羽毛布団はダニに強い。発生条件・予防・退治方法と選び方

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羽毛布団はダニに強い。発生条件・予防・退治方法と選び方

「羽毛の臭いにダニが寄って来る」

このような話を聞いたことはないでしょうか。

ダニアレルギーなどをお持ちの方からすると深刻な問題ですよね。

しかし、実のところ、羽毛布団はダニに強いのです。

そこで本日は「布団布団にダニが付きにくい理由」についてご紹介します。

※羽毛と羽根の比率、ダウンパワー、充填量などのスペックを比較した選び方についてこちらのページ「【専門家監修】羽毛布団の選び方とおすすめ9選と選び方|失敗しない条件とは?」で徹底解説しています。羽毛の充填量だけでなくより網羅的に羽毛布団選びを進めたい方はぜひご参考にしてください。

1. 羽毛布団がダニに強い2つの理由

まず、羽毛布団が一般的な綿布団と比べてダニに強いという訳は、以下の2つの理由のためです。

  1. 製造段階で洗浄・乾燥されているため
  2. 特殊な生地によりダニが入り込めないため

具体的にどういうことなのか、分かりやすく説明します。

1-1. 製造段階で洗浄・乾燥されているため

「羽毛は水鳥から採られてる訳だし、ダニとか雑菌が付いてそう」

このように思われるかもしれません。しかし、羽毛は採取されてから布団の中材になるまで、不純物を取り除くために何度も何度も洗浄されます。そして、その後、脱水・乾燥させられます。そのため、購入時の段階で、羽毛布団内にダニがいるとは考えにくいです。

1-2. ダニが生地を通り抜けられないため

「布団内部に元々ダニがいなくても、羽毛の匂いに引き寄せられて、布団の中に入り込んで繁殖するのでは?」

このように考えられることもあります。しかし、羽毛布団に使われている生地には、羽毛の吹き出し防止のため以下の2つの加工がされているため、ダニが入り込むこともほぼありえません。

  1. 高密度織り
  2. ダウン・プルーフ加工

通常の生地は、以下のイラストのように織り目に隙間があり、ここからダニが出入りします。

通常の生地には隙間がある
通常の生地には隙間がある

しかし、高密度織りの生地はこの隙間が生まれない程キツく織り上げられるので、ダニが入り込む余地がありません。

その上、生地の裏側はダウン・プルーフ加工でこの隙間が潰されるので、さらに一層ダニが入り込みにくくなります。

1-2-1. あまりにも低価格な羽毛布団は対象外

「なるほど、羽毛は衛生的で、その上、ダニがほぼ通過できない生地に入れられているのか」と、ご納得されたかもしれません。

しかし、あまりにも低価格(数千円〜1万円前後)な羽毛布団は、この限りではありません。というのも、以下のような理由により、雑菌との接触、ダニの流入・繁殖、羽毛やホコリの吹き出し、などの恐れがあるためです。

  • 羽毛の洗浄が不十分なため雑菌が残っている
  • 生地の質が悪いため織りがゆるみやすい

そのため、信頼できる布団店や寝具ブランドの羽毛布団を選ぶことが大切です。

2. 羽毛布団にダニが発生する条件

羽毛布団は嵩高性が高く(厚みがあること)、保温性に優れた寝具ですが、環境や使い方によってはダニが発生しやすくなります。

ダニは目に見えないほど小さいため、気付かないうちに繁殖し、「ダニアレルゲン」としてアレルギー症状を引き起こすこともあります。

羽毛布団にダニが発生する最大の原因は、布団の表面に蓄積されたホコリや皮脂、そして湿気です。これらはダニの栄養源となり、特に以下の条件が整うとダニが繁殖しやすくなります。

2-1. 高湿度環境での影響

最も大きな要因は湿気です。湿度が高い環境はダニにとって理想的な生育条件となり、梅雨や夏場は特に注意が必要です。さらに、湿気がこもると布団の内部にカビが発生し、それがダニの餌や温床となります。

暖かく湿った状態が続くと、冬場でも布団を長時間使用して汗や湿気が溜まることで、ダニの繁殖条件が整ってしまうことがあります。定期的に布団乾燥機を使用して湿気を取り除くことが、衛生管理の基本となります。

2-2. 側生地の劣化による問題

羽毛布団を覆う側生地が劣化すると、繊維の隙間からホコリや皮脂が侵入し、ダニが繁殖しやすくなります。織りの粗い生地はダニの侵入を許してしまいますが、高密度織りの生地であればある程度防げます。

