マットレスは両面仕様が本当にお得?失敗しない選び方と注意点を解説

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マットレスは両面仕様が本当にお得?失敗しない選び方と注意点を解説

「両面仕様のマットレスは寿命が2倍!」

と言われて、マットレスを買うなら両面仕様のものにしようと思ってはいないでしょうか。

もしYesなら、少しお待ちください。

よくよく理解していないと、期待を裏切られることになります。

ということで本日は「両面仕様のベッドマットレスで失敗する前に知っておくべき3つのこと」についてお話しします。また、両面マットレスの特徴と片面との違いにも触れています。購入前に知っておくことが大切なので是非参考にされてください。

注意:今回の話はポケットコイル・ボンネルコイルなどのスプリングマットレスについてのものです。その他の種類のマットレスでは全て該当するわけではないことご了承ください。

※自分に合ったマットレスを選ぶ手順(型→素材→個別商品)と値段、体質、好み別におすすめできるマットレスについてこちらのページ「マットレスのおすすめ11選|専門家が教える自分に合うものを絞り込む手順」で徹底解説しています。網羅的にマットレス選びを進めたい方は是非ご参考にどうぞ。

1. 両面仕様のマットレスで失敗する前に知っておくべきこと

1-1. ローテーションがすごく大変

両面仕様のマットレスはローテーション作業が必要です。

3~6ヶ月に1度行うことが推奨されています。

マットレスのひっくり返し方
マットレスのひっくり返し方

ただこの作業、ものすごくキツいです。

例えば、厚さ30cm、コイル数800個前後、両面仕様のポケットコイルマットレスは、

  • シングル:33kg
  • セミダブル:41kg
  • ダブル:49kg
  • クイーン:57kg

こんなに重くなります。

本当に大変です。

半年に1度どころか、数年に1度でもやりたくないくらいの重さです。

1-2. 両面だからといって長持ちとは限らない

しかし、両面マットレスが重いとはいっても、

「多少大変でもマットレスが長持ちするなら…」

と思われているかもしれません。

ただ、両面だから長持ち、これもアテにならないことが実はあるのです。

というのも、スプリングマットレスの寿命が切れるのは詰め物(コイルスプリングの上のウレタンフォームやわたなど)がへたることが大半なのですが、両面に詰め物をふんだんに入れると原価が高くなりすぎてしまうため、コストカットで低品質のものが使われていることがあるからです。

低品質なスプリングマットレスは詰め物が少なすぎることが多い

その結果、「きちんとローテーションしてるのにへたりやすい…」なんてことになりうるのです。

なお、厚みが40cm以上を超えるもので見た目だけ立派なマットレスともなると、自重によって底面のウレタンフォームが潰れていくなんてこともあります。恐ろしい話ですが、そんな独り立ちすらままならないマットレスもあることを頭に入れておきましょう。

なお、こういったマットレスを避けるなら詰め物に使われるウレタンフォームの品質をしっかりと理解しなければなりません。下記のページで詳しく解説しているので、まともなマットレスを購入したい方はあわせてご覧ください。

関連記事:マットレスの高密度に定義なし。比較検証を。

ちなみに私の考えですが、片面マットレスだけどその分高品質な詰め物がしっかりと使われているものをきちんとケアして使うのが一番コスパが良いと思っています。

1-3. 冷温効果なら敷きパッドを利用したほうが無難

「夏は冷感生地の表面、冬は吸湿発熱の裏面」

というように季節に応じて使用面を変えるよう提案している両面マットレスもあります。

ただ、これもイマイチです。

というのも、マットレスにはそのままその上に直接寝ることは推奨されておらず、パッドやシーツ、プロテクターの利用が必須となるとわけなのですが、これらを使用するとなるとマットレスの生地の冷感・温感効果は薄まってしまうからです。

