ウォーターベッドのメリット・デメリットを解説|購入前の注意点も
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こんにちは、加賀照虎です。
突然ですが、ウォーターベッドでの睡眠と聞いて、あなたはどのようなイメージが思い浮かびますか?
「ぷかぷか浮いているような感覚」など、イメージが先行しがちですが、実際の使用感や使い勝手についてはあまり語られることがありません。
そこで今回は、「ウォーターベッドの7つの特徴と注意点」を詳しく解説し、さらに「実際に試し寝ができるお店やホテル」もご紹介します。
興味のある方はぜひご参考に!
※自分に合ったマットレスを選ぶ手順(型→素材→個別商品)と値段別におすすめできるマットレスについてこちらのページ「マットレスのおすすめ11選|専門家が教える自分に合うものを絞り込む手順」で徹底解説しています。マットレス選びのための情報収集をしている方はぜひ参考にどうぞ。 |
1. ウォーターベッドの7つの特徴
まずはウォーターベッドの利点、欠点、注意点をご紹介していきます。
長所 | 短所 |
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1-1. ウォーターベッドの利点(メリット)
ウォーターベッドの特徴は他のマットレスと比べて際立っています。
そのため、私が思う優れたポイントが、もしかすると人によっては受け入れられない場合があります。
特に、寝心地に関しては、実際に試し寝をするのが1番です。
1-1-1.体圧分散が抜群の寝心地
ウォーターベッドの最大の特徴がこの抜群の体圧分散性と水の上に漂うかのようなふわっとした寝心地 にあります。
なぜ体圧分散性が良いのかと言うと、パスカルの原理により圧力(ウォーターベッドの上の体の重さ)は全体に均等に伝わるためです。そのため、文字通り体圧が均等に分散されるため、腰・背中などの体の重い部位に負荷が集中せずに楽に寝られるのです。
高品質な通常のマットレスでもほぼ同等の体圧分散をしますが、ウォーターベッドはさらに水の上でのふわったした感覚も相まってより一層体が楽に感じられます。また、ウォーターバッグ内の水の量を調節することにより、硬さ/柔らかさをあなたの好みに調整することができます。
1-1-2. 自分好みの温度調整
ウォーターベッドのバッグ内には水が入っていますが、寒い時期になると水が冷えてしまうためヒーターでバッグ内のお水を常時温める機能が備わっています。
このお水の温度をあなたの好みに調節できることもウォーターベッドを使う上で良い点と言えます。これにより例えば、冬にベッドに入っても寒い思いや、夏にベッドに入って暑い思いをすることを避けられます。
とはいえもちろん睡眠衛生上、冬だからいってベッドを温め過ぎたり、夏に冷やし過ぎたりといったことはおすすめできません。一般的に冬は28℃、夏は24℃が推奨されているので、あなたの好みにより1,2℃前後させる程度にすることをおすすめします。
1-1-3. 衛生的な環境
素材の性質上、通常の布団・マットレスよりも衛生的な環境です。
というのも、布団・マットレスに使用されるわたの詰め物がないためです。
ベッドのダニはわたの部分を生息地として好みますが、ウォーターベッドにはダニが好んで潜むわたがない ためです。(※この場合、ダニは枕・掛け布団に集中すると思います)そのためウォーターベッドは、一般的な布団・マットレスよりは清潔な環境を整えやすいと言えます。
とはいえ、寝汗・粗相などのウォーターベッド自体を汚すと掃除がしにくいということもあるため、マットレスプロテクターを被せておいてウォーターバッグが汚れないよう事前対策をしておくことをおすすめします。
1-2. ウォーターベッドの欠点(デメリット)
次に、一般的に言われるウォーターベッドの悪い点です。
これらを欠点と感じられなければウォーターベッドの使用がおすすめできます。
1-2-1. 寝返りがしにくい
水の上での睡眠ということもあり、若干寝返りがしづらいです。
慣れにより解消されることが大半ですが、寝返りに必要な力とモーションが大きくなるため、寝心地に慣れるまでは寝返りがしづらく少し不満を感じられるかもしれません。また、寝返りをすると、バッグ内の水が多少動くためベッドが若干ゆらゆらとします。揺れを抑えるよう構造を工夫しているメーカーもあるので、揺れに敏感な場合はそのようなウォーターベッドを選ぶことをおすすめします。
1-2-2. 二人寝には不向き
- 隣の人の寝返りの振動が伝わってくる。
- 水の温度の好みが合わないとどちらかが寒い/暑い思いをすることになる。
など、二人以上で同時に使用する場合にはやや不便が生じることもあります。もちろん、これらの欠点を解消したデュエットタイプ(真ん中で分かれているタイプ)のウォーターベッドもありますが、
