ポリエステルシーツの特徴と選び方|快適に使うコツとお手入れ方法

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ポリエステルシーツの特徴と選び方|快適に使うコツとお手入れ方法

布団カバー・ベッドシーツを選ぶ際、品質表示ラベルにポリエステルと記載されているだけで「低品質なもの」と決めつけてはいないでしょうか。

確かにそのような場合もありますが、全てではありません。

そこで本日は「快眠に役立つポリエステル素材の布団カバーとベッドシーツの3つのタイプの加工法」ご紹介します。

1. まずは繊維素材の特徴を知っておこう

表生地に使用される素材は主に次の9つになります。知識として覚えておくと、シーツ選びのときにも役立てられます。

素材 イメージ 柔らかさ 滑らかさ 吸湿性 放湿性 耐久性 洗濯性





綿
(コットン)
cotton1

(リネン)
linen1



(シルク)
silk1
羊毛
(ウール)
wool1




レーヨン layon1

ポリ
エステル
polyester1 -
standard-moisture-regain-of-fiber-materials2
繊維ごとの公定水分率

1-1. 綿(コットン)の特徴

綿はまさにオールマイティな素材。肌ざわりがよく汗をしっかり吸収してくれます。ただし、速乾性はなく乾くまでに時間がかかるため、熱帯夜には寝具が肌にベタつきやすく、生乾きのニオイがしやすかったり、冬場で1日で乾ききらないこともあります。あまりに安価なものは繊維が粗くザラつきを感じる場合があるので、品質の見極めが大切です。

1-2. 麻(リネン)の特徴

麻は吸湿性・放湿性に優れ、天然の接触冷感効果でひんやり感を得られるため、特に夏場にぴったり。ただ、繊維にハリがあるぶん肌あたりはやや硬めです。2万円前後の高品質な敷きパッドなら洗濯後も柔らかさをキープできますが、安価なものでは洗うたびにバサバサ感が増すことも。

1-3. カポックの特徴

カポックは木の実から採れる中空繊維で、とても軽いのが特徴。同じ厚みでも重さは綿の約8分の1。夏はサラッとした肌心地で気持ちいい上に、空気をたくさん抱え込むため冬には暖かく快適です。植物性で抗菌・防虫成分も含み環境にもやさしい素材として注目されています。ただし繊維が短く絡みにくいため、単体より他素材とブレンドして使われることが大半です。

1-4. 絹(シルク)の特徴

絹は滑らかな肌ざわりがダントツで、鮮やかな発色と上品な光沢が魅力です。その極上の肌触りはは唯一無二ですが、洗濯機が使えず手洗いが必要なうえ、高価なのがネック。コストとお手入れの手間を許容できるかどうかが選択のポイントです。敷きパッドよりはシーツのほうがおすすめです。

1-5. レーヨン(バンブー、リヨセルなど)の特徴

レーヨンは非常に柔らかく、吸湿性と放湿性に優れているため肌あたりが心地よいのが特徴です。一方で耐久性は綿よりやや劣り、毛羽立ちやすいので優しく洗うことを心がけましょう。価格は中品質の綿と同程度。ほかの繊維とブレンドすることで、耐久性を補いながらレーヨンならではの風合いを取り入れた敷きパッドが多いです。

1-6. ポリエステルの特徴

ポリエステルはコシが強く丈夫な繊維で、吸水性がほぼないため蒸れやすい反面、乾きがとても速く、洗濯による傷みも少ないのがメリット。例えば、綿50%・ポリエステル50%のようなブレンド生地なら、吸水性や肌触りのデメリットを抑えつつ耐久性を高め、価格もリーズナブルに抑えられます。コスパ重視の方に向いています。

1-7. ナイロンの特徴

ナイロンは強度と弾力に優れた合成繊維です。摩擦や引っ張りに強く、耐久性が高いのが特長。敷きパッドでは接触冷感性を持たせるために使用されるケースが多いです。ポリエステル同様、吸水性が低いのでムレて寝苦しくならないようレーヨンとブレンドするなどの工夫が必要と私は考えています。

1-8. アクリルの特徴

アクリルは柔らかくて保温性に長けた合成繊維です。毛羽立ちやすい特徴があるため、ふわふわ起毛加工の敷きパッドの生地に広く採用されています。吸湿性は低いので寝汗でベタっとなりやすいのが欠点。暖かさ重視で寒がりの方向けです。