敷きパッド ベッドパッド ベッドシーツ トッパー プロテクター
画像 shiki-pad1 bed-pad1 bed-sheet1 mattress-topper1 mattress-protector1
役割
  • 肌触りの改善
  • 温湿度の調整
  • マットレスの汚れ防止
  • 肌触りの改善
  • 温湿度の調整
  • おしゃれ
  • 体圧分散改善
  • マットレスの
    汚れ防止
厚み 1~2cm前後 3~4cm前後 5mm前後 3~5cm 5mm前後
温湿度調整 ×
汚れ防止
洗濯 ×
体圧分散性 × ×

そのため、冷温効果により両面仕様もそこまで価値があるものとは言えません。

とはいえやはり、「何かしらの冷温効果が欲しい!」ということでしたら、

  • 夏は接触冷感敷きパッド
  • 冬は暖か敷きパッドor羊毛パッド

などを別途用意するほうがおすすめです。

2. 両面マットレスのメリットとデメリットを比較

両面マットレスには独自のメリットとデメリットが存在し、使う人の好みやライフスタイルによって向き・不向きが分かれます。

ここでは、両面マットレスの特長や使い勝手を、片面仕様との違いにも触れながら、わかりやすく解説します。

2-1. 両面マットレスのメリット

両面マットレスは、片面仕様とは異なる構造によって、さまざまなメリットが期待できるマットレスです。ここでは、両面マットレスならではの荷重分散性や寝心地の良さについて詳しく解説します。

2-1-1. 荷重分散性が高い

前項では、マットレスの耐久性は詰め物の品質によって大きく左右されることをご紹介しましたが、実は「構造面」も長持ちのために大切なポイントです。

とくに両面マットレスは、芯材を上下から詰め物でサンドした仕様になっており、寝ているときの荷重が全体に分散されやすいという特徴があります。

この荷重分散性の高さによって、スプリングやコイルなど芯材への負担が軽減され、結果的にマットレス全体の寿命をサポートします。両面仕様は、長期間安心して使える点でも選ばれています。

2-1-2. 寝心地が良い

両面マットレスは、その構造上、なめらかで揺れにくい寝心地が大きな特長です。芯材であるコイルやウレタンを上下の詰め物でサンドしているため、体にかかる荷重がマットレス全体にやわらかく分散されます。この荷重分散性の高さが、衝撃吸収性にもつながり、包み込まれるような感覚を生み出します。

一方、片面仕様のマットレスは芯材の存在感が強くなりやすく、体の部位ごとに硬さややわらかさを感じる“メリハリ”のある寝心地になります。また、片面仕様は圧縮が大きくなりやすいため、反発力や寝返りのサポート力が強めに感じられる傾向があります。

両面マットレスは、包み込まれるようなやさしい寝心地や、体への負担の少なさを重視したい方に特におすすめできる仕様です。

2-2. 両面マットレスのデメリット

両面マットレスには、寝心地や耐久性の面で多くのメリットがありますが、その一方で注意しておきたいデメリットも存在します。ここでは、購入前に知っておきたい両面マットレス特有の欠点や対策について解説します。

2-2-1. マットレスがズレやすい

両面マットレスには、ベッドフレームの上でズレやすいというデメリットがあります。これは、立体感のあるキルティング加工が施されているため、ベッドフレームとの接地面が少なくなり、滑りやすくなることが主な原因です。特に、表面にボリューム感があるマットレスほど、この傾向が強くなります。

一方、片面仕様のマットレスは裏面に滑り止めが付いている商品も多く、ベッドフレームの上でもしっかり安定しやすい点が特徴です。ただし、ズレやすさはマットレスの重量や生地の質感によっても異なります。

両面仕様であっても重くて滑りにくい素材ならズレにくく、逆に片面仕様でも軽量で裏面がツルツルしたタイプはズレやすいことがあります。

2-2-2. 価格が高め

両面マットレスは、その構造上、両面にクッション材や詰め物が使われているため、片面仕様のマットレスと比べて価格が高くなる傾向があります。初期費用はやや大きくなりますが、長く快適に使えるモデルも多いため、コストと使用期間のバランスを考慮して選ぶのがおすすめです。

