シーツ素材の種類や選び方を徹底解説|季節別・体質別のおすすめも紹介
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ベッドシーツを新しく購入するとき
「そもそもベッドシーツってどれくらい種類があるんだろう?」
とベッドシーツの全体像を把握してから選ぼうと考えることはないでしょうか?
木を見て森を見ずとはよく言ったもので、全体を知ってから詳細を選ぶことで、より自分に合ったものが選べるようになります。
そこで本日は「ベッドシーツの形状、素材、生地の種類」を包括的に分かりやすくご紹介します。
1. ベッドシーツ5つの形状
まず最初に、ベッドシーツの形状(カタチ)によくある5つのパターンを知りましょう。
シーツの形状による寝心地への影響はあまりありませんが、シーツの付け外しのしやすさや、洗濯・乾燥のしやすさが変わってきます。
- ボックスシーツ
- フラットシーツ
- フィットシーツ
- ポケットシーツ
- ファスナーシーツ
①ボックスシーツ | ②フラットシーツ | ③フィットシーツ | ④ポケットシーツ | ⑤ファスナーシーツ | |
形状 | ![]() |
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使用対象 |
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長所 |
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短所 |
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以下に細かな説明を加えていきます。
1-1. ボックスシーツ
ボックスシーツとは、底面にゴムが通っているマットレスに被せて装着するタイプのシーツです。

シーツに付けやすくズレにくいのが、ボックスシーツの最大の利点です。反対に、乾かした後、折り畳みにくいと言われることがありますが、コツを覚えれば簡単にキレイに折り畳むことができます。
こちらのページ『【得ワザ満載】ベッドシーツ・布団カバーの洗濯方法』の最後に、ボックスシーツの折り畳み方をイラスト付きで紹介しているので、購入の際にはご確認ください。
一点注意があるとすれば、お使いのベッドがマットレスを埋め込むように設置するタイプの場合、ボックスシーツを被せるのに若干苦労するかもしれません。
埋込式ベッド | 非埋込式ベッド | |
イメージ | ![]() |
![]() |
特徴 | マットレスをベッドフレームの中へ 埋め込むようにして設置する構造。 |
マットレスをベッドフレームの上へ 置くようにして設定する構造。 |
1-2. フラットシーツ
フラットシーツとは、一枚の布状のシーツです。

とてもシンプルな構造体ということもあり、洗濯洗い、折り畳みが簡単にできるのがフラットシーツの最大のメリットです。
反対に、しっかりと固定してないと寝ている時にズレやすいことがあります。そして、しっかりと固定させるためにシーツを装着する作業が若干面倒です。
1-3. フィットシーツ
フィットシーツとは、ボックスシーツの敷布団版と捉えると簡単に理解できます。そのため、特徴もボックスシーツと同様です。

マチ部のない非立体構造のため、厚みのあるマットレスへの使用は不向きです。また、ワンタッチシーツ、ラップシーツという名称のシーツも、フィットシーツと形状が同じことが大半です。(※たまに3つともボックスシーツと同じ形状のことがありますが)
敷布団のためのシーツ選びでしたら、フィットシーツがおすすめです。
1-4. ポケットシーツ
ポケットシーツとは、端っこがポケットのような形状になっており、そこに敷布団を入れ込むようにして装着するタイプのシーツです。

両側共ポケット形状になっていることもあります。
敷布団へは簡単に付け外しできますが、寝ている間に多少ズレることがあります。構造上、マットレスへの使用は不向きです。
「今は敷布団を使っているけど、マットレスに買い換える予定がある」という方には、あまりおすすめできません。
1-5. ファスナーシーツ
ポケットシーツと同じく、近年、数を減らしている形状のシーツですが念のために。

ファスナーシーツは、枕カバーのようにファスナーで口を開けて敷布団を入れる形状のシーツです。
