羽毛布団の水鳥の産地の特徴と品質ランク

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羽毛布団の水鳥の産地の特徴と品質ランク

羽毛布団の産地偽装が止まらない--。

しかしそもそも、ハンガリー、ポーランド、フランス、中国など、羽毛布団に使用される羽毛の産地によって何がそんなに違うのか疑問に感じてはいないでしょうか。「日本で販売されているフランス産羽毛布団の半分が完全な羽毛布団ではない」と朝日新聞が2016年に報じて以来、羽毛布団に対するこのような疑問は増える一方です。

そこで本日は「羽毛布団の水鳥の産地の特徴と品質ランク」についてご紹介します。

※羽毛と羽根の比率、ダウンパワー、充填量などのスペックを比較した選び方についてこちらのページ「羽毛布団の選び方とおすすめ9選【専門家直伝】」で徹底解説しています。羽毛の充填量だけでなくより網羅的に羽毛布団選びを進めたい方はぜひご参考にしてください。

1. 羽毛布団の水鳥の産地ランク

何を基準に羽毛の産地ランクを決めようかと思案しましたが、その道のプロである製造業者が羽毛を購入している価格をベースにランク付けをしました。

プロが品質・価値を認めて金銭を払っているのだからある程度の参考にはなります。

順位 輸入元 輸入量(kg) 割合 順位 輸入元 輸入金額(千円) 割合 順位 輸入元 単価(円/kg)
1 台湾 1,091,395 37% 1 台湾 ¥5,308,863 29% 1 アイスランド ¥215,539
2 中国 792,856 27% 2 中国 ¥4,650,501 25% 2 ロシア ¥11,245
3 ポーランド 221,272 8% 3 ポーランド ¥2,357,643 13% 3 ポーランド ¥10,655
4 ハンガリー 196,123 7% 4 ハンガリー ¥1,584,449 9% 4 ハンガリー ¥8,079
5 フランス 180,683 6% 5 フランス ¥1,124,952 6% 5 ウクライナ ¥7,872
6 ウクライナ 113,131 4% 6 ウクライナ ¥890,608 5% 6 ブルガリア ¥6,578
7 ブルガリア 96,828 3% 7 ブルガリア ¥636,896 3% 7 スペイン ¥6,326
8 アメリカ 56,193 2% 8 ロシア ¥609,095 3% 8 フランス ¥6,226
9 ロシア 54,167 2% 9 スペイン ¥297,400 2% 9 中国 ¥5,866
10 スペイン 47,009 2% 10 アイスランド ¥232,998 1% 10 台湾 ¥4,864
その他 93,376 3% その他 ¥771,527 4%
合計 2,943,033 合計 ¥18,464,932

この表は日本政府が提供している2018年の輸入統計を元に作成しました。

国別輸入金額から国別輸入量を割って1kg当たりの羽毛の単価を求めています。産地といっても国単位になりますが、これでどの国の羽毛がどれくらいの価値があると見なされているかお分かりいただけると思います。

「ん?アイスランド産の羽毛の単価(215,539円/kg)、桁おかしくない?」と思われるかもしれません。

しかし、これで正しいのです。アイスランドは一般的なダックやグースではなくアイダーダックという最高級の羽毛の産地で、輸入量こそ全体の0.04%しかないにも関わらず輸入額ではトップ10にランクインする超高付加価値産地なのです。アイダーダックの羽毛布団がゆうに100万円を超えてしまう理由、ご納得いただけるかと思います。

アイダーダック
アイダーダック

ロシアが2位なのは私としても驚きでした。

ポーランドとハンガリーは国家プロジェクトとして羽毛の品種改良を進めてきた経緯があり世界的に羽毛の名産地だったのですが、まさか2位がロシアとは。ちなみに、シベリア産というのもロシア産と同じと捉えて結構です。いずれにせよ、これらの地域はダウンベルトと呼ばれる北緯45~53度(もしくはさらに北の寒い地域)に位置しており、良質な羽毛の採れる水鳥が生息する環境なのです。

ダウンベルト
ダウンベルト

フランス産の羽毛は高級なイメージがあるかと思いますが、とりたてて品質が高いわけではありません。

むしろ、羽毛はフォアグラ(ダック・グースの肝臓から作られる)を製造する工程で出た副産物という認識が正解です。ダウンベルトに入っているとはいえ冬の気候もそこまで厳しくないため、羽毛自体の価値は低めです。