布団の清掃やメンテナンス不足も大きな要因です。天日干しを怠ったり、布団カバーを長期間洗わずに使い続けると、布団にホコリや皮脂が蓄積しやすくなり、ダニの餌が増えます。また、側生地の薄れや破れは買い替えサインの一つとして認識することが重要です。

2-3. 不適切な長期保管による問題

押し入れやクローゼットに長期間保管すると、通気性が悪いため湿気が溜まりやすくなり、ダニが増える原因となります。特に使用後に汗を含んだ状態でしまうと、内部環境が悪化しやすいです。

保管前にはクリーニングや陰干しで湿気を取り除くことが大切です。これらの要因を知っておくことで、適切な衛生管理対策を講じることが可能になり、快適で清潔な睡眠環境を維持できます。

3. 羽毛布団のダニ退治・対策方法

ただ、いくら羽毛布団がダニに強いといっても、生地にダニが付くことはありますし、どうしても使用に応じて生地がゆるんでダニが内部に入りこむ可能性はあります。

その場合の、ダニ予防対策・退治方法も併せて知っておきましょう。

3-1. 羽毛布団のダニ予防対策3選

まず、羽毛布団にダニが付かないようにするための予防対策です。以下の3つの方法をお試しください。

  1. 日陰干し
    湿気らないようにすることが最も大切です。秋〜春の時期であれば、日中、日陰に干すだけで布団の上のダニを弱らせることができます。月に1〜2度を目安に行いましょう。天日干しは生地を痛めるので控えましょう。どうしても日光が当たるのなら、カバーをかけて干しましょう。
  2. 掃除機で吸い取る
    ダニは掃除機で吸い取れないと言われますが、それは布団の中に潜り込んでいるダニの話で、生地の上にいるダニであれば吸い取ることができます。2〜3週間に1度を目安にゆっくり掃除機をかけましょう。
  3. コロコロ粘着テープ
    掃除機が面倒であれば、コロコロ粘着テープでダニを取ることも可能です。とはいえ、ダニの糞などの小さなダニアレルゲンまで取り除けるかは不安なので、掃除機が一番おすすめです。

「たったこれだけ?」と思うかもしれませんが、1章で説明したように、羽毛布団は布団内部にダニが入り込みにくい構造のため、ダニの予防対策もとても手軽です。

※注:春から秋の間、羽毛布団を押入れにしまっておく際、押入れの乾燥を怠らないようにしましょう。押入れでダニを拾ってしまう恐れがあります。

3-2. 羽毛布団のダニ退治方法

とはいえ、「なんか羽毛布団の中でダニが繁殖している気がする」という場合には、ダニを退治する必要があります。

羽毛布団にダニが繁殖することはあまりありませんが、以下のようにしてダニを退治しましょう。

  • 布団乾燥機
    乾燥した熱風でダニを死滅させますが、朝晩2回の処理を連日行う必要があります。乾燥により羽毛の保湿性が若干低下してしまう欠点があります。また、処理後、ダニの死骸を掃除機で吸引除去しなければなりません。
  • クリーニング
    6,000円前後の出費になりますが、ダニ以外の汚れまでキレイにしてもらえます。しかし、羽毛布団にダニが入り込んだということは生地に問題があるはずですが、その修復はされません。他の寝具にダニがいれば、また羽毛布団にダニが発生する可能性を残したままになります。
  • リフォーム
    25,000円前後の大きな出費になりますが、ダニを退治するだけでなく、羽毛布団をほぼ新品の状態にしてもらえます。ダニが入り込みにくい生地の状態になりますので、今後のダニ予防を気楽にできます。

どの方法が1番良い、ということはありません。

お持ちの羽毛布団の価格と使用年数などの条件を含めて考えると、あなたにとってベストのダニ退治方法が浮かんでくると思います。

※注:コインランドリーでの洗濯やスチームアイロンでの熱処理は、羽毛から必要以上に油分を取り去り、羽毛布団の心地よさを損なう恐れがあるのでおすすめできません。

3-3. 羽毛布団に防ダニカバーは意味あるのか?