- 一人当たりの睡眠スペースが狭くなる。
- パートナーと寄り添って寝られない。
などのベッドが真ん中で分かれることによるデメリットが生じます。なので、これらの内のどちらかのデメリットを納得できる必要があります。
1-2-3. とても重く個人での搬出入が困難
購入時のセッティングに関しては販売業者にしてもらうことになります。
しかし、一度セッティングしたウォーターベッドをあなた個人で移動・解体させることは非常に困難 です。そのため、販売業者に都度依頼をすることになります。なので、そのようなアフターサービスを行ってくれる販売業者の選択も大事ですが、将来的に引っ越しの予定が出てこないか自分の生活状況を考えることも大切です。
1-2-4.定期的な手入れが面倒
ウォーターバッグ内の水が腐らないように年に一度、防腐剤を入れる必要があります。
また、使用に応じてウォーターバッグ内の空気が集まってくるため、チャプンチャプンなどの水の音が聞こえてくるようになります。好みにもよりますが、水の音を消すためには半年に1度空気抜きをする必要があります。
とはいえ、ウォーターベッドへのメンテナンスでこれらが若干面倒と言われますが、一般的なベッドマットレスでも使用面を変更するためのローテーション作業があるので、その点を勘案すると必ずしもウォーターベッドが際立って扱いに手間がかかるという訳でもありません。
2. ウォーターベッドの使用上での注意点
ウォーターベッドには通常のベッドにはない注意点が存在します。
2-1. ヒーターを使用するため電気料金が発生する
ヒーターでウォーターバッグを常時温め続けるので電気料金が発生します。ウォーターベッドブランドのウォーターワールドによると、「一般的なクィーンサイズのバッグタイプでも月約2,200円(年平均)」 になると伝えられています。ベッドの維持費と考えると高いですが、365日いつでも適温で水の上でのゆったりした寝心地を味わうための出費と考えると妥当なのかもと思えます。
2-2. 機械製品のため故障の可能性も
機械製品のため稀に故障する可能性も無くはありません。そのような万が一の可能性を考えると、サポート体制がしっかりと整っている販売店から購入することをおすすめします。
2-3. 重いため住宅への設置可否の確認をすること
ウォーターベッドはとても重いです。ベッドのタイプにもよりますが500~600kgを超えることはザラにあります。ものによっては700kg,800kg超のものもあります。現代の建築水準を満たした建物であればそうそう問題はないと思いますが、建てられてから年月が経っている家屋にお住まいの場合は、建築業者に重量に関する確認をとることをおすすめします。
3.ウォーターベッドは腰痛に良いの?
ウォーターベッドは、水の浮力によって体を包み込むように支える構造で、体圧分散性が非常に高いという特長があります。
そのため、「硬いマットレスで肩や腰が痛くなる」「寝返り時に体が引っかかる感じがする」といった悩みを持つ方には、筋肉への圧迫感が少なく、腰への負担が軽減されるという声も多く見られます。
ただし、すべての腰痛に合うとは限りません。 ウォーターベッドは柔らかく沈み込みやすい構造のため、腰の反りが強い方(反り腰タイプ)や、寝返りを頻繁に打つ方には合わないケースもあります。反発力が少ないぶん、体幹が弱い方は寝返り時に腰に負担がかかりやすい可能性もあるため注意が必要です。
結論として、ウォーターベッドは「寝返りが少なく、包み込まれる寝心地を好む方」には腰への負担軽減効果が期待できますが、寝姿勢のタイプによっては合わないこともあるというのが実情です。
4. ウォーターベッドと他のマットレスとの違い
ウォーターベッドは、従来のコイル式やウレタンマットレスとは根本的に構造が異なる特殊タイプのマットレスです。以下のような違いがあります。
特徴 | ウォーターベッド | 一般的なマットレス(ウレタン・スプリング) |
---|---|---|
体圧分散性 | 非常に高い(全体を水が支える) | 素材や構造による(ポケットコイルなどが比較的高い) |
寝返りのしやすさ | やや打ちづらい(反発力が低い) | 高反発素材ならスムーズな寝返りが可能 |
通気性 | 低め(内部が水で密閉されている) | 通気孔やファイバー素材で高通気性の製品も多い |
振動 | 水の動きで揺れる感覚がある | 安定感があり、揺れは少ない |
メンテナンス | 定期的な水交換・防腐剤の補充が必要 | 特別な管理は不要なことが多い |
移動のしやすさ | 非常に重く、引越しや移動に不向き | 比較的軽量なモデルも多く、取り回しやすい |
ウォーターベッドは、体の負担軽減に特化した寝心地を求める方に向いている一方で、管理や設置スペース、重量などでデメリットもあるため、他マットレスとの比較検討が非常に重要です。
5.ウォーターベッドはどんな人に向いている?
