通気性の良い枕のおすすめ素材|蒸れを防ぐ選び方と改善法
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通気性の高い枕の素材にはいくつか種類があります。
そして、それぞれ形状や硬さなどが異なります。
そのため、どれが自分に合うものなのか選ぶのに苦労されるかと思います。
いくら通気性が良くても高さなどが合わなかったら残念ですよね。
ということで本日は、
- 素材ごとの枕の通気性の比較
- 通気性に加えて着目すべき側生地
- 枕の通気性はなぜ大事なのか
についてご紹介していきます。
1. 通気性の悪い枕を使うとどうなる?
通気性の悪い枕を使っていると、まず感じやすいのが寝汗や蒸れによる不快感です。吸湿性や放湿性が低いため頭部に熱や湿気がこもりやすく、夜中に目が覚めたり寝付きが悪くなったりして、睡眠の質が低下してしまいます。
さらに高さ調整がしにくく、頭や首が沈み込みやすい素材では寝姿勢が崩れ、首や肩に負担がかかり血行不良や肩こりにつながります。
この状態が続くと、自律神経が乱れて眠りが浅くなり、疲れが取れにくい悪循環に陥ることもあります。特にウレタン素材の枕は頭にフィットする反面、空気の通り道が少なく蒸れやすいため注意が必要です。
2. 通気性と衛生面の関係
枕の通気性は、寝汗や湿気をどれだけ効率よく逃がせるかに直結します。通気性が悪いと蒸れがこもり、雑菌やダニの繁殖、さらにはカビの発生リスクが高まります。結果的に不衛生な状態になり、肌荒れやアレルギーの原因になることもあります。
一方、3Dメッシュやリネンなど通気性と吸湿性に優れた素材を使えば、陰干しや定期的な洗濯で清潔さを長く保てます。
つまり、通気性の良い枕を選ぶことは、快適な寝心地だけでなく衛生管理や長期的な健康維持にもつながるのです。
3. 通気性を重視する人におすすめの枕の選び方
枕の素材別に通気性の評価をしつつ、その他の特徴についても解説していきます。
どれがあなたに合うか総合的に考える参考にしてください。
3-1. とにかく通気性の高い素材
まず通気性がもっとも良い素材が、下記の3つになります。
- 高反発ファイバー
- ポリエチレンパイプ
- TPE(熱可塑性エラストマー)
空気が突き抜けるほどの通気性です。
さらに、どちらの素材とも丸洗いすることができます。
とにかく通気性重視で枕を選ぶならこれらの2つが候補に上がるかと思いますが、それぞれ知っておくべき特徴があるのでそれぞれ解説していきます。
3-1-1. 高反発ファイバー枕
高反発ファイバー枕はフィット性があまり良くありません。
というのも、素材自体がやや硬めで、さらにその上、素材の形状が決まっているノンモルダブルタイプだからです。
モルダブル | ノンモルダブル | |
イメージ | ![]() |
![]() |
フィット性 | ◎ | ◯ |
高さ調整 | ◎ | △ |
耐久性 | ◯ | ◎ |
そのため、首から後頭部にかけてのフィット性が低いです。
慣れている人でないと首を痛める可能性があります。

3-1-2. ポリエチレンパイプ枕
対して、ポリエチレンパイプ枕はモルダブルとノンモルダブル、どちらもあります。
ノンモルダブルのものは枕が筒型構造になっています。
そのため、頭にフィットさせやすいです。
3-1-3. TPE(熱可塑性エラストマー)まくら
近年人気になりつつある素材です。
通気性が非常に高い上に柔軟性にすぐれます。
そのため、ノンモルダブルではあるものの、フィット性が高いです。
硬くないまくらで通気性のいい枕を探しているなら、TPE素材一択です。
3-2. 通気性はそこそこで吸放湿性に優れる素材とは
上記の2つの通気性がダントツとはいえあまり好みでないなら、次点としておすすめできるのが以下の3つの素材の枕になります。
- そば殻
- 小豆
- ウールわた