1-9. ポリエチレンの特徴

ポリエチレンはプラスチック系の合成繊維で、水や汚れに強いのが特長です。敷きパッドとしては接触冷感生地に使用されるケースがほぼ大半で、トップクラスの冷感性を持っています。ただ、ポリエチレンも吸水性がほぼありませんので、ムレることを考えると、レーヨンなどブレンドされた生地を選ばれることをおすすめします。

素材 q-max値 吸水性 放湿性 柔らかさ 滑らかさ



植物
加工綿
(コットン)
0.3

(リネン)
0.35~0.4
動物

(シルク)
0.3



再生 レーヨン 0.3~0.35
合成 ジェル 0.35~0.4 × - - -
ポリエステル 0.3~0.35 × -
ナイロン 0.4 × -
ポリエチレン 0.45~ × -

2. 快眠に役立つポリエステル布団カバーとベッドシーツ3タイプ

確かに、単純にポリエステル繊維が織られただけの布団カバーやシーツは、以下のような特徴からあまり寝具に相応しいとは言えません。

  • 肌当たりが若干硬い
  • 吸水性が悪くべとつく
  • 吸湿性が悪く蒸れる
  • 静電気によってホコリを寄せ付けやすい
  • 毛玉が発生しやすい

しかし、高い強度と形状安定性、低コストという優れた特徴から工夫・加工次第で、生活に役立つ布団カバー・シーツとなります。その例を次にご紹介します。

2-1. 高密度ポリエステルカバー

ポリエステルの強靭な強度を活かした製品が高密度カバーです。

織られる生地の密度が一般的な場合、以下のイラストのように小さな隙間が出来るため、ダニが出入りすることができます。

通常の生地にある小さな隙間
通常の生地にある小さな隙間

しかし、高密度生地の場合、繊維を一本一本ぎっちりと強く織り込んでいくため、ダニが通ることすらできなくなります。また、ポリエステル繊維は強靭でちぎれにくいため、糸ぼこりも出にくくアレルギー体質の方、喘息を患っている方にとてもお役立ていただけるシーツです。

2-2. ポリエステル×綿の混紡生地

ポリエステル100%の布地のシーツはあまりおすすめできませんが、綿80%ポリエステル20%という風に混紡している生地は捉え方によってはおすすめできます。

綿にポリエステルの良い特徴を持たせることができるため、通常の綿生地よりも、

  • 強度が高い
  • シワがつきにくい
  • 乾きやすい
  • 低コスト

になります。とはいえ、毛玉ができやすくなったり、ベトつき感が増すことにもなるので、どちらをとるか天秤にかける必要があります。

他にも例えば、ポリエステル70%、レーヨン30%を綾織(ツイル)で仕上げることで、

  • ツルッとした肌触り
  • シワがつきにくい
  • 乾きやすい
  • 鮮やかな色合

などの風合いを出すことができます。汗の吸い取りはあまり良くないですが、このような風合いは他の繊維ではなかなか出すことができません。

平織 綾織(ツイル) 繻子織(サテン)
織り方の
イメージ
percale-fabric twil-fabric sateen-fabric
肌当たり しっかり 中間 なめらか
重量 軽め 中間 重め
通気度 高め 中間 低め
強度 高め 中間 低め
光沢感 低め 中間 高め

また他にも、ダブルフェイス生地(表生地と裏生地を縫い合わせている生地)の場合、表生地は綿などの肌触りの良い素材を使い、裏生地にポリエステルを使い耐久性を高めるといった加工がされることもあります。

2-3. ふわふわもこもこ起毛加工のシーツ

マイクロファイバー、フリース、ボア加工などありますが、このようなシーツは寒い時期に大活躍します。ベッドの中が温まりにくく寒くて震える、なんてことはなくなります。

  • 寝汗をかくと蒸れやすい
  • 静電気がたちやすい
  • 優しく洗わないと生地が痛みやすい

などの欠点こそありますが、高価な獣毛シーツ・パッドと比べてとても安価で手に入れられるので、数年の耐久性だとしても価値を感じていただけると思います。

3. ポリエステルシーツのメリット・デメリット比較

ポリエステルシーツは、軽くて扱いやすいだけでなく、近年では吸水速乾性や抗菌防臭加工を備えた高機能タイプも増えています。ここでは、主なメリットとデメリットを比較して、購入前に知っておきたいポイントを整理しましょう。