使用中にズレてくることはほとんどありませんが、シーツの付け外しがやや面倒なのであまりおすすめできません。こちらも構造上、マットレスへは不向きです。
2. ベッドシーツ6つの素材
素材もじっくりと考えて選びたいポイントだと思います。シーツに利用される素材は以下の6つが代表的です。
素材 | イメージ | 柔らかさ | 滑らかさ | 吸湿性 | 放湿性 | 耐久性 | 洗濯性 | ||
天 然 繊 維 |
植 物 性 |
綿 (コットン) |
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◯ | ◯ | ◎ | △ | ◯ | ◯ |
麻 (リネン) |
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△ | △ | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ | ||
動 物 性 |
絹 (シルク) |
![]() |
◎ | ◎ | ◎ | ◯ | △ | △ | |
羊毛 (ウール) |
![]() |
◯ | ◯ | ◎ | ◎ | △ | △ | ||
化 学 繊 維 |
再 生 |
レーヨン | ![]() |
◎ | ◯ | ◎ | ◎ | △ | △ |
合 成 |
ポリエステル | ![]() |
△ | ◯ | △ | - | ◯ | ◎ |
それでは以下に、細かな説明を加えていきます。
2-1. 綿(コットン)
最も代表的な素材がコットンです。
肌当たりがよく、汗の吸収にも優れていて、洗濯洗いも可能でオールマイティーな存在です。
しかし、綿100%と言っても品質差がとても大きく選びにくいのが難点です。あまりにも低価格なものはバサバサしており、糸ぼこりが出やすいため、寝心地が決して良いとはいえません。その一方、高品質なものはまるでカシミヤのような柔らかな肌当たりで、糸ぼこりが少なく耐久性も高いので、とても快適に長くお使いいただけます。
選び方の細かなポイントはこちら『要注意?!布団カバー・シーツは綿100%といえど玉石混淆』をご参照ください。
2-2. 麻(リネン、ラミー、ヘンプなど)
「麻ってガサガサしてるからシーツに向かないのでは?」とお考えではないでしょうか?
実のところ、麻と一口に言っても、リネン、ラミー、ヘンプなど麻には多くの種類があるのです。
その中でもリネンは比較的柔らかな肌当たりで、汗の吸い取りにも優れています。その上、天然のひんやり感を持っているため、暑がりの方にはとてもおすすめな素材なのです。
選び方の細かなポイントはこちら『【チクチク回避】麻(リネン)シーツの上手な選び方』をご参考にしてください。
2-3. 絹(シルク)
シルクは繊維の中でも最もツルッとなめらかで美しい光沢を持っています。
しかし、汗ばむと肌へ吸い付くようなペト付き感があるため、シーツの素材にはあまりおすすめできません。また、家庭用の洗濯洗いも不可能なことが大半です。そのため、どちらかと言うと布団カバーへの使用に向いていると考えています。
そのようなデメリットを承知の上で、「なめらかなシルクのシーツが良い!」ということであれば、より詳細をご説明しているこちらのページ『匁と生地にこだわる!シルクのシーツ・カバーの選び方』をご参考にお選びください。
2-4. レーヨン
木材パルプを原料とする再生繊維です。
シルクを人の手で製造することを目指して作られた繊維です。
肌触りがよく、吸水性・吸湿性もいいので寝具だけでなく、衣類にもよく使われていますね。熱伝導率が高いのでベッドシーツでは夏物の接触冷感生地に使われることが多いです。接触冷感についてはこちらのページ『接触冷感の原理とは?素材別の冷たさの目安と注意点』をご参照ください。
2-5. テンセル®(リヨセル)
テンセル®︎(リヨセル)もレーヨンと同じく、木材由来の再生繊維です。
しかし、レーヨンと異なり、植林されたユーカリの木のみを原料としている上、製造工程での環境配慮もかなり厳しく管理されているので、とてもエコロジーです。
また、人工素材のため品質が一定で、価格はやや高めですが品質の割にはリーズナブルなのでおすすめです。
唯一の欠点は毛羽立ちやすいことですが、ネットに入れて優しく洗濯すれば、気になる程ではなくなります。テンセル®素材のさらなる詳細についてはこちら『熟睡を後押し!テンセル™シーツ・カバーの優れた特徴』をご参考にしてください。
