【羽毛布団のダウンパワー】混合率と充填量で正しく理解

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【羽毛布団のダウンパワー】混合率と充填量で正しく理解

突然ですが、質問です。

以下の2つの羽毛布団、どちらがより暖かいでしょうか?

  1. グースダウン93%、380dp、1.2kg
  2. グースダウン90%、400dp、1.1kg

「え、、、ダウンパワー(dp)が高い羽毛布団のほうが暖かいのでは?」

このように思われたかもしれません。

が、正しくは前者のほうが暖かい可能性が高いです(理由は後述)。

羽毛布団の保温性をダウンパワーのみで比較していては見誤ってしまいます。

ダウンの混合率や充填量と勘案しなければなりません。

そこで本日は、

  • ダウンパワー(dp)とは何か
  • 羽毛布団の保温性はダウンパワー、ダウン率、充填量の総合値で決まること
  • 保温性が「高い」ものではなく「適切」なものを選ぶべき理由
  • 寝室に最適な保温性を選ぶ方法

などについて解説していきます。

ぜひご参考にしてください。

※羽毛と羽根の比率、ダウンパワー、充填量などのスペックを比較した選び方についてこちらのページ「羽毛布団の選び方とおすすめ9選【専門家直伝】」で徹底解説しています。羽毛の充填量だけでなくより網羅的に羽毛布団選びを進めたい方はぜひご参考にしてください。

1. 羽毛布団のダウンパワー(dp)とは何か

まず最初に定義から。

羽毛のダウンパワーとは、「羽毛がどれだけ大きくふわっと嵩高があるか」を表す数値のことです。

以下の写真を見てください。

ダウンパワー(引用:一般財団法人 日本繊維製品品質技術センター)
ダウンパワー(引用:一般財団法人 日本繊維製品品質技術センター

一見、右の羽毛は左に比べて2倍以上の量があるように見えますよね。

しかし、実はどちらも同じ1gの量なのです。

羽毛のふくらみ(ダウンパワー)の違いでここまで変わるのです。

驚きではないでしょうか?

同じ原料とは思えないほどの違いですよね。

この差を初めて見たとき私は、羽毛(というより天然素材)は本当にピンからキリまで玉石混淆だなと驚愕しました。

このような背景から、ダウンパワーが高い羽毛を使った布団は、少ない量で十分な保温性を生み出す上にふわふわと肌当たりもよいので、より高品質なものとされています。

品質が数値化されているので、羽毛布団選びの大事な指標になります。

ちなみに、ダウンパワーは以下のようにして算出されます。

【ダウンパワーの求め方】
スチーム法で前処理した羽毛30gを、内径29cmのシリンダーに入れ、荷重用円盤94.3gを掛ける。そのときの高さを測定し、羽毛の体積を求め、1g当りの体積をダウンパワーとして表す。(引用:一般財団法人 日本繊維製品品質技術センター

「同じdpでもマザーダックのほうが品質が上?」

このような疑問を持たれる方もいるかと思います。

結論、レギュラーダックであろうがマザーダックであろうが、ダックであろうがグースであろうが、dpが同じであれば保温性は同じだと考えてもらって結構です(若干の例外はありますが)。

ダック グース
画像 duck goose
体のサイズ 小さめ 大きめ
羽毛のサイズ 小さめ 大きめ
保温性 普通 高い
食事 雑食 草食
獣臭 強い 弱い

1-1. 羽毛布団の保温性はダウンパワー、ダウン率、充填量の総合値で決まる

しかし、羽毛布団の保温性はダウンパワーだけでは決まりません。

ダウンパワー、ダウン率(ダウンとフェザーの混合率)、充填量(羽毛と羽根の量)の総合値で保温性は決まるのです。

羽毛(ダウン) 羽根(フェザー)
画像 down-material feather-material
風合い ふわふわ 芯がある
保温性
重量
フィット性
獣臭
価格

極論ですが、ダウンパワーがいくら高くとも、充填量が0.2kgだと保温性はほとんど期待できないですよね。

さて、冒頭の2つの例を見てみましょう。

  1. グースダウン93%、380dp、1.2kg
  2. グースダウン90%、400dp、1.1kg

②のほうがダウンパワーがわずかながら高いですが、ダウン率と充填量では①のほうがだいぶ高いです。

そのため、②よりも①のほうが保温性が高いと言えるわけです。

1-2. 保温性が「高い」ものではなく「適切」なものを選ぶべき理由

「保温性が高い羽毛布団が良いもの」

これは間違った認識です。

良い羽毛布団とは、あなたの寝室の温度に適した保温性のある羽毛布団のことです。

というのも、保温性が適切であることによって、布団内の温湿度(寝床内気象)を睡眠に最適とされる温度33℃・湿度50%前後に整えられるからです。

寝床内気象
寝床内気象

「羽毛布団が暖かすぎて寝苦しくなった」

これは寝室に対してオーバースペックな羽毛布団を使うことで生じる問題です。

そもそも、眠るとき人の体温は下がるようになっています。

6sleep-and-temperature
人は眠るときに汗をかいて体温を下げる

寝床が暖かすぎることで体温が下げづらくなってしまい、その結果、寝苦しくなり睡眠の質を下げることにつながります。

というわけで、適切な保温性が大事なのです。

1-3. 羽毛布団の保温性はあなたの寝室に適切なものを選ぶこと

「保温性の「高さ」よりも「適切なこと」が大事なのはわかった」
「では具体的にどう選べばいいのか?」

このように疑問に感じられているかと思います。

これについては弊社のパートナー企業であるCIL快適睡眠環境研究所が紹介している「羽毛布団のスペック別の適切な寝室の温度例」を参考にしてください。

商品例1 商品例2 商品例3 TOG値 寝室の温度 住居例
ダウン率 85% 12 16~18℃ 年中、冷暖房で
調整されている部屋
ダウンパワー 330dp
充填量 1.0kg
ダウン率 85% 90% 93% 13 14~16℃ 気密性の高いマンション
ダウンパワー 330dp 350dp 400dp
充填量 1.1kg 1.0kg 1.0kg
ダウン率 85% 90% 93% 14 12~14℃ コンクリートの
アパートや戸建て
ダウンパワー 330dp 350dp 440dp
充填量 1.3kg 1.2kg 1.0kg
ダウン率 85% 90% 93% 15 10~12℃ 同上
ダウンパワー 330dp 350dp 400dp
充填量 1.4kg 1.3kg 1.1kg
ダウン率 93% 93% 93% 16 8~10℃ 築年数の古い
木造一戸建て
ダウンパワー 400dp 440dp 440dp
充填量 1.3kg 1.2kg 1.3kg

(※TOG値:保温性レベルとお考えください)

あなたの寝室の温度に対して適切な保温性(ダウンパワー×ダウン率×充填量)がどれくらいか目星をつけましょう。

築年数の古い木造一戸建てに住まわれている方は、保温性の高い羽毛布団が必要になる一方で、タワマンのような機密性が高くて暖かい住居に住まわれている方は、羽毛布団の保温性はあまり高くなくて良いことがお分かりいただけるかと思います。

最後に

羽毛布団のダウンパワーと保温性の関係について理解する参考になっていれば幸いです。

なお、蒸れにくい暖かさを作るためには生地も非常に大切です。

それらについては下記のページで詳しく解説しています。ぜひあわせて参考にしてください。

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