ウォーターベッドは、以下のような特徴を持つ人におすすめされやすい寝具です。
- 柔らかい寝心地が好みの方
水の浮力で体を包み込むように支えられるため、ふんわりとした感覚が好きな方に適しています。 - 横向き寝が多い方・肩や腰に圧力を感じやすい方
肩・腰などの出っ張りを点ではなく面で支えるため、体圧分散性に優れ、圧迫感を感じにくい構造です。 - 睡眠中の動きが少ない方
振動を感じやすいため、寝返りの多い方や敏感な方には不向きなケースもあります。 - 設置スペースと定期的なメンテナンスが問題ない方
本体が非常に重いため、移動や設置に制限がない住宅環境であることが望ましいです。 - 冷え性の方・冬の寝具を重視したい方
温水ヒーターによる保温機能で、冬でも暖かい寝床環境を保てるのもウォーターベッドならではの利点です。
6. ウォーターベッドは購入前に試し寝をしっかりとしましょう
寝心地の好みは千差万別です。
私が述べたメリットとしての使用感がもしかするとあなたにはお好みではない可能性もあります。
6-1. ウォーターベッドの試し寝ができるお店
現在、日本国内で販売されているウォーターベッドはウォーターワールドブランドのものがほぼ全てです。なので、ウォーターベッドを試し寝してみたいのであれば、ウォーターワールド製品の取扱店へ足を伸ばしてみることをおすすめします。
38都道府県に取扱店があるのでウォーターベッドの展示状況を確認の上、ご訪問してみることをおすすめします。
6-2. ウォーターベッドの試し寝ができるホテル
とても僅かにはなりますが、客室にウォーターベッドを手配している一般的なホテルもあります。「ウォーターベッドの使用感を一晩ぐっすり眠って確かめたい!」という方は以下のホテルのウォーターベッドルームに宿泊してはいかがでしょうか。
- 群馬県吾妻郡:草津温泉きんだいペンション
- 栃木県那須:ペンション那須のくまさん
- 静岡県伊豆:リアルカントリーイン スピークイージー
- 長崎県壱岐市:ステラコート太安閣
全ての部屋にウォーターベッドが手配されている訳ではないので、通常の部屋ではなくウォーターベッドルームの予約を確定させましょう。
※ウォーターベッドの取扱いがあるというホテル事業者の方、コメント/ご連絡くださいましたら付記いたします。
まとめ
ウォーターベッドの寝心地・使い勝手はかなり独特なので、しっかりと良し悪しを吟味してから購入しましょう。また、寝具という特性上、一度購入すれば長い付き合いになるので、購入前に取扱店・ホテルで試し寝をすることもおすすめします。
なお、以下のページで寝心地が素晴らしいマットレスを選ぶためのポイント(体圧分散性、弾力性、耐久性など)とおすすめのブランドについて徹底的に解説しているので、是非あわせてご参考にしてください。
関連記事:快眠マットレスおすすめ11選&自分に合うものを絞り込む手順
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よくある質問
Q1:ウォーターベッドは引越しのときどうやって運ぶの?
A:事前に水を抜いて解体する必要があります。完全な水抜きと慎重な搬出が必要なため、引越し時には注意が必要です。
ウォーターベッドは満水時の重量が200〜300kgを超えることもあり、そのままの状態での運搬は不可能です。引越し時には、必ず本体内の水をすべて抜き、防腐剤ごと排出する必要があります。
また、フレームの分解や専用器具の準備が必要な場合もあるため、引越し業者によっては対応不可の場合もあります。ウォーターベッドを所有している方は、搬入・搬出時の対応や解体費用について事前に業者へ相談しておくことが大切です。
Q2:ウォーターベッドの静音性は高いですか?
A:一般的なマットレスと比べて静音性は高めですが、水の移動音やヒーターの稼働音が気になる人もいます。
ウォーターベッドはスプリングのきしみ音がなく、寝返り時にバネ音がしないため、静音性が高いとされています。その一方で、内部の水がわずかに動く音や、温度調整用のヒーターが動作する際の電子音が気になる人もいます。
音に敏感な方は、バッフル構造(水の波を抑える仕切り)付きのモデルを選ぶことで、揺れや音を抑えることができます。
Q3:ウォーターベッドのメンテナンス頻度はどれくらいですか?
A:年に1回程度の防腐剤の注入と、5〜7年ごとの水交換が推奨されています。
ウォーターベッドの内部には雑菌や藻の繁殖を防ぐため、防腐剤(ウォーターコンディショナー)を定期的に注入する必要があります。これにより、臭いや水の劣化、素材の腐食を防止します。
水そのものの交換は頻繁には必要ありませんが、定期的な水量確認と外側ビニールの拭き掃除も重要です。長く快適に使うためには、メンテナンス用のアクセサリーや専用キットを準備しておくと安心です。
著者紹介

著者情報
加賀 照虎(上級睡眠健康指導士)
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
各種SNSで情報発信中。
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
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