項目 メリット デメリット
通気性・速乾性 吸水速乾性が高く、洗濯後すぐに乾く。部屋干しでもOK。 吸湿性が低いため、汗をかくとムレを感じることがある。
耐久性 シワになりにくく、色あせ・型崩れしにくい。 高温乾燥や摩擦で毛玉ができやすい。
肌触り サテン織やマイクロファイバーなら滑らかで心地よい。 安価な織り方ではやや硬く感じる場合も。
価格 綿や麻よりも安価で手に入れやすい。 通気性・高級感では天然素材に劣る。
お手入れ 洗濯機で簡単に洗え、シワもつきにくい。 静電気が発生しやすく、ほこりが付きやすい。

ポイントとしては、冬場の「静電気対策」には柔軟剤や静電気防止スプレーの使用が有効です。夏場は「吸湿加工タイプや綿混素材(ポリエステル×コットン)」を選ぶと、蒸れにくく快適に使えます。ペットやお子さまがいる家庭でも、洗濯が簡単で乾きが早い点は大きなメリットです。

4. 季節別|ポリエステルシーツのおすすめ使用シーン

ポリエステルシーツは、織り方や加工方法の違いによって、オールシーズン活用できる万能素材です。季節ごとにおすすめのタイプを選ぶことで、1年を通して快適な寝心地を保てます。

季節 おすすめタイプ 理由・特徴
春・秋 高密度織り/綿混タイプ 保温性と通気性のバランスが良く、季節の変わり目でも快適。
吸水速乾タイプ/クール加工タイプ 汗をかいてもベタつかず、通気性が高くサラッとした肌触り。
起毛加工/マイクロファイバータイプ 保温性に優れ、ふんわりとした暖かさが持続。静電気防止加工のあるものが◎。

ポリエステルは、繊維の密度や表面加工を変えることで、通気性や保温性を自在に調整できる素材です。そのため、同じポリエステルでも、季節ごとに最適な質感や快適性を選ぶことができます。

また、抗菌防臭加工が施されたタイプは、汗や皮脂による臭いを抑え、衛生的に使える点でもおすすめです。

5. ポリエステルシーツを長持ちさせるお手入れ方法

ポリエステルは丈夫でシワになりにくい素材ですが、正しいケアを行うことでさらに長く清潔に使用できます。以下のポイントを意識することで、毛玉や静電気の発生を防ぎながら快適さを保てます。

洗濯のコツ

  • 洗濯機を使用する際は、ネットに入れて弱水流モード(手洗いコース)で洗う。
  • 中性洗剤または柔軟剤入り洗剤を使用し、漂白剤や蛍光剤は避ける。
  • 洗濯後はすぐに取り出してシワを伸ばし、風通しの良い日陰で干す。
  • 乾燥機を使用する場合は、低温モードで短時間乾燥が理想。

静電気・毛玉対策

  • 柔軟剤を適量使うと、繊維の摩擦を減らし、静電気と毛玉の発生を軽減。
  • 冬場は静電気防止スプレーや加湿器の併用で乾燥対策を。
  • 表面が摩擦しやすいベッドフレームやパジャマとの組み合わせも見直すと◎。

保管のポイント

  • 完全に乾かしてから畳み、通気性のある収納袋や防湿剤入りケースで保管。
  • 長期間使わない場合は、湿気の少ない場所に保管し、月1回ほど陰干しすることで劣化を防げます。

「ポリエステル×コットンの混紡シーツ」を選ぶと、通気性・静電気防止・耐久性のバランスが良く、 四季を通して快適に使えるため、家庭用・ホテル用どちらにも人気です。

6. ポリエステル素材の布団カバー・シーツによくある疑問

よく挙げられる質問に関してお答えします。

6-1. シワにならない洗濯方法

綿に比べてしわになりにくいですが、それでもやはり洗濯によりしわは付きます。しわのつきにくい洗濯方法として、

まずはネットに入れること。そして、洗濯機内でしわがつかないように脱水時間を短めにすること。さらに、洗濯後の湿った状態で伸ばしてから干すこと。湿っていると自重でも引っ張られてさらに伸びます。