ダニを心配している方の場合、羽毛布団にさらに防ダニカバーをかけようか迷うこともあると思います。

しかし、羽毛布団の生地自体がダニの侵入を防ぐ働きがあるため、不要だということはここまで読んでお分かりいただけたと思います。

そのため、羽毛布団に防ダニカバーは不要です。羽毛布団のカバーは、肌触りや汗の吸い取りの良さを重視して選ぶことをおすすめします。

4. ダニが気になる人向け羽毛布団の選び方

布団の中は湿気やカビがこもりやすく、ダニやダニアレルゲンが発生しやすい環境です。とくにアレルギーが気になる人は、布団の構造や品質表示を意識して選ぶことが欠かせません。

ここでは、ダニが気になる人に向けて、羽毛布団の選び方について詳しく解説していきます。

4-1. 高密度生地を選ぶ

布団の側生地はダニの侵入を防ぐ最前線です。一般的な生地は織り目が粗く、隙間からダニが入り込む可能性がありますが、高密度織りの生地なら薬剤を使わずに防ダニ効果を得られます。薬剤に敏感な方や、小さな子どもがいる家庭にも安心です。素材にも特徴があります。

ポリエステルは手頃な価格で扱いやすい反面、吸湿性が低く蒸れやすいのが難点です。一方、綿は高価でも通気性が良く、蒸れにくいため寝心地の快適さを保ちます。価格と快適性のバランスを見て選びましょう。

4-2. ダウンパワー表示のある製品を選ぶ

羽毛布団には「ダウンパワー(DP)」と呼ばれる羽毛のふくらみ具合を示す指標があります。数値が高いほど保温性とフィルパワーに優れ、少ない羽毛量でもしっかり暖かさを得られるため、布団内部の湿気がこもりにくく、結果的にダニ対策にも有利です。

特に、DP400以上の羽毛布団は高品質とされ、軽量かつ通気性に優れた快適な寝心地を実現します。ダウンパワー表示のある製品は品質基準が明確で、安心して選べるだけでなく、衛生的に長く使える羽毛布団を探している方に最適です。

4-3. 信頼できるメーカーを選ぶ

長く使う寝具だからこそ、品質管理の徹底したメーカーを選ぶことが大切です。信頼できるメーカーは、羽毛の産地や洗浄・選別の工程、ダウンパワーやダウン率、側生地の加工方法を明示しています。

たとえば老舗の西川さんは高密度織りの側生地や羽毛吹き出し防止加工、抗菌加工を採用。フランスベッドさんもダウン率90〜95%の高品質な製品を展開しています。こうしたメーカーの製品は、衛生管理や耐久性の点でも安心です。

最後に

羽毛布団とダニの関係について十分ご理解いただけたと思います。

しかしもし羽毛布団内に何らかの理由でダニが繁殖してしまっているのなら買い替えが必要です。以下のページで最高の羽毛布団を選ぶために考えるべきポイント(ダウン率、ダウンパワー、充填量、水鳥の種類、側生地の品質など)とおすすめの羽毛布団について解説しています。是非あわせてご参考にしてください。

関連記事:【専門家監修】羽毛布団の選び方とおすすめ9選と選び方|失敗しない条件とは?

よくある質問

Q1. 羽毛布団でダニアレルギーが悪化することはありますか?

A. 羽毛布団は高密度織りの側生地でダニの侵入を防ぎやすい構造ですが、湿気やカビを放置するとダニアレルゲン(死骸やフン)が増え、アレルギー症状を悪化させる可能性があります。

定期的な布団乾燥機の使用やクリーニングで衛生管理を行うことが重要です。

Q2. 羽毛布団は新品でもダニが心配ですか?

A. 新品の羽毛布団は製造段階で高温乾燥・洗浄されており、内部にダニが存在する可能性はほぼありません。

ただし、使用環境によっては側生地の劣化や密度の低下により侵入リスクが高まります。長期的に安心して使うには、カバーの使用や湿気対策を徹底しましょう。

Q3. 羽毛布団を押入れにしまうときのダニ対策は?

A. 押入れは湿気がこもりやすく、ダニやカビの温床になりがちです。収納前には布団を十分に乾燥させ、除湿剤やすのこを敷いて通気性を確保してください。

また、圧縮袋は羽毛を劣化させるため避けるのが無難です。定期的な換気と衛生管理で耐用年数も延ばせます。

Q4. ダニが気になる人は羽毛布団と布団乾燥機を併用すべきですか?

A. はい、併用をおすすめします。羽毛布団自体はダニに強いですが、布団乾燥機を使うことで湿気対策とダニアレルゲン除去がより徹底できます。

乾燥後に掃除機をかければ効果が高まり、寝心地を保ちながら清潔に使用できます。ダニが気になる方はローテーション的に月数回の使用を習慣化すると安心です。

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