ただし、安価な両面仕様マットレスの場合、コストを抑えるために詰め物の量や品質が不足しているケースもあります。価格だけで判断せず、マットレスの仕様や使われている素材、ブランドの口コミなども参考にしながら、納得できる一枚を選びましょう。

2-2-3. 湿気がこもりやすく対策が必要

両面仕様のマットレスは、表裏どちらにも詰め物が使われている分、どうしても片面仕様よりも密閉性が高くなり、湿気がこもりやすい傾向があります。そのまま放置しているとカビやダニの原因になることもあるため、日頃から湿気対策を心がけることが大切です。

具体的には、定期的にマットレスを立てかけて風を通すほか、除湿シートやベッドパッドを活用するのも効果的です。また、側面に通気孔が設けられているタイプや、通気性に優れた素材を採用したモデルも多く販売されています。購入時は、こうした仕様にも注目して選ぶと安心です。

3. 両面マットレスはどんな人におすすめ?

両面マットレスは、上下両面にクッション材をしっかりと施した独自の構造によって、体への負担をやわらげ、包み込まれるような快適な寝心地が魅力です。特に「ぐっすり眠って朝スッキリ目覚めたい」「一日の疲れをしっかり癒やしたい」といった、眠りの質そのものを大切にしたい方にはぴったりの選択肢です。

また、両面マットレスは定期的に裏表をローテーションして使うことで、片面だけがヘタるのを防ぎ、長く快適な状態を保ちやすいというメリットもあります。信頼できるブランドのモデルを選べば、より安心して長期間使い続けることができるでしょう。

一方で、両面マットレスは価格がやや高めになりやすく、湿気がこもりやすい、ズレやすいといった側面もあるため、日ごろのお手入れや湿気対策にしっかり取り組める方におすすめです。

「睡眠環境をより良くしたい」「大切なマットレスを長く愛用したい」と考える方にこそ、両面マットレスのメリットをぜひ実感していただきたいです。

「睡眠環境をより良くしたい」「大切なマットレスを長く愛用したい」と考える方にこそ、両面マットレスのメリットをぜひ実感していただきたいです。

4. 片面マットレスとの違い

両面マットレスは、表と裏のどちらでも寝られるようにクッション材を両面に使用しており、マットレスをローテーションしながら使うことで部分的なヘタリを防ぎ、長期間快適に眠ることができます。また、季節ごとに異なる素材を使い分けて寝心地を調整できるモデルも存在します。

一方、片面マットレスは、表側だけが寝る面として使える設計になっているため、詰め物も片面だけに施されているのが特徴です。コスト面でのメリットはありますが、ローテーションできるのは上下のみなので同じ場所に負荷が集中しやすく、寿命が短くなりがちです。自分の好みやライフスタイルに合わせて、最適なタイプを選ぶことが大切です。

5. 両面マットレスのメンテナンス方法

両面マットレスを長く快適に使うためには、定期的なローテーションが重要です。まず、頭と足の部分を180度回転させ、次に表と裏をひっくり返します。これを繰り返すことで、同じ部分に負荷が集中せず、マットレス全体を均一に使うことができます。

コイルマットレスの場合は3か月に1回、ウレタンやラテックス、ファイバー素材のマットレスは1か月に1回の頻度でローテーションを行うのが理想的です。ローテーションに加えて、日々のお手入れも大切です。

毎日掛け布団をめくって湿気を逃がし、シーツやカバーは週に1回洗濯しましょう。月に1回はマットレス本体を陰干しし、表面の汚れも拭き取ります。さらに、ベッドパッドも2〜3か月に1回は洗濯すると、清潔で快適な寝心地を保てます。

