乾燥機や天日干しで元に戻ります。しかし劣化が進むとダウンが絡み合い、ふくらみを取り戻せなくなります。襟元の羽毛が偏ったり、かさが当初の3分の2ほどに減ってきたら寿命のサインです。
5-2. 重く感じる
汗や皮脂を吸い込み、放湿性を失った布団はずっしり重くなります。乾燥やクリーニングで多少改善することもありますが、10年以上経過している場合は限界です。重さは寝心地を損ない、体への負担にもつながります。
5-3. 羽毛が飛び出す
羽毛がわずかに出るのは自然劣化です。しかし、側生地の織り目が緩みや大きな羽毛が頻繁に出てくる場合は買い替えサインです。特にシルクなど繊細な生地は破れやすいため注意が必要です。
5-4. 暖かさが落ちる
羽毛布団は空気を含んで体温で暖まりますが、ダウンが劣化すると弾力を失い、空気を溜め込みにくくなります。「以前ほど暖かくない」と感じたら、保温力が低下している証拠です。
5-5. においがする
汗や皮脂の酸化、湿気によるカビや雑菌繁殖で不快なにおいが出てきます。カバーを洗濯しても改善しない場合は要注意。においは睡眠の質を下げるだけでなく、アレルギーの原因にもなるため、リフォームや買い替えを検討しましょう。
最後に
あなたが羽毛布団を快適にお使いいただくための参考になっていれば幸いです。
なお、以下のページで最高の羽毛布団を選ぶために考えるべきポイント(ダウン率、ダウンパワー、充填量、水鳥の種類、側生地の品質など)とおすすめの羽毛布団について解説しています。是非あわせてご参考にしてください。
関連記事:【専門家監修】羽毛布団の選び方とおすすめ9選と選び方|失敗しない条件とは?よくある質問
Q: 羽毛布団はどのくらいの頻度で手入れすべき?
A: 基本は毎朝の湿気対策として布団をめくり、週に1度は軽く空気を含ませ、月に1〜2回は日陰干しを行うのがおすすめです。2〜3年に1度はクリーニングで洗浄すると、耐用年数を延ばし寝心地を維持できます。
Q: 羽毛布団を日陰干しする時間の目安は?
A: 晴れた日の午前10時〜午後2時の湿度が低い時間帯に、1〜2時間を目安に日陰干しするのが理想です。直射日光は側生地の劣化や黄ばみを招くため、必ず日陰で行うようにしましょう。
Q: 羽毛布団のカバーも一緒に手入れした方がいい?
A: はい。カバーを清潔に保つことで羽毛布団本体の汚れやカビ臭を防げます。2週間に1度の洗濯を目安にすると、羽毛の吹き出しや生地の劣化も防ぎやすく、全体の保温性を維持できます。
Q: 羽毛布団の手入れを怠るとどうなる?
A: 湿気がこもってカビや臭いの原因になり、羽毛のボリュームが失われて寝心地が悪化します。さらに側生地の劣化や羽毛の吹き出しが進み、早期に買い替えサインが出ることもあります。適切な保管方法と定期的な手入れで長く快適に使えます。
著者紹介

著者情報
加賀 照虎(上級睡眠健康指導士)
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
各種SNSで情報発信中。
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
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