長時間寝ると腰が痛いのは筋疲労が原因。そのメカニズムとは
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こんにちは、加賀照虎です。
「よし、今日はたっぷり眠れるぞ」
と、久しぶりに時間が取れたので9時間眠ったら、翌朝、腰に痛みが・・。「しっかり睡眠時間をとって休もうと思ったのに」と裏切られたような気持ちになりますよね。
このような腰の痛みには、特有の原因があります。そして、その原因に対策をしなければまた同じことを繰り返してしまいます。
ということで本日は「長時間寝ると腰が痛いのは筋疲労が原因!そのメカニズムとは」についてご紹介していきます。
※自分に合ったマットレスを選ぶ手順(型→素材→個別商品)と値段、体質、好み別におすすめできるマットレスについてこちらのページ「マットレスのおすすめ11選|専門家が教える自分に合うものを絞り込む手順」で徹底解説しています。寝心地が悪いからマットレスを買い換えようと考えているなら是非ご参考にどうぞ。 |
1. 長時間寝ると腰が痛い理由は?
「長く寝るほど体の疲れが取れるはずなのに、起きたときになぜか腰が痛い…」そんな経験はありませんか?実は、長時間の睡眠がかえって腰痛の原因になっているケースも少なくありません。
原因はひとつではなく、筋肉の疲労や寝返りの少なさ、寝具や寝姿勢の問題など、さまざまな要素が複雑に絡み合っています。ここでは、なぜ長時間寝ると腰が痛くなるのか、その主な理由についてわかりやすく解説します。
1-1. 長時間寝ると腰が痛くなるのは筋疲労を起こしているから
あまりにも長時間寝ると、腰まわりの筋肉が疲れてしまい痛みが発生します。
いきなりなんのことか分かりにくいですよね。
どういうことか流れを分かりやすく説明すると、
- 腰が圧迫される
- 圧迫されている部位の筋肉が硬直する
- 腰まわりが血行不良になり酸欠気味になる
- こりや痛みの発生
ということなんですね。
主な原因は、首や肩、背中の筋肉の疲労です。肩の周辺には僧帽筋や肩甲挙筋、棘下筋などの筋肉がありますが、これらの筋肉が疲労して固く緊張し、血行不良になると「乳酸」などの疲労物質が筋肉中に蓄積してきます。その結果、こりや痛みが起こります。
(引用:『腰痛、肩こり、手足のしびれ 「背骨」がかかわる症状の診断・治療ガイドブック』 伊藤達雄・戸山芳昭監修)
例えば、長時間車の運転やデスクワークで座りっぱなしだと、お尻や腰が疲れるのと同じことです。
いくら体圧分散性の良いマットレスで寝ていても、長い時間寝たままだとやはり腰が痛くなることがあります。
私は寝心地が最高に素晴らしいマットレスを使っていますが、風邪で寝込んでしまい12時間くらいベッドにいた後はやはり腰がムズムズすることがあります。
もちろん敷寝具の質が悪いとそれこそ6~7時間寝ただけで筋肉が疲労を起こしてしまうこともあります。
とはいえ、いくら敷寝具の質が良くてもモノゴトには限度があります。
風邪などの時はどうしようもないですが、あまり寝過ぎないように気をつけましょう。
1-2. 寝返りの回数が少ない
睡眠中に寝返りの回数が少ないと、腰痛が起こりやすくなります。寝返りには、同じ筋肉や関節への負担を分散し、血液やリンパの流れを促す役割があります。一般的に一晩で20〜30回ほど寝返りを打つのが理想とされていますが、寝返りが減ると腰まわりの筋肉や関節が固まりやすくなり、朝起きたときに腰の痛みを感じやすくなります。
ただし、寝返りが多すぎるのも問題です。頻繁に動きすぎると深い眠りが妨げられたり、急な寝返りで腰に強い負担がかかってしまうこともあるため、バランスの良い寝返りが快適な睡眠には欠かせません。
1-3. 腰への負担がある
これは長時間寝ることに加えて、敷寝具の質が悪い(硬すぎる)ことが合間って起こります。
敷寝具が硬いと腰に圧迫がかかるのに加えて、背中のサポートがなくなることから背中への負担が強くかかるようになります。安いホテルのベッドだとこのような寝具環境のところが多いです。

1-4. ねんざ
マットレスがかなりへたっていたり柔らかすぎたりすると寝姿勢が悪くなってしまいます。
寝姿勢の悪いまま一晩寝続けると筋肉や腱をひねってしまうことがあります。捻挫(ねんざ)の一種のようなものです。これは長時間寝るというよりも敷寝具の質が悪い(柔らかすぎるorへたっている)ことが主な原因です。