2-6. ポリエステル
もしあなたが比較検討しているシーツの素材がポリエステルの場合、汗の吸収がイマイチなため寝汗のベタベタ感で不快に感じられる可能性があることを念頭に置いて検討しましょう。
とはいえ、ポリエステルは絶対的に悪いものという訳ではなく、洗濯後の乾きが早かったり、シワがつきにくかったりなどの素材としての特徴があります。また、生地の加工方法にもよりますが、ひんやり感を持たせたり、毛羽立たせて暖かい加工に使用していることもあります。
そのため、一概にポリエステルはダメとは言えず、どのような理由でポリエステルが使われているのか知ることが大事です。
3. ベッドシーツの様々な生地
上記で紹介した繊維を織ったり、編んだりすることで生地が仕上がりますが、織り方・編み方によって生地の質感は大きく変わります。
以下、代表的な生地をご紹介します。
3-1. 平織、綾織、サテン織り
代表的な生地の織られ方に以下の3つのものがあります。
平織 | 綾織(ツイル) | 繻子織(サテン) | |
イメージ | ![]() |
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肌当たり | しっかり | 中間 | なめらか |
重量 | 軽め | 中間 | 重め |
通気度 | 高め | 中間 | 低め |
強度 | 高め | 中間 | 低め |
光沢感 | 低め | 中間 | 高め |
丈夫でしっかりとした生地が好みで、「出来るだけ長くシーツを使いたい」とお考えの方は平織り生地のシーツが向いています。
反対に、「多少耐久性が落ちても良いからツルッとなめらかで光沢のある美しいシーツが良い」ということであれば、サテン織りのシーツを選ぶことをおすすめします。
「糸の織り方だけでそんなに質感が変わるの?」と思われるかもしれませんが、とても大きく影響されます。是非、寝具店などで触り比べてみてください。
3-2. しじら織り(サッカー生地)
しじら織りとは、生地があえてデコボコになるように仕上げる織り方です。
表面がデコボコになることで、生地の肌離れが良くなります。そのため、汗ばむ熱帯夜でもさらっと快適な肌感でお休みいただけます。
しかし、デコボコとした風合いのためザラザラ感があるため、なめらかでスムースな肌感が好みの方にはあまりおすすめできません。
3-3. パイル生地
パイル生地とは、タオルのようにループ状の糸が立っている生地です。タオルのように柔らかな肌当たりと汗の吸い取りに優れているため人気のシーツ生地です。
パイルの毛足の長さが長いものと短いもので若干使用感が異なります。毛足が長いと熱が溜まりやすく暑く感じられたり、爪が引っかかったりするので、毛足の短いショートパイルをおすすめします。
ニット生地 | パイル生地 | 起毛生地 | 3Dメッシュ生地 | |
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特徴 |
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3-4. ガーゼ生地
マスクのように目付けの粗い生地を2枚、3枚と重ねて、2重ガーゼ、3重ガーゼとしてシーツの生地として利用されています。ふわっと柔らかな肌感と、寝汗の吸収に優れているのが特徴です。
パイル生地と同様、寝汗の多い方におすすめです。目が粗いため軽く通気性も良いので、タオルケットの生地に最も向いていると個人的に考えています。
3-5. マイヤー起毛
ポリエステル繊維やアクリル繊維を毛羽立たせた加工です。冬用の暖かいシーツ(パッド)として利用されます。
ふわふわと暖かいのが最大の特徴ですが、化学繊維のため吸水性がなく寝汗が蒸れてしまうこともあります。冷えに敏感な方以外にはあまりおすすめできません。また、静電気が起こりやすく、布団周りが埃っぽくなりやすいので、ハウスダウトアレルギーをお持ちの方にもあまりおすすめできません。
4. 化学繊維と天然素材の違いも知っておこう
化学繊維はポリエステルやナイロンなどの合成繊維、レーヨンやテンセルなどの再生繊維に分かれます。冷感・速乾など機能性が豊富で価格も手頃、耐久性や洗濯性に優れている一方、吸湿性や放湿性が低く蒸れやすく、敏感肌には刺激になることもあります。
