羽毛布団の通気性は超重要。なぜポリエステル生地はダメなのか

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羽毛布団の通気性は超重要。なぜポリエステル生地はダメなのか

羽毛布団の通気性は超重要です。

まくらやマットレスでも通気性は重要です。

しかし羽毛布団では、通気性が保温性にも関わるため、さらに重要度が高くなります。

ということで本日は、

  • 羽毛布団の通気性が超重要な理由
  • 生地素材別での通気性の目安
  • カバーで補える範囲

などについて解説していきます。

ぜひご参考にしてください。

※羽毛と羽根の比率、ダウンパワー、充填量などのスペックを比較した選び方についてこちらのページ「羽毛布団の選び方とおすすめ9選【専門家直伝】」で徹底解説しています。羽毛の充填量だけでなくより網羅的に羽毛布団選びを進めたい方はぜひご参考にしてください。

0. 前提知識

まずは前提知識です。

快適なあたたかさで眠るための羽毛布団の役割について箇条書きでお伝えします。

  • 夏に適切な室温は26℃、湿度は50%前後
  • 冬に適切な室温は16~19℃、湿度は50~60%前後
  • 布団内の適切な温度は33℃、湿度は50%前後(通年)
  • 人は眠るときに体温を下げる
  • 体温を下げるために汗をかく
  • 液体の汗だけでなく蒸気としても発汗している
  • この蒸気(熱と湿気)を布団が発散することで、布団内の温湿度を適切に整えられ睡眠に快適な環境になる
6sleep-and-temperature
人は眠るときに汗をかいて体温を下げる

全ての布団に通じる話です。

覚えておきましょう。

1. 羽毛布団の通気性が重要な理由【保温性と蒸れ感にかかわる】

ではなぜ羽毛布団の通気性が重要なのか?

通気性の良さが快眠に通じる流れは次のようになります。

  1. 生地の通気性が高い
  2. 人がかいている蒸気の汗を羽毛まで通す
  3. 羽毛に熱が届きやすくあたたまるのが早い
  4. 羽毛が湿気を発散させやすく布団内が蒸れにくい

対して、通気性の低いポリエステル100%の生地だと逆のことが起こります。

  1. 生地の通気性が低い
  2. 人がかいている蒸気の汗を羽毛まで通しにくい
  3. 羽毛に熱が届きにくくあたたまりにくい
  4. 羽毛も生地も湿気を発散させにくいため布団内が蒸れて寝苦しくなる

イメージできますでしょうか。

こういった背景から生地の通気性が高いと、羽毛布団が早く適度にあたたまりやすくなるのです。

1-1. 生地素材別での通気性の目安【通気度2.0cc以上がおすすめ】

「羽毛布団の通気性が大事なのはわかった」
「でも何を目安にしたらいいの?」

このように疑問に感じられているかと思います。

実のところ、羽毛布団の通気性を表す単位として「通気度」というものがあるのですが、あまり知られていないことから商品ページにも記載されていないことがほとんどです。

とはいえ、生地素材と通気度は相関しているため、素材を見ていただくとある程度通気度をイメージすることができます。

生地素材 生地重量 通気度 評価
綿100%
(100番手)
800g前後 3.0cc以上
  • 10万円以上の最高級品向け。
  • 布団と一体化するような使い心地。
綿100%
(80番手)
950g前後 3.0cc前後
  • 8万円前後の高級品向け。
  • さらっとした肌触りで体によく馴染みます。
綿100%
(60番手)
1100g前後 2.0cc前後
  • 6万円前後の高品質商品向け。
  • 十分快適な肌触りと肌当たりです。
綿100%
(40番手)
1300g前後 1.5cc前後
  • 4万円前後の普及品向け。
  • あまりにも安いものだと生地が硬く重いことがある。
ポリエステル30%
綿70%
900g前後 0.5cc前後
  • 3万円前後の低価格品向け。
  • 蒸れやすいので吸水性のあるカバーを併用すること。
ポリエステル85%
綿15%
750g前後 0.5cc前後
  • 1万円前後の低価格品向け。
  • 蒸れやすいので非推奨。

番手とは繊維の細さを表しています。

繊維が細くなればなるほど、軽く、肌あたりがよく、通気性が高まるため、より高品質だとされています。

s_YarnCount
細番手ほど高品質とされる

ポリエステル生地(通気度0.5cc前後)

ポリエステル生地の通気性は低いです。

というのも、羽毛布団の生地には中から羽毛が吹き出さないように織り目を潰す加工(ダウンプルーフ加工)がされるのですが、ポリエステルは繊維が滑りやすいためこの加工が強めにかけられ通気性が低くなるからです。

そのため、繊維自体に吸水性がないことも相まって、非常に蒸れやすい寝心地になります。

素材 イメージ 柔らかさ 滑らかさ 吸湿性 放湿性 耐久性 洗濯性





綿
(コットン)
cotton1

(リネン)
linen1



(シルク)
silk1
羊毛
(ウール)
wool1




レーヨン layon1

ポリ
エステル
polyester1 -

綿100%の布団カバーを掛ければある程度蒸れ感を抑えられます。

が、やはり、限界があるため、あまりおすすめできません。

綿100% 40番手(通気度1.5cc前後)

そこそこの通気性です。

最低限おすすめできるのが綿100%40番手の生地のものです。

とはいえ、生地が重たいことから羽毛布団の機能性を本格的に発揮できるほどではありません。「羽毛布団が欲しいけれども予算の関係から必要最低限で押さえたい」とお考えの方におすすめです。

綿100% 60番手(通気度2.0cc前後)

文句のないレベルの通気性です。

羽毛布団の良さをしっかりと味わっていただけるレベルです。あたたまるのが早いですし、蒸れにくい快適な寝心地を感じていただけます。

分類 繊維長(mm) 代表的品種
短繊維綿 20.6未満 デシ綿
中繊維綿 20.6~25.4 パキスタン綿
中長繊維綿 26.2~27.8 アップランド綿
長繊維綿 28.6~33.3 スーダン綿
超長繊維綿 34.9以上 海島綿、スーピマ綿など

繊維が超長綿のような高品質素材だと特に明白です。

本格的に羽毛布団を楽しみたい方におすすめです。

綿100% 80番手以上(通気度3.0cc前後からそれ以上)

最高レベルの通気性です。

あたたまりの早さ、蒸れにくさ、肌あたり、どれをとっても感動レベルです。もちろん、通気度が高い分、充填される羽毛が大きいもの(400dp以上)でないと吹き出しが発生します。

生地だけでなく羽毛の品質も同時にチェックしましょう。

また、100番手を超えるものになると、生地の織り方もサテンではなく通気度の高い平織のものになったり、あえてダウンプルーフ加工をしないものも出てきます。

平織 綾織(ツイル) 繻子織(サテン)
イメージ percale-fabric twil-fabric sateen-fabric
肌あたり しっかり 中間 なめらか
重量 軽め 中間 重め
通気度 高め 中間 低め
強度 高め 中間 低め
光沢感 低め 中間 高め

そういった生地だと通気度はゆうに5.0ccを超えることになりますが、それこそ羽毛が440dpでなおかつチェーンダウンやスティッキーダウンと呼ばれる吹き出しにくい超高品質なものでないといけないため、商品価格は100万円前後と強烈な水準になります。

最後に

冒頭で伝えた「羽毛布団の通気性は保温性にもかかわる大事な要素」ということをご理解いただけていれば幸いです。

なお、羽毛布団選びは通気性だけでなく、適度な保温性のための羽毛の品質や、ニオイが気にならないことなども押さえなければいけません。下記のページで網羅的に解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

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