羽毛布団のキルティング加工(キルト)とは?種類・違い・おすすめを徹底解説

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羽毛布団のキルティング加工(キルト)とは?種類・違い・おすすめを徹底解説

羽毛布団のキルトは大切です。

保温性が適切かどうか知るための目安になります。

そこで本日は、

  • 羽毛布団のキルト構造(市松、立体、二層)の違い
  • ノンキルトの特徴
  • キルトの高さの違い
  • マス目の数の違い

などについて解説します。

ぜひ参考にしてください。

1. キルティング加工とは何か?

羽毛布団に施される「キルティング加工」とは、側生地を縫い合わせてマス目状の仕切りを作り、その中に羽毛を均等に充填する縫製手法のことです。この仕組みによって、羽毛の片寄り防止ができ、布団全体の保温性やフィット感を安定させられます。

仕切り部分には「マチ」と呼ばれる高さを設けることがあり、マチの幅が広いほど空気の層が厚くなり、より高い断熱性を発揮します。

逆にマチが低く、マス目が細かいほど羽毛は均一に収まりやすく、通気性が高まります。このように、縫い方やマス目の大きさによって、軽量タイプから厚みのある高級布団まで幅広く仕立てられます。

2. 羽毛布団のキルトとは

羽毛布団のキルトとは、側生地を縫製したもののことです。

normal-quilting
キルト構造

キルトの種類、内部構造や縫い方のパターンは様々です。

それにより保温性やフィット感などが変わります。

2-1. キルトの種類(方式)

羽毛布団選びでまずチェックしてもらいたいのがキルトの種類。

以下の3種類が99%を占めます。

市松キルト 立体キルト 二層キルト
イメージ normal-quilting single-quilt-with-buffle double-quilt-with-buffle
保温性
厚み 薄い 中間 厚い
重量 軽い 中間 重い
ドレープ性

2-1-1. 市松キルト(ヨーロピアンキルト)

上下の側生地を直接縫い合わせたものです。

良くも悪くも、この部分から熱が逃げやすくなっています。

市松キルト断面
市松キルト断面

そのため、夏用の肌掛け羽毛布団(ダウンケット)のための側生地として採用されることがほとんどです。

2-1-2. 立体キルト

上下の生地に間仕切りの布が設けられたものです。

立体構造になるため、熱を逃しにくく保温性が高くなります。

立体キルト断面
立体キルト断面

冬用の羽毛布団の多くは一層立体キルトです。

保温性、フィット性(ドレープ性)、コストなどのバランスがもっとも良いと私は考えています。

唯一の欠点が、羽毛を効率的に充填するためにマチ部分に穴が空けられるため、その部分から羽毛が偏る恐れがある点です。とはいえ、使い方にもよりますが、数年使ってやっと片寄るくらいのことですので、そのタイミングで打ち直し(リフォーム)をすれば良いでしょう。

2-1-3. 二層キルト(ツインキルト)

キルトが二層構造のものです。

さらに、縫い目をズラしているため保温性がさらに高くなります。

二層キルト断面
二層キルト断面

保温性が高くなる長所はあるものの、フィット性が悪くなる、重たくなる、価格が高くなるなどのデメリットがあります。

そのため、私の考えにはなりますが、保温性が高いものを選ぶなら二層キルトではなく、立体キルトで羽毛のスペックが高いものを選ぶことをおすすめします。

2-1-4. ノンキルト

羽毛自体を側生地に貼り付けられるように加工し、キルトなしでも羽毛が偏らないよう作られたものです。

夏用のダウンケット向けに採用されます。

2-1-5. ネックフィット・ボディフィットなどは羽毛布団ではほぼない

特殊キルトです。

襟元や体へのフィット性を高めるためにキルト構造が工夫されています。

四角キルト ネックフィットキルト ボディフィットキルト
画像 normal-quilting special-quilting1 special-quilting2

