マットレスのローテーション完全ガイド|正しい頻度とやり方を図解
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こんにちは、加賀照虎です。
両面使えるベッドマットレスを購入すると、定期的にひっくり返す「ローテーション」をしなければなりません。
そうでないとヘタリが早くなってしまいマットレスの寿命が短くなってしまうのです。
ということで本日は、
- 正しいローテーションの手順・仕方
- ローテーションをするべき頻度
- ローテーションの頻度を省く方法
などについてご紹介していきます。マットレスと寿命を延ばしたい方やへたりを防ぎたい方は参考にしてください。
※自分に合ったマットレスを選ぶ手順(型→素材→個別商品)と値段、体質、好み別におすすめできるマットレスについてこちらのページ「マットレスのおすすめ11選|専門家が教える自分に合うものを絞り込む手順」で徹底解説しています。マットレスの買い替えを検討されているなら是非ご参考にどうぞ。 |
1. マットレスのローテーションの正しい順番
まずはマットレスの正しいローテーション方法から説明します。
下のイラストのようになります。

この手順で裏返し、上下反転するようにひっくり返してください。
マットレスの裏表が変わるだけでなく、頭と足の位置も変わっていることがポイントです。
こうすることでマットレスにかかる荷重をできるだけ分散させられるため、へたり防止に繋がり、より長持ちさせられます。
1-1. マットレスをひっくり返すのが難しいなら上下のみ変える
「マットレスをひっくり返せない」
このような方は、マットレスの上下のみ変えてみてください。頭と足の位置が変わるように回すだけです。
荷重がかかる位置が変わります。そのため、ローテーションほどの効果はありませんが、マットレスを長持ちさせることにはつながります。
1-2. マットレスをローテションするべき頻度
半年から1年に1度を目安に行えると理想です。
メーカーごとに推奨される頻度が異なるので、マットレスの記載を確認するようにしてください。
1-3. マットレスのローテーションを省く方法
とはいえ、年に一度でもこんな大変な作業はしたくないですよね。
もしあなたも同じ気持ちなら、マットレスの上に敷きパッド・ベッドパッドもしくはプロテクターを敷くようにしてください。
敷きパッド | ベッドパッド | ベッドシーツ | トッパー | プロテクター | |
画像 |
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役割 |
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厚み | 1~2cm前後 | 3~4cm前後 | 5mm前後 | 3~5cm | 5mm前後 |
温湿度調整 | ◎ | ◎ | ◯ | × | △ |
汚れ防止 | ◯ | ◯ | △ | △ | ◎ |
洗濯 | △ | △ | ◯ | × | ◯ |
体圧分散性 | △ | ◯ | × | ◎ | × |
マットレスの上にベッドシーツだけ敷くのはNGです。
ベッドシーツだけでは寝汗を吸い取りきれないため、マットレスの表面を湿気らせてしまうことになります。
湿気り=ヘタリの原因です。
実のところ、マットレスのヘタりの最大の原因は、マットレスの表面の詰め物(ウレタンフォームや中綿)の劣化なのです。

そして、これらの詰め物は湿気の有無によりへたりやすさが大きく変わるのです。
正直、ローテーションを真面目にやるよりも、パッドやプロテクターをきちんと併用するほうがよりマットレスの寿命に貢献できるはずです。
一例を紹介します。
例えば、5万円前後の比較的安価なベッドマットレスを購入されるなら、マットレス>パッド>ベッドシーツという組み合わせで良いでしょう。
しかしもし、10万円以上の良いものを購入するのであれば、マットレス>プロテクター>パッド>ベッドシーツというように厳重にマットレスを保護することをおすすめします。長持ちさせられればお財布にも嬉しいのはもちろん、マットレスがずっと新品のようにキレイだと気分的にも良いものです。
1-4. 低品質なマットレスだと手間が無駄に
もしあなたがまだベッドマットレスの購入前の段階なら、是非知ってもらいたいことがあります。
それがウレタンフォームの密度です。
ウレタン密度(kg/㎥) | 耐久性の評価 | |
高反発 | 低反発 | |
20D以下 | 30D以下 |
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25D前後 | 35D前後 |
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30D前後 | 40D前後 |
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40D以上 | 50D以上 |
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上でも述べたように、ベッドマットレスのへたりの多くはウレタンフォームなどの詰め物が原因となっています。
そして、そのウレタンフォームが密度が20D程度のスカスカのものだと、信じられないくらいのスピードでヘタってしまいます。

しかし残念なことに、ある程度の値段の立派そうなベッドマットレスなのに、低密度のウレタンフォームが使われているものがあるのです。
5万円のものと10万円のもので、実は品質が同レベルなんてことは珍しくありません。
下記のページでウレタンフォームの密度やコイルスプリングの線材の品質について詳しく解説しているので、これからベッドマットレスを購入しようかと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
関連記事:快眠マットレスおすすめ11選&自分に合うものを絞り込む手順2. マットレスのタイプでローテーションの必要性が変わる?
