マットレスを重ねて使うのはアリ?正しい組み合わせと寝心地アップの方法を解説
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こんにちは、加賀照虎です。
「マットレス1枚だとしっくりこなくて、2枚重ねて使っている」という方へ。
寝心地に満足していれば問題ありませんが、実はさらに寝心地を改善できる可能性があります。どういうことかと言うと、マットレスの種類ごとの特徴(体圧分散性や通気性など)を理解し、上下の組み合わせを工夫する。そうすることで、寝心地をもっと自分好みの良いものにできるのです。
そこで本日は、「マットレスを2枚重ねする際に確認すべき上下の相性」についてご紹介します。
寝心地をもっと良くしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
※自分に合ったマットレスを選ぶ手順(型→素材→個別商品)と値段別におすすめできるマットレスについてこちらのページ「快眠マットレスおすすめ17選&自分に合うものを絞り込む手順」で徹底解説しています。マットレスの寝心地が悪くなってきていて買い替えを検討しているならご参考にしてください。 |
1. マットレスを重ねるメリット・デメリット
「マットレスを重ねても大丈夫?」と気になる人は多いでしょう。結論としては、寝心地の調整やへたり防止といったメリットがある一方で、通気性の低下やズレ、腰痛のリスクといったデメリットもあります。ここではそれぞれの特徴を解説します。
1-1. マットレスを重ねるメリット
マットレスを重ねる最大の利点は、寝心地を自分に合わせて調整できることです。たとえば、高反発マットレスを下に敷き、その上に低反発ウレタンを重ねれば、沈み込みを防ぎつつフィット感を得られます。硬さが合わずに腰が沈む、寝返りが打ちにくいといった悩みを軽減しやすくなります。
また、長年使ってへたりが出てきたマットレスにラテックスやファイバー素材の薄いマットレスを重ねると、体圧分散性が補強され、腰痛対策にもつながります。
さらに、マットレスの上にマットレストッパーやベッドパッドを敷けば、寝汗や皮脂汚れを吸収して清潔さを保ちやすく、洗える素材を選べばお手入れも簡単です。
1-2. マットレスを重ねるデメリット
一方で、マットレスを重ねると通気性が低下しやすいのが大きな欠点です。間に湿気がこもるとカビのリスクが高まり、とくにウレタン素材は湿気に弱いため注意が必要です。湿気対策や定期的な陰干しを怠ると、かえってマットレスの寿命を縮めてしまう恐れがあります。
さらに、2枚のマットレスを重ねると寝返りのたびにズレやすく、寝姿勢が安定しにくいことがあります。滑り止めシートやズレ防止バンドを併用する必要があるでしょう。
加えて、重ね方によっては沈み込みが強すぎて腰が反ったり、逆に硬すぎて肩や腰に圧が集中したりすることもあります。結果的に、腰痛や寝姿勢の悪化につながるリスクがある点は見逃せません。
2. マットレスの2枚重ね|各種の特徴をもとに組み合わせを考える
あなたが重ねて使っているマットレスの素材は、以下のどれかに該当するかと思います。
- 高反発ウレタンフォーム
- 高弾性ウレタンフォーム
- 低反発ウレタンフォーム
- 高反発ファイバー
- ラテックス
- コイルスプリング
種類 | イメージ | 体圧分散 | 反発弾性 | 横揺れ | 通気性 | お手入れ | ||
ノ ン コ イ ル |
高 反 発 ・ 高 弾 性 |
高反発ウレタン フォーム |
![]() |
◯ | ◎ | ◯ | △ | ◯ |
ラテックス | ![]() |
◯ | ◎ | ◯ | △ | ◯ | ||
TPEポリマー | ![]() |
◯ | ◎ | ◯ | ◎ | ◯ | ||
中 間 |
一般ウレタン フォーム |
![]() |
△ | ◯ | ◯ | △ | ◯ | |
ファイバー | ![]() |
× | ◯ | △ | ◎ | ◎ | ||
低 反 発 |
低反発ウレタン フォーム |
![]() |
◎ | △ | ◎ | △ | △ | |
繊維わた | ![]() |
◯ | △ | ◎ | ◯ | ◯ | ||
詰 め 物 次 第 |
ハイブリッド | ![]() |
- | - | - | - | - | |
コ イ ル |
ボンネルコイル | ![]() |
- | ◯ | △ | ◯ | △ | |
ポケットコイル | ![]() |
- | ◎ | ◎ | ◯ | △ |
※コイルスプリングマットレスの体圧分散性はコイルの上の詰めもの(ウレタンフォーム やわたなど)の量と品質により大きく左右され、単体での評価が不可能なため「 - 」としています。また、それぞれ加工・品質により△が◯になったり、◎が◯になることがあります。 |
これら各種マットレスにはそれぞれの特徴(利点と欠点)があります。
それを踏まえて上下の組み合わせを考えれば、あなたの好みに合った寝心地に近づけられます。
2-1. 柔らかいものを上に配置するのがおすすめ
「より柔らかいマットレスを上に置く」