体にピタッと添いやすくなり快適です。

もちろん、一人で使うこと前提にはなりますが。

ただ、ポリエステル布団などに使用されるのが大半で、羽毛布団でこれらのキルトを見かけることはほとんどないでしょう。

2-2. 加工方法ごとのメリット・デメリット

ここまで、5つの羽毛布団のキルティング加工を紹介しましたが、それぞれにメリット・デメリットがあります。分かりやすく表にまとめましたので、選ぶ際の参考にしてみてください。

種類 メリット デメリット
市松キルト(ヨーロピアンキルト) ・軽量で通気性が良い
・価格が比較的安い
・保温性が低い
・冬場は寒さを感じやすい
立体キルト ・保温性とフィット感のバランスが良い
・冬用布団の定番
・マチ部分から羽毛が片寄りやすい
・やや重め
二層キルト(ツインキルト) ・高い保温性
・断熱性に優れる
・重くフィット感に欠ける
・高価格帯になりやすい
完全立体キルト ・片寄り防止性能が高い
・耐用年数が長め
・価格が高い
・高級布団に限られる
ノンキルト ・非常に軽量
・蒸れにくく涼しい
・厚みや保温性が出せない
・耐久性に乏しい

同じ羽毛布団でも、加工方法によって暖かさや軽さ、価格帯まで大きく変わります。例えば「軽さや通気性」を重視するなら市松キルトやノンキルト、「暖かさや耐久性」を重視するなら立体キルトや完全立体キルトが候補になります。

自分の住環境や使用シーズンを踏まえて、最適な加工方式を選ぶことが快適な睡眠につながります。

2-3. 羽毛布団キルトのマス目の違いは

羽毛布団のマス目もさまざまです。

  • 3×4の12マス
  • 4×5の20マス
  • 5×6の30マス

とはいえ、これらの3種類がほぼ99%を占めていますし、また、私の肌感にはなりますが、その中でも4×5が80~90%を占めています。

3×4=12マス 4×5=20マス 5×6=30マス
イメージ comforter-quilt-3by4 comforter-quilt-4by5 comforter-quilt-5by6
フィット性
通気性
片寄り
コスト

その理由としてはバランスの良さでしょう。

3x4は片寄りやすさなどのデメリットが目立つため採用されることが少ないです。

また、5×6はコストの割にメリットを感じにくいのが難点です。

2-4. キルトのマチの高さの違いは充填内容(保温性)

キルトのマチの高さは保温性を示します。

「マチが高い分だけ羽毛が断熱・蓄熱するスペースがある」ことになるからです。

一般的にマチの高さは5cm前後ですが、保温性を高めるためにマチ幅を8cmにしたハイマチキルトの羽毛布団が存在します。

冷え込みの強い寝室に住まわれている方向けです。

とはいえ、近年は住宅の気密性が高くなっているので、ハイマチキルトの羽毛布団が必要な人はかなり少ないのではと私は考えています。

2-5. 羽毛布団が片寄りにくい完全立体キルトとは

立体キルトの弱点が羽毛が片寄りやすいことです。

その点を克服したのが完全立体キルトです。

マチにある小さな穴を無くしたり、その部分に工夫をすることで羽毛が片寄りにくくなっています。

完全立体の種類としては、西川さんが特許を持っているユニステークキルト(簡易完全立体)やソリッドステークキルト(完全立体)などがあります。10万円前後の高価な羽毛布団に採用されることが多いです。

3. 用途別におすすめのキルティング加工

羽毛布団は、同じ素材を使っていてもキルティング加工の違いによって快適さが大きく変わります。ここでは、季節や住環境ごとに適したキルティング加工の選び方を整理しました。

3-1. 冬用布団を探している方におすすめ

冬の寒さにしっかり対応したい場合は、立体キルトが最もバランスの良い選択です。マチを設けた構造で羽毛がふんわりと広がり、体を包み込むような保温性とフィット感を得られます。一般的な冬用布団の大半に採用されており、価格と性能の両面で安心できる加工です。