1-5. 枕があっていない
枕が体に合っていないと、睡眠中に首や頭をしっかりサポートできず、頸椎のバランスが崩れやすくなります。その結果、背中や腰にも余計な負担がかかり、朝起きたときに腰痛を感じる原因になることも。特に高さが合っていない枕や、硬すぎたり柔らかすぎたりする枕は、寝姿勢が崩れやすく注意が必要です。
1-6. 質の良い睡眠が取れていない
質の良い睡眠が取れていないと、体の疲労が十分に回復できず、筋肉が硬くこわばりやすくなります。その結果、血流が悪くなり、朝起きたときに腰痛を感じやすくなります。熟睡できない状態が続くと、疲労がたまりやすく、さらに睡眠時間が長くなりがちですが、それでも疲れが取れない悪循環に陥ることもあります。
睡眠の質を低下させる要因としては、不規則な生活習慣やストレス、加齢のほか、寝る前のスマホやパソコンの使用によるブルーライトの影響などが挙げられます。快適な睡眠環境や生活リズムを整えることも、腰痛予防には大切です。
2. 長時間寝ると腰が痛いときの改善・対処方法
実は、腰痛の原因は睡眠中の体の使い方や生活習慣、寝具の選び方など、さまざまな要素が関係しています。
ここでは、長時間寝たあとに腰が痛くなったときに実践できる対処法を、日常の工夫から寝具の選び方まで幅広く紹介します。
少しの工夫で腰への負担を減らし、快適な目覚めを迎えましょう。
2-1. 寝起きは急に起き上がらないようにする
長時間寝たあと腰が痛い場合は、寝起きに急に起き上がらないことが大切です。睡眠中は血行が悪くなりやすいため、いきなり体を起こすと腰に大きな負担がかかり、痛みが強くなることがあります。まずは布団の中で足首や股関節を軽く動かし、体をほぐしてから起きるようにしましょう。
また、仰向けから直接起き上がるのではなく、一度横向きになり、両手や膝を使ってゆっくり体を支えながら起き上がると、腰への負担をやわらげることができます。
2-2. お風呂に浸かる
長時間寝て腰が痛いときは、温かいお風呂にゆっくり浸かってみましょう。全身をお湯で温めることで血流が促進され、こわばった筋肉もほぐれやすくなります。特に、ぬるめのお湯に15〜20分ほど浸かることで、腰の痛みも和らぎやすくなり、寝過ぎによる腰痛の対策に効果的です。
2-3.軽く運動する
軽い運動を取り入れることも、長時間寝たあとの腰痛対策に効果的です。ウォーキングやラジオ体操などの適度な全身運動によって、筋肉のポンプ作用が働き、腰まわりの血行が良くなります。ただし、激しい運動はかえって疲労や腰痛の原因になることもあるので、無理のない範囲で続けるのがおすすめです。
2-4. ストレッチを行う
運動が苦手な方は、ストレッチもおすすめです。朝のこわばった筋肉をやさしくほぐすことで血流が促進され、腰の痛みや違和感も和らぎやすくなります。無理のない範囲で、気持ちよいと感じる程度にとどめておくことが大切です。ストレッチ中に痛みを感じた場合は、すぐにやめましょう。
2-5. 睡眠の質を高める工夫をする
熟睡できていないと、疲労がたまり筋肉の凝りや腰痛につながります。質の高い睡眠をとるためには、毎日規則正しい生活リズムを心がけることが大切です。寝る前はスマホやパソコンを控え、深酒も避けましょう。ゆっくり入浴してリラックスする時間を持つことも、快眠につながります。
2-6. 寝姿勢を工夫する
寝方を少し変えるだけでも、腰への負担を軽減できます。仰向けで寝るときは膝の下にクッションを置くと、腰の緊張をやわらげやすくなります。横向き寝の場合は、膝の間にクッションをはさむことで体が安定し、腰への負担がさらに減らせます。
2-7. 適切な寝具を選ぶ
長時間寝て腰が痛くなるときは、寝具の見直しが大切です。寝返りしやすいほどよい硬さのマットレスを選ぶと、腰や背中への負担が軽減できます。柔らかすぎても硬すぎても体に負担がかかるので、体圧をバランス良く分散できるタイプがおすすめです。枕も重要で、自然に首がサポートされる高さや適度な反発力のあるものを選びましょう。また、ベッドは寝返りしやすい広さがあると快適です。寝起きに腰や背中が痛い場合は、枕やマットレスなどを一度見直してみてください。
最後に
必要以上に長く寝るのは腰に疲れを残すので控えるようにしましょう。生活のサイクルを崩す(起床時刻が遅れると入眠時刻も遅れがちになる)原因になることからもおすすめできません。
しかしもし、7~8時間しか寝ていないのに腰が痛くなるのだとすれば、睡眠時間ではなく寝具の質が悪いことで腰に疲れや痛みが生じていると考えられます。以下のページで腰痛対策のためのマットレスの選び方をご紹介しています。あわせてご参考にしてください。
著者紹介

著者情報
加賀 照虎(上級睡眠健康指導士)
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
各種SNSで情報発信中。
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
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