マットレスのタイプによって、ローテーションの必要性や裏返しが可能かどうかが大きく異なります。以下に、主なマットレスタイプごとの特徴とローテーションのポイントを解説します。
2-1. 両面仕様マットレス
両面仕様のマットレスは、表裏のどちらでも寝られるようになっているため、上下だけでなく裏表もひっくり返すローテーションが可能です。
3ヶ月ごとに「頭と足の入れ替え」と「裏表の反転」を繰り返すことで、マットレス全体にかかる負荷を分散でき、部分的なへたりを防ぐことができます。正しいローテーションを続けることで10年以上長持ちすることもあります。
ただし、分厚くて高重量のマットレスのローテーション作業をするのはかなり大変です。私は以前、マットレスの寿命を伸ばそうとひっくり返している際に、自分の腰の寿命を縮めてしまうことがありました。お気をつけください。
2-2. 片面仕様マットレス
片面仕様のマットレスは、裏と表で使われている生地や素材が異なり、寝心地の良い面は片面のみです。そのため、裏返して使うことはできません。上下(頭と足の位置)の入れ替えだけを3ヶ月ごとに行うようにしましょう。
片面タイプは、両面タイプと比べてへたりやすい傾向がありますので、特にローテーションを怠らないことが大切です。なお、一部のゾーニング構造マットレスでは上下のローテーションもできないものがあるため、使用前に必ず確認しましょう。
2-3. 低反発ウレタン・ノンコイルマットレス
低反発ウレタンマットレスやファイバーマットレス、ラテックスなどのノンコイルマットレスは、スプリングマットレスに比べて通気性が低く、湿気がたまりやすいため、ヘタリも早い傾向があります。
そのため、1ヶ月に1回のローテーションが推奨されています。両面仕様なら裏表の反転も行い、片面仕様なら上下の入れ替えだけを行うとよいでしょう。
3. 季節ごとのマットレスとのローテーションとお手入れ方法のコツ
季節によって、マットレスに求められるケアや快適な使い方は変化します。湿気や温度、寝汗の量、寝具の組み合わせなど、環境に応じてメンテナンス方法を工夫することで、1年を通して清潔で心地よい眠りを維持できます。
ここでは、春夏秋冬それぞれの季節に合わせたマットレスのローテーションやお手入れのポイントを紹介します。
3-1. 春:湿気管理と裏返し(カビ・ダニ対策)
春は気温や湿度が上がり、ダニやカビが繁殖しやすくなる季節です。
20℃を超えるとダニが活発になり、卵も増えるため注意が必要です。また、冬物寝具や衣類の入れ替え時期は、ダニの死骸やフンが舞いやすくなるだけでなく、換気によって花粉やホコリが室内に入り、ダニのエサとなることもあります。
こうしたトラブルを防ぐには、マットレスを定期的に立てかけて陰干しし、しっかり風を通すことが効果的です。特に通気性が低いマットレスは、こまめな除湿を心がけましょう。日光により、マットレスが痛むため、直射日光は避けるのが安全です。
また、マットレスの下に除湿シートを敷くのも有効です。春はマットレスのローテーションも最適な時期なので、ぜひ実施しましょう。仕上げに掃除機やふとんクリーナーで表面の埃やダニを除去すれば、より清潔な状態を保てます。
3-2. 夏:通気性UPと換気の徹底
夏はマットレスの蒸れや寝苦しさを感じやすく、睡眠の質が低下しがちです。そこで、通気性を高めて換気を徹底することが快適な睡眠環境づくりのポイントとなります。
まず、吸湿性・吸水性に優れたシーツや敷きパッドを活用しましょう。コットンやレーヨン、シルク素材のシーツは汗をしっかり吸収し、蒸れを軽減してくれます。さらに、接触冷感素材の敷きパッドを使えば、触れた瞬間にひんやりとした感触が得られるため、夏の寝苦しさも和らぎます。
また、すのこベッドの使用もおすすめです。ベッド下の通気性が格段にアップし、マットレスの湿気を効果的に逃がすことができます。カビやダニの発生を抑えたい方にも最適です。
加えて、扇風機やサーキュレーターで空気を循環させたり、寝る前にエアコンで寝室全体を冷やしておくのも有効です。ベッドやマットレスは壁から少し離して設置すると、さらに空気の通りがよくなります。
3-3. 秋:冬に備えての向き調整
秋は空気が乾燥し始め、マットレスのお手入れには絶好の季節です。特に秋晴れの日は、マットレスを陰干しして湿気をしっかり逃がす絶好のタイミング。直射日光は避け、風通しの良い場所でしっかり陰干しをしましょう。
また、冬に向けて寝心地を整えるためにも、マットレスの向きを調整することが大切です。例えば、足元が冷えやすい場合は、冬用面があればその面が上になるようローテーションを行いましょう。両面仕様のマットレスなら、表裏を切り替えて冬向けの仕様を選ぶのもおすすめです。片面仕様の場合でも、頭と足の向きを入れ替えることで、同じ場所への負担を分散できます。
この時期に除湿シートやベッドパッドも洗濯しておくと、冬も清潔で快適に過ごせます。秋は一年の中でも最も寝具のメンテナンスがしやすい時期なので、ぜひ積極的にお手入れしましょう。
3-4. 冬:湿気のこもりに注意+ベッドパッド併用推奨