3-2. 夏用や軽量タイプを求める方におすすめ

暑い季節やエアコンの効いた環境で軽く使いたい方には、市松キルトやノンキルトが向いています。市松キルトは通気性が高く、熱がこもりにくいので夏の肌掛け布団にぴったりです。さらに涼しさを重視するなら、縫い目をなくして羽毛の偏りを防ぐノンキルトタイプも快適に使えます。

3-3. 寒冷地での使用におすすめ

厳しい寒さが続く地域では、二層キルトが力を発揮します。二重構造になっており、縫い目をずらして配置することで熱を逃しにくく、高い断熱性を確保できます。重量感や価格は増しますが、真冬でも安心して眠れる暖かさを得られる加工です。

3-4. 気密性の高い住宅に住んでいる方におすすめ

最近の住宅は断熱性能や気密性が高いため、必ずしも厚みのある布団は必要ではありません。一般的な立体キルトで十分に暖かさを得られる場合が多く、むしろ重い布団を避けて快適に使える軽量タイプを選ぶのが賢明です。

長期間の使用を考えるなら、羽毛の片寄りを防ぐ完全立体キルトを選ぶと、ふんわり感を維持しやすく安心です。

4. 耐用年数と打ち直しとの関係とは?

羽毛布団は、どのようなキルティング加工が施されていても、長年の使用によって少しずつ羽毛がつぶれ、弾力を失ったり、内部で片寄りが生じたりします。こうした変化は「ヘタリ」と呼ばれ、保温性や寝心地に影響を与える要因となります。

しかし羽毛自体は耐久性が高く、洗浄や補充によって再びふんわり感を取り戻すことができます。そのため、布団全体の寿命は側生地やキルティング構造よりも「打ち直し」の有無によって大きく変わるといえます。

一般的には7〜10年を目安に打ち直しを検討するのが望ましいとされており、適切な時期にリフォームを行えば、購入当初の保温性やフィット感を長く維持することが可能です。つまり、羽毛布団の耐用年数は「一度買ったら終わり」ではなく、打ち直しを活用することで繰り返し延ばせるものと考えると良いでしょう。

最後に

羽毛布団のキルトの違いについて理解していただけていれば幸いです。

なお、羽毛布団はキルト以外にも、保温性や生地素材なども大切です。以下のページで詳しく解説しているので、ぜひあわせて参考にしてください。

関連記事:【専門家監修】羽毛布団の選び方とおすすめ9選と選び方|失敗しない条件とは?

よくある質問

Q: 羽毛布団のキルティング加工は寿命に影響しますか?

A: はい、影響します。マス目の細かいキルティング加工は羽毛の片寄り防止につながり、保温性やフィット感を長く維持できます。

その結果、ヘタリや断熱性の低下を抑え、耐用年数を延ばす効果があります。逆に縫製が甘いと羽毛が偏りやすく、早期に打ち直しが必要になることもあります。

Q: キルティング加工で羽毛の片寄りは完全に防げますか?

A: 完全には防げません。どんな加工でも長年の使用で羽毛は多少移動します。ただし、立体キルトや二層キルトはマチを設けて空間を分けるため、片寄りを最小限に抑えられます。

定期的に布団を干す・振るなどのケアをすれば、保温性と通気性を長期間維持できます。

Q: 高級羽毛布団ほど複雑なキルティング加工がされているのですか?

A: 一般的に高級布団は複雑なキルト構造を採用していることが多いです。完全立体キルトや二層構造は縫製コストがかかりますが、保温性・軽量性・フィット感を高め、快適さを追求しています。

ただし「高級=必ず複雑」というわけではなく、用途や通気性重視のデザインではシンプルな加工が選ばれることもあります。

Q: キルティング加工なし(ノンキルト)はどんな人に向いていますか?

A: ノンキルトは縫い目がなく、断熱性と軽量性に優れているため、冷え性の方や真冬の寒冷地での使用に向いています。

縫い目からの熱逃げがないため高い保温性が得られますが、通気性がやや低く蒸れを感じやすいデメリットもあります。寝汗が多い人よりも、寒さ対策を重視する人におすすめです。

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