中国産と台湾産について一言でいうと、中国産は安価なものから高価なものでまさに色々あり、台湾産はミドルクラスから安価なものが大半です。中国は広いだけあって羽毛の産地もいろいろあります。中国北部(黒竜江省や吉林省など)はダウンベルトに属するのはもちろんシベリアから下りてくる寒波により冬季はマイナス30°に達することすらザラで、良質な水鳥を育てるのに適した環境です。

一方、中部から南部(安徽省など)となると、気候はそこまで厳しくないため羽毛の品質はぼちぼちくらいになります。台湾は年中暖かいので中国産よりもミドル〜ロークラスの羽毛が多くなります。なお、2018年は台湾が輸入量・金額共に一番ですが、2010年から2017年までずっと中国が一番でした(それ以前はデータがない)。この年はもしかすると、「中国産」の悪いイメージを避けるために台湾を経由して「台湾産」にされた羽毛が多い可能性があります。あくまで私の推測ですが。

1−1. 羽毛の品質ランクはダウンパワーを目安に

ここまでお読みになられたら国単位での羽毛の産地についてのイメージは固まったかと思います。

とはいえ、中国産の羽毛にピンからキリまであるように、それぞれ個別の羽毛布団の品質は産地だけで推し量ることは出来ません。

ではどうすればいいのかと言うと「ダウンパワー」の出番になります。ダウンパワーが示す数値で羽毛の品質が分かるようになります。

ラベル ダウンパワー
(フィルパワー)
かさ高 ダウンの混率 清浄度 酸素計数
プレミアムゴールド 440dp(807fp) 18cm以上 93%以上 500mm以上 4.8mg以下
premium-gold-label
ロイヤルゴールド 400dp(733fp) 16.5cm以上 90%以上 500mm以上 4.8mg以下
royal-gold-label
エクセルゴールド 350dp(642fp) 14.5cm以上 80%以上 500mm以上 4.8mg以下
excel-gold-label
ニューゴールド 300dp(550fp) 12cm以上 50%以上 500mm以上 4.8mg以下
new-gold-label

ダウンパワーが高ければ高いほどダウンボールが大きくふわふわと軽くて保温性が高いことを意味します。例えば、中国産ダウンで440dpのものと、ポーランド産ダウンで400dpのものがあるとすれば、前者のほうが高品質だと言えるのです。

羽毛(ダウン) 羽根(フェザー)
画像 down-material feather-material
風合い ふわふわ 芯がある
保温性
重量
フィット性
獣臭
価格

ただ、ダウンパワーが高い羽毛がふんだんに吹き込まれた羽毛布団が最高品質になるわけではありません。季節や居住環境に合わせた適度な充填量でなければ快適な寝心地にはなりません。この点については以下のページで詳しく説明しているのでご参考にしてください。

関連記事:【羽毛布団のダウンパワー】混合率と充填量で正しく理解

ダウンパワー以外の品質指標

もちろん、ダウンパワー以外にも羽毛の品質を表す指標はいくつかあります。

例えば、ダックかグースかという水鳥の種類はニオイの強さにとても関係してきます。グースが草食なのに対してダックは雑食のため脂質が多く獣臭が強くなるのです。

ダック グース
画像 duck goose
体のサイズ 小さめ 大きめ
羽毛のサイズ 小さめ 大きめ
保温性 普通 高い
食事 雑食 草食
獣臭 強い 弱い

他にも、品種改良により羽毛同士が連なるようにくっつく性質を持っているダウン(チェーンダウンやスティッキーダウンと呼ばれます)はより保温性が高くなるため高品質とされます。

1−2. 産地にこだわって選ぶのなら原産地証明書のあるものを選ぶ

「いろいろと比較検討した結果、ポーランド産のグースダウンの羽毛布団で良さそうなものを見つけたものの、産地偽装とかされていないか気になる…」と心配される方も多いかと思います。

そんな時は販売店に原産地証明書を見せてもらえるか確認しましょう。原産地証明書は商品の輸入時に必要となることがあるため、輸入を行った業者が持っています(手元になくても現地調達をした業者に連絡を入れればすぐに取り寄せられます)。もちろん、原産地証明書自体を偽装しようと思えば出来るので、原産地証明書があれば100%安心という訳ではありませんが。

最後に

羽毛の産地について知る一助になっていれば幸いです。羽毛布団は産地だけでなく、水鳥の種類、ダウンパワー、充填量などトータルで選ぶようにしましょう。

なお、以下のページで最高の羽毛布団を選ぶために考えるべきポイント(ダウン率、ダウンパワー、充填量、水鳥の種類、側生地の品質など)とおすすめの羽毛布団について解説しています。是非あわせてご参考にしてください。

関連記事:羽毛布団の選び方とおすすめ9選【専門家直伝】
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