冬は寒いからカビは生えにくいと思われがちですが、暖房を使うことで布団やマットレスには意外と湿気がこもりやすくなります。また、結露や重ね使いによる通気不足も、冬に湿気がたまる原因です。
対策として、ベッドパッドを併用し、こまめに湿気を逃がすことが効果的です。ベッドパッドは汗や湿気を吸収しやすく、マットレス本体を清潔に保ちやすくなります。ベッドパッド自体も定期的に洗濯し、乾燥させましょう。
さらに、マットレスや布団を毎朝広げて空気を通す、定期的に換気する、布団乾燥機を使うといった日常的な工夫もカビ予防に役立ちます。
畳やフローリングの上に布団を敷いている場合は、除湿シートやすのこベッドの利用もおすすめです。湿度計を活用して、室内の湿度が高くなりすぎないよう調整すると、よりカビ対策の効果が高まります。
まとめ
本日の話をまとめると、
- ベッドマットレスのローテーションは裏返しだけでなく頭と足の位置も変わるように行うこと
- ローテーションは半年から一年に一度を目安に行うこと
- ローテーションよりもパッドやプロテクターで湿気対策をするのが耐久性を維持する上でより大切であること
これら3点です。
ただもし、まだマットレスを買っていないなら、そもそもへたりにくい高品質のものを選べられると理想です。是非、ウレタンフォームの密度やコイルスプリングの線材の品質について調べてから買うようにしてください。
なお、マットレスに関するページを以下にまとめましたので、気になるトピックがあればあわせてご参考にしてください。
■あわせて読んでおきたい「マットレス」の記事一覧
- 選び方編
○マットレスのおすすめ11選|専門家が教える自分に合うものを絞り込む手順
○敷布団とベッドマットレスの比較。素材ごとの併用の相性とおすすめ
○【失敗しないマットレスの選び方】硬さ、厚さ、密度、線材を吟味
○マットレスの3種類7素材を比較|特徴と選び方、おすすめできる人
○低反発と高反発の違い、あなたに合うマットレスはどっちか
○【快眠の方程式】マットレスの理想の硬さ=理想の寝姿勢
○マットレスの正しい厚み(高さ)は「用途と目的」を軸に考える
○【マットレスの通気性】素材・加工ベースで比較評価
- 使い方編
○【マットレスの使い方】シーツ、パッドの正しい順番とは
○マットレスにすのこは必要か?おすすめの選び方
○マットレスの上に布団を敷いてはいけない2つの理由と代替策
○マットレスの正しいダニ退治方法、二度と繁殖させない予防法
○マットレスのカビ除去方法と、再発を防ぐ予防対策
○ベッド・マットレスがずれる?それなら滑り止め対策を
○長生きでお得に!マットレスの寿命を判断する5つの目安
○賢い節約術!マットレスの処分方法を考えるべき順序
よくある質問
Q1:マットレスをローテーションしないとどうなりますか?
A:一部に荷重が集中し、へたり・凹み・寝心地の悪化が早まります。
マットレスは毎晩同じ位置に体重がかかるため、ローテーションをしないと一部分だけが圧縮され続け、詰め物やスプリングが劣化しやすくなります。
とくに体重の重い方は、腰部分のウレタンが早期にへたってしまい、体圧分散性が失われて寝姿勢の乱れや腰痛の原因になることもあります。定期的なローテーションは、寝心地の均一化・寿命の延長・耐久性の維持に大きく貢献します。
Q2:体格差がある2人でマットレスを使う場合、ローテーションは必要ですか?
A:はい。体重差があるペアこそローテーションの効果が大きくなります。
夫婦や親子などで体格が大きく異なる場合、マットレスの片側だけが集中的に沈みやすくなります。片側だけ早くへたってバランスが崩れた状態を放置すると、体の不調や姿勢の崩れにもつながるため、定期的に上下を入れ替えるローテーションが重要です。
とくにポケットコイルや高反発マットレスは荷重のかかり方で寿命に差が出やすいので、3ヶ月に1回程度の入れ替えが理想的です。
Q3:ローテーション不要のマットレスって本当に回さなくていいの?
A:構造上ローテーションが不要なモデルもありますが、湿気対策として“立てかけ”や“風通し”は依然として必要です。
最近では、ゾーニング構造(部位ごとに硬さを変えたマットレス)や片面専用構造のノンコイルマットレスが増えており、「ローテーション不要」とされている商品もあります。ただし、これは荷重の分散性を前提とした構造であり、湿気やカビのリスクを防ぐものではありません。
特に通気性の悪い素材(低反発ウレタンなど)は、月に1〜2回の立てかけ乾燥や除湿シートの使用を組み合わせることで、より衛生的に長く使うことができます。
著者紹介

著者情報
加賀 照虎(上級睡眠健康指導士)
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
各種SNSで情報発信中。
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
各種SNSで情報発信中。
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