ここまでやっていただければ、しわが気になることはほとんど無くなると思います。

6-2. 毛玉がつきやすい

繊維の性質上、毛玉はつきやすいです。繊維が長いため糸切れした繊維がその場に残り続け、周囲の糸切れした繊維と絡まり毛玉になるためです。

ポリエステル繊維が混紡されると、どうしても毛玉問題はつきまといます。毛玉が気になるのであれば、綿素材、麻素材のカバー・シーツを使用することをおすすめします。

6-3. 乾燥器を使用してもよいか

ポリエステル繊維は基本的には乾燥器の使用は問題ありません。

しかし、急いでいる状態でなければ、繊維自体の乾燥が早いため(また、しわを付きにくくするためにも)湿った状態で伸ばして乾かすことをおすすめします。

6-4. ポリエステルシーツの寿命はどのくらい?

一般的にポリエステルシーツの寿命は3〜5年程度が目安です。ポリエステル繊維は耐久性に優れていますが、摩擦や静電気による毛玉、繊維のつぶれが発生しやすく、使用頻度や洗濯回数によっては寿命が短くなることもあります。

毎日使用する場合:3年程度で交換目安
週末使用や来客用:5年ほど使用可能

長持ちさせたい場合は、洗濯ネット使用・柔軟剤で静電気防止・低温乾燥を意識すると、繊維のヘタリを防いで風合いを長く保てます。

6-5. ポリエステルシーツは敏感肌でも使えますか?

はい、肌触りの良いタイプを選べば敏感肌の方でも安心して使えます。特におすすめなのは、以下のようなタイプです。

  • マイクロファイバー素材:非常に細い繊維で織られており、摩擦が少なくなめらかな肌触り。
  • ポリエステル×コットン混紡生地:吸湿性・通気性のバランスが良く、刺激が少ない。
  • 静電気防止加工付きタイプ:乾燥肌やアレルギー体質の方におすすめ。

一方、織りが粗い安価なタイプは、肌との摩擦が大きくチクチク感を感じる場合があります。購入時は「高密度織り/柔らか仕上げ/静電気防止加工」などの表示をチェックしましょう。

6-6. ポリエステルシーツは洗濯機で洗えますか?

はい、ほとんどのポリエステルシーツは家庭用洗濯機で洗濯可能です。ただし、繊維の特性上、摩擦や熱に弱いため、以下の点に注意しましょう。正しい洗い方のポイントは、以下になります。

  • 洗濯ネットに入れて弱水流モードで洗う
  • 洗剤は中性洗剤または柔軟剤入り洗剤を使用
  • 乾燥機は低温設定(60℃以下)で短時間使用
  • 洗濯後はすぐに取り出して日陰で吊り干し

静電気や毛玉防止のため、柔軟剤を少量使用すると効果的です。また、「吸水速乾タイプ」や「抗菌防臭加工」のシーツは、繊維が傷みにくく長持ちします。

6-7. ポリエステルシーツは蒸れやすいですか?

通常のポリエステルシーツは吸湿性が低いため、汗を多くかくと蒸れを感じやすい傾向があります。しかし、最近では以下のような改良タイプが登場しています。

  • 吸水速乾加工タイプ:汗を素早く吸収して外へ逃がすため、サラッとした寝心地。
  • メッシュ織り・通気性高密度タイプ:繊維の隙間を調整して風通しを確保。
  • 綿混素材(ポリエステル×コットン):吸湿性を補いながら速乾性をキープ。

特に夏場は「クール加工付きポリエステルシーツ」がおすすめで、熱がこもりにくく快眠をサポートします。選び方次第で、蒸れにくく通気性の良いシーツ環境を実現できます。

最後に

「ポリエステル素材は決して悪いものではなく、快眠に役立てるものもある」ということをご理解いただけていると幸いです。

もしあなたが「他の素材についても詳しく知りたい」とお考えであれば、こちらのページ『布団カバー・ベッドシーツを上手に選ぶ/扱うための体系的知識』で繊維の特徴、選ぶ際の注意点、お手入れのコツをお伝えしているので併せてご参考にしてください。

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