天然素材はコットンやリネンなどの植物繊維、シルクやウールなどの動物繊維が代表的です。吸湿性・放湿性や通気性に優れ、肌触りがやさしく敏感肌や赤ちゃんにも安心です。ただし縮みやすく、化学繊維に比べて耐久性はやや劣る傾向があります。
つまり、化学繊維は機能性と扱いやすさ、天然素材は肌触りと快適性に強みがあるため、季節や体質に合わせて選ぶとよいでしょう。
5. 季節別おすすめのシーツ素材
季節によって快適に感じるシーツ素材は大きく変わります。吸湿性や放湿性、保温性、通気性を考慮しながら、体質や気候に合った素材を選ぶと、寝汗や乾燥による不快感を抑えられるでしょう。
5-1. 夏におすすめの素材
夏は寝汗や蒸れが大きな悩みになる季節です。リネンは吸湿性と放湿性に優れ、天然のひんやり感があるため汗かきの人に最適です。
ガーゼはふんわり軽い肌触りで、寝汗をしっかり吸収しながら通気性も確保できるので、暑い夜でも快適に過ごせます。また、3Dメッシュは生地に立体的な空間があるため風通しが良く、熱や湿気を効率的に逃がしてくれるでしょう。
5-2. 冬におすすめの素材
寒い季節には保温性を重視した素材が向いています。マイヤー起毛はポリエステルなどを毛羽立たせた加工で、ふんわりと暖かく冬用シーツに人気です。
ウール混素材は吸湿性と保温性を兼ね備え、蒸れを防ぎながら暖かさをキープできます。さらに、タオルのようなパイル生地は吸水性が高いだけでなく、毛足の長さを調整することで冬の暖かさを感じやすくなります。
5-3. オールシーズンにおすすめの素材
季節を問わず快適に使えるのがコットンとテンセル®です。コットンは吸湿性に優れ、肌当たりも良いため一年を通してバランス良く使えます。ただし、品質差が大きいため高品質なものを選ぶことが大切でしょう。
テンセル®は木材由来の再生繊維で、吸湿性・放湿性に優れながらシルクのようななめらかさを持つ素材です。扱いやすく環境にも配慮されており、オールシーズンに活躍します。
6. 体質別のおすすめの素材
シーツ選びは体質によっても快適さが変わります。ここでは「汗かきの人」「乾燥肌の人」「敏感肌の人」に分けて、それぞれにおすすめの素材を紹介します。
6-1. 汗かきの人にはリネン・ガーゼ
汗を多くかく方には、リネンやガーゼが最適です。リネンは吸湿性・放湿性に優れ、天然のひんやり感があるため、暑がりの方や夏場にとても快適でしょう。
使い込むほどに柔らかさが増す点も魅力です。ガーゼはふんわり軽い肌触りで、寝汗をしっかり吸い取りながら通気性も良く、蒸れを抑えて快適な眠りにつなげてくれます。
6-2. 乾燥肌の人にはシルク・テンセル®
肌の乾燥が気になる方には、シルクやテンセル®が向いています。シルクはなめらかで光沢のある肌触りが特徴で、保湿性にも優れています。ただし洗濯に手間がかかる点は理解しておく必要があるでしょう。
テンセル®は木材由来の再生繊維で、吸湿性・放湿性に優れつつ、シルクのようになめらかな感触を楽しめます。環境にも配慮された素材で、比較的扱いやすく乾燥肌の人におすすめです。
6-3. 敏感肌の人には高品質コットン
敏感肌の方には、高品質なコットンがおすすめです。コットンは汗の吸収力が高く、洗濯性にも優れているため日常的に使いやすい素材です。ただし品質差が大きく、安価なものはゴワつきや糸ぼこりが出やすく快適とは言えません。
長繊維を使った高品質なコットンなら、まるでカシミヤのように柔らかく、肌にやさしい使い心地を実感できるでしょう。
最後に
ベッドシーツの形状、素材、生地の全体像が見えましたか?
あなたがベッドシーツを選ぶ知識としてお役立ていただければ幸いです。
また、こちらのページ『布団カバー・ベッドシーツを上手に選ぶ/扱うための体系的知識』で繊維の特徴やシーツのサイズ感、敷く順番、洗濯方法、お手入れのコツなどを総括しているので併せてご参考にしてください。
著者紹介

著者情報
加賀 照虎(上級睡眠健康指導士)
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
各種SNSで情報発信中。
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
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