まとめ

話をまとめると、

  • ローテーションがすごい大変
  • 両面でも長持ちとは限らない
  • 生地の冷温加工は効果薄

これら3つの点についてよくよく考え、メリットやデメリット、片面仕様との違いについて比較して両面仕様のマットレスにするか片面仕様のものにするか検討することをおすすめします。

あなたのマットレス選びの一助になっていれば幸いです。

なお、もしマットレス選びのために情報収集中でしたら、ぜひ下記のページをご覧ください。自分にあったマットレスを選ぶための考え方の手順から、種類、素材、値段別におすすめマットレスを紹介しています。きっとお役立ていただけるはずです。

関連記事:快眠マットレスおすすめ11選&自分に合うものを絞り込む手順

また、マットレスに関するページを以下にまとめましたので、気になるトピックがあればあわせてご参考にしてください。

■あわせて読んでおきたい「マットレス」の記事一覧
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○マットレスのおすすめ11選|専門家が教える自分に合うものを絞り込む手順
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○【失敗しないマットレスの選び方】硬さ、厚さ、密度、線材を吟味
○マットレスの3種類7素材を比較|特徴と選び方、おすすめできる人
○低反発と高反発の違い、あなたに合うマットレスはどっちか
○【快眠の方程式】マットレスの理想の硬さ=理想の寝姿勢
○マットレスの正しい厚み(高さ)は「用途と目的」を軸に考える
○【マットレスの通気性】素材・加工ベースで比較評価
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○【マットレスの使い方】シーツ、パッドの正しい順番とは
○マットレスにすのこは必要か?おすすめの選び方
○マットレスの上に布団を敷いてはいけない2つの理由と代替策
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○ベッド・マットレスがずれる?それなら滑り止め対策を
○長生きでお得に!マットレスの寿命を判断する5つの目安
○賢い節約術!マットレスの処分方法を考えるべき順序

よくある質問

Q1:両面マットレスと片面マットレス、どちらが腰痛に向いていますか?

A:体圧分散性に優れた両面マットレスは、やさしく体を支える寝心地を好む腰痛傾向の方に向いています。ただし、反発力の高い片面タイプの方が寝返りしやすく、腰への負担を感じにくい人もいます。

腰痛対策には「マットレスの硬さ」だけでなく、反発力・寝返りのしやすさ・体圧分散性のバランスが重要です。

両面仕様はやわらかく包み込む寝心地と長寿命の構造が特長で、慢性的な腰の違和感に悩む人にフィットしやすい傾向があります。一方、寝返りを多く打つ方や体重が重めの方は、反発力の高い片面タイプの方が腰が沈み込みすぎず快適に感じる場合もあります。

Q2:ローテーション不要とされるマットレスでも裏返した方がいいですか?

A:基本的には不要ですが、湿気対策や使用感の確認のために“立てかけ”や“風通し”のメンテナンスはおすすめです。

ゾーニング構造や片面仕様のマットレスには「裏返しNG」「上下反転NG」のタイプもあります。とはいえ、マットレスの裏面に湿気がこもるとカビや臭いの原因になるため、定期的に立てて通気させることが寿命維持には効果的です。

特に通気性が低いウレタン系の素材では、ローテーションではなく除湿と陰干しの習慣化が大切です。

Q3:両面マットレスの寿命は本当に2倍になりますか?

A:単純に2倍になるとは限りません。詰め物の質や使い方次第で寿命に大きな差が出ます。

「両面仕様だから寿命が2倍になる」というのは、上下を均等に使い、適切にローテーションした場合に限られます。しかし、両面マットレスの中にはウレタン密度が低いものや、表面の詰め物に偏りがあるものもあり、思ったより早くへたるケースもあります。

実際の耐久性を左右するのは詰め物の素材・通気性・ウレタンの密度・湿気管理など。構造だけでなく、仕様書や品質表示もチェックすることが重要です。

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