このように考えていただくと、てっとり早いです。
というのも、基本的なマットレスの作り(構造)として、上層が柔らかく体圧分散をするようになっており、下層が硬めで寝姿勢が崩れないようになっているからです。各種マットレスは以下の順の硬さになっています。
(柔)低反発ウレタンフォーム > ラテックス >高弾性ウレタンフォーム> 高反発ウレタンフォーム > 高反発ファイバー > コイルマットレス(硬)(※コイルマットレスの下にマットレスを敷くことはないかと思いますので一番最後にしています)
これが逆になってしまうと問題です。
上層があまり体にフィットしていないにもかかわらず、下層が体の重みで潰れてしまいます。そうすると、腰が落ち込んだ悪い寝姿勢になってしまい、眠っている時に体に疲れがたまってしまいます。
2-2. 良質なコイルスプリングは例外
上記でコイルスプリングは硬いものとしていますが、そうでないものもあります。
むしろ、良質なコイルスプリングはコイルの上に上質なクッション材(ウレタンフォームやわたなど)を使っているので、高反発ウレタンマットレスよりも柔らかめだったりします。

そのため、硬めのコイルスプリングなら1−1に記載の組み合わせでいいですが、あなたがお持ちのコイルスプリングマットレスが上質なものであれば、その上にそのまま寝られることをおすすめします。
2-3. 蒸し暑い夏なら高反発ファイバー素材は上層に配置するのもアリ
「より柔らかいマットレスを上に置く」にも例外があります。
高反発ファイバー素材は通気性がよいため、涼しく眠ることを第一に考えるなら高反発ファイバーマットレスを上に置いて寝るのもアリかと思います(体圧分散性がイマイチに感じられるようでしたら、あまりおすすめできませんが)。
ただ、夏の間だけに限ることをおすすめします。冬などの寒い時期にこれをやってしまうと、ファイバー素材からの隙間風で布団の中が暖かくならずに寒くて眠りにくいことがあるのでご注意ください。
2-4. マットレスの二枚重ねが非推奨となるケース
マットレスの重ね使いを良しとする前提でここまで書き進めてきました。
しかし、実際、そもそもマットレスを重ね使いする必要がないこともありますし、重ね使いによって寝心地が悪くなるケースもあります。
端的にまとめますので、該当するのであれば重ね使いはお控えください。
-
新品のマットレス
マットレスというものは基本的にそれ一枚で使うことを目的として設計されているので、新品であれば重ね使いの必要がありません。新品なのに重ね使いが必要なほど寝心地が悪いとすると、もしかすると返品が可能な場合もあるので、重ね使いを検討する前に返品の可否を確認し、よりよいマットレスを選ぶことをおすすめします。 -
柔らかめのマットレス
柔らかめのマットレス同士を重ねると、柔らかくなりすぎる恐れがあります。例えば、「低反発マットレスとラテックスマットレス」や「低反発マットレスと柔らかめの高反発マットレス」などの組み合わせが該当します。
腰が沈み込み過ぎている例
理想的な寝姿勢
3. マットレスを重ねる代わりにできる対策
マットレスを重ねるよりも、トッパーやパッド、プロテクターなど専用アイテムを使う方が機能的で安全です。寝心地改善・湿気対策・清潔維持をそれぞれ目的に合わせて取り入れると、マットレスを長く快適に使えます。ここでは代表的な代替策を紹介します。
3-1. マットレストッパーを使う
マットレスの寝心地を大きく変えたいときには、マットレストッパーがおすすめです。厚さ4〜9cmほどで、マットレスの上に敷くだけで硬さを調整できます。
マットレスが硬い場合 → 低反発素材のトッパーでフィット感をプラス
柔らかすぎる場合 → 高反発素材のトッパーで沈み込みを防止
トッパーは数千円から購入でき、買い替え前のつなぎとしてもコスパが良いのが魅力です。
3-2. 敷きパッドで感触や温度を調整
「ちょっとした寝心地の違和感を解消したい」という場合は、敷きパッドが便利です。
中綿が入っているためシーツよりもクッション性があり、汚れ防止にも役立ちます。冷感加工や温感加工を選べば、夏や冬の快適さもアップします。
3-3. ベッドパッドでコイルマットレスを補助
ポケットコイルやボンネルコイルのようなコイルマットレスを使っている人には、ベッドパッドの併用が有効です。
柔らかな肌あたりをプラスしつつ、汗や湿気がマットレスにしみ込むのを防ぐので、へたり防止や衛生管理に効果的です。
3-4. 保護カバーやマットレスプロテクターで清潔維持
長く使うなら、保護カバーやプロテクターの活用も必須です。防水加工や抗菌・防臭機能を備えたタイプを選べば、汗や皮脂だけでなくダニやカビの発生も防止できます。特に小さな子どもやペットと暮らしている家庭には安心です。
3-5. アンダーマットレスで敷布団の底付き感を解消
敷布団の寝心地を改善したいなら、アンダーマットレスを敷くのも一つの方法です。底付き感をやわらげ、床からの冷気を防ぐ効果もあります。
マットレスを重ねるよりも適切に設計されているため、敷布団派の人にはこちらがおすすめです。
最後に
マットレスの2枚使いについて上手な組み合わせ方や、重ね使いをしないほうがよいケースについてご理解いただけていれば幸いです。
「今使ってるマットレスは重ね使いをしても寝心地があまり良くないから買い換えようかな」とお考えでしたら、以下のページで最高の寝心地の高反発マットレスを選ぶポイント(弾力性、硬さ、厚み、生地、耐久性など)とおすすめブランドを紹介しているのであわせてご参考にしてください。
関連記事:アフィリエイトなし!高反発マットレスのおすすめ3選と選び方
なお、マットレスに関するページを以下にまとめましたので、気になるトピックがあればあわせてご参考にしてください。
■あわせて読んでおきたい「マットレス」の記事一覧
- 選び方編
○快眠マットレスおすすめ17選&自分に合うものを絞り込む手順
○敷布団とベッドマットレスの比較。素材ごとの併用の相性とおすすめ
○【失敗しないマットレスの選び方】硬さ、厚さ、密度、線材を吟味
○マットレスの3種類7素材を比較|特徴と選び方、おすすめできる人
○低反発と高反発の違い、あなたに合うマットレスはどっちか
○【快眠の方程式】マットレスの理想の硬さ=理想の寝姿勢
○マットレスの正しい厚み(高さ)は「用途と目的」を軸に考える
○【マットレスの通気性】素材・加工ベースで比較評価
- 使い方編
○【マットレスの使い方】シーツ、パッドの正しい順番とは
○マットレスにすのこは必要か?おすすめの選び方
○マットレスの上に布団を敷いてはいけない2つの理由と代替策
○マットレスの正しいダニ退治方法、二度と繁殖させない予防法
○マットレスのカビ除去方法と、再発を防ぐ予防対策
○ベッド・マットレスがずれる?それなら滑り止め対策を
○長生きでお得に!マットレスの寿命を判断する5つの目安
○賢い節約術!マットレスの処分方法を考えるべき順序
よくある質問
Q1. マットレスは重ねて使っても大丈夫?
A. 基本的には、マットレス同士を重ねて使うことは可能ですが、組み合わせや環境によっては注意が必要です。特に「厚みがありすぎる」「通気性が悪い」「ズレやすい」などの問題があると、腰痛や寝心地の悪化、カビの原因になることもあります。
適切な組み合わせと対策を講じれば、寝心地の調整やへたり対策として有効活用できます。
Q2. どんな組み合わせが寝心地に良い?
A. 重ねる際は、以下のような素材と硬さのバランスがポイントです。
上:柔らかめ(低反発やウレタン) × 下:硬め(高反発・ファイバー素材)
上:体圧分散性が高いマットレス × 下:支える土台になるしっかりしたマットレス
この組み合わせなら、沈み込みすぎず体をしっかり支えながら、表面は柔らかく快適な寝心地が得られます。
逆に、同じ硬さのマットレスを重ねると体圧が一点に集中しやすくなるため、体格や寝姿勢に合った構成を選ぶことが重要です。
Q3. 重ねたマットレスがズレるときの対処法は?
A. マットレスを重ねた状態でズレが起こるのはよくある悩みです。以下のような滑り止め対策グッズを活用しましょう。
- 滑り止めシートやラグマットを下に敷く
- マットレス用固定ベルトでズレを抑える
- すのこベッドやフレームの内寸に合わせて配置する
また、マットレスカバーを共通にして一体化させる方法も、ズレを防ぎながら見た目もすっきり整います。
Q4. トッパーとの違いは?どちらがコスパ良い?
A. マットレストッパーは既存のマットレスの寝心地を補うための薄手のアイテムで、通常は3〜5cm程度の厚みです。対して、マットレス同士を重ねる場合は、厚みが10cm以上ある製品を2層にすることになるため、通気性や高さに注意が必要です。
項目 | トッパー | マットレス重ね使い |
厚み | 約3〜5cm | 約10cm〜20cm以上 |
通気性・湿気対策 | 比較的良い | 通気性が悪くなりやすい |
コスト | 数千円〜1万円程度 | マットレス2枚分でやや高くなる傾向 |
効果 | 寝心地調整に効果的 | 支え+寝心地の両面を強化できる |
初期費用を抑えたい場合や一時的な調整ならトッパーの方がコスパ良好ですが、長期的にしっかりした寝心地を求めるならマットレスの重ね使いも選択肢になります。
Q5. マットレスを重ねるとカビやすくなる?
A. はい、重ね使いすることで通気性が悪くなり、湿気がこもりやすくなるため、カビのリスクは高まります。特に、床に直置きするケースでは注意が必要です。
カビ対策としては以下のような方法が有効です。
- 除湿シートやすのこベッドを併用する
- 定期的にマットレスを立てかけて風通しを良くする
- 防カビ・抗菌仕様のマットレス素材を選ぶ
また、マットレスの間に湿気がたまらないよう、通気性のある素材(ファイバー系)を下層に使うのもおすすめです。
著者紹介

著者情報
加賀 照虎(上級睡眠健康指導士)
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
各種SNSで情報発信中。
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
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