というのも、これらの素材は通気性はそこそこですが、吸放湿性に優れているからです。つまり、湿度調整に長けているので蒸れにくく爽やかに寝られるのです。
そば殻と小豆はポリエチレンパイプ枕と同じく、硬めの素材感でモルダブルな使い心地です。
一方、ウールわたは柔らかめでモルダブルな使用感ですので、フィット性が高くて柔らかい寝心地が好みであればウールわたが使用された枕が合いやすいです。
3-3. 枕の素材だけでなく側生地の素材にも着目すること
なお、枕選びをするときに素材はしっかり吟味されるものの、側生地(元々付いてるカバー)のチェックが疎かにされることがあります。
実際、頭と直接触れるのは枕の中の素材ではなく側生地です。そのため、側生地の通気性や吸放湿性が悪ければ元も子もありません。例えば、ポリエステル3Dメッシュのような通気性の良い生地であればいいですが、それ以外の生地でポリエステル100%だとするとかなり蒸れやすいと想像できるので避けることをおすすめします。
ニット生地 | パイル生地 | 起毛生地 | 3Dメッシュ生地 | |
イメージ | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
特徴 |
|
|
|
|
素材 | イメージ | 柔らかさ | 滑らかさ | 吸湿性 | 放湿性 | 耐久性 | 洗濯性 | ||
天 然 繊 維 |
植 物 性 |
綿 (コットン) |
![]() |
◯ | ◯ | ◎ | △ | ◯ | ◯ |
麻 (リネン) |
![]() |
△ | △ | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ | ||
動 物 性 |
絹 (シルク) |
![]() |
◎ | ◎ | ◎ | ◯ | △ | △ | |
羊毛 (ウール) |
![]() |
◯ | ◯ | ◎ | ◎ | △ | △ | ||
化 学 繊 維 |
再 生 |
レーヨン | ![]() |
◎ | ◯ | ◎ | ◎ | △ | △ |
合 成 |
ポリエステル | ![]() |
△ | ◯ | △ | - | ◯ | ◎ |
4. 通気性を高めるための工夫
通気性を高めるためには、枕カバーの素材選びが大切です。寝汗や蒸れを軽減し、睡眠の質を守るために、以下のような素材がおすすめです。
- コットン(綿)
- タオル地(パイル素材)
- リネン(麻)
- メッシュ/3Dメッシュ
さらに通気性を保つためには、定期的な洗濯や陰干しも欠かせません。清潔な状態を維持することで、ダニやカビの発生を防ぎ、長く衛生的に使うことができます。
5. 季節別のおすすめの枕の素材
枕カバーの素材は季節によって向き・不向きがあり、選び方次第で寝心地や睡眠の質が大きく変わります。以下の表に、季節ごとにおすすめの素材をまとめました。
季節 | おすすめ素材 | 特徴 |
春・秋 | コットン(綿)、ガーゼ | 吸湿性・通気性がありオールシーズン使いやすい。やわらかい肌ざわりで快適。 |
夏 | リネン(麻)、タオル地(パイル素材)、メッシュ/3Dメッシュ | 放湿性・速乾性に優れ、寝汗や蒸れを防ぐ。涼感があり爽快。 |
冬 | シルク(絹)、ベロア、ポリエステル | 保湿性や保温性が高く、乾燥や冷え対策に最適。上質な肌ざわりや高級感も魅力。 |
春や秋は気候が安定しているため、通気性と吸湿性に優れたコットンやガーゼが快適です。
夏は寝汗や蒸れが気になる季節です。リネンはシャリッとした涼感と放湿性で湿気を逃がし、タオル地は吸水性が高く乾きやすいのが特徴です。風通しの良いメッシュや3Dメッシュも蒸し暑い夜に役立ちます。
冬は乾燥や冷え対策として、保湿性の高いシルクやふんわり暖かなベロアが安心です。扱いやすさを重視するなら、速乾性と耐久性に優れたポリエステルも便利です。
6. 枕の通気性が良いと睡眠時の体温低下に役立つ
ここまで読まれて「そもそもなんで枕の通気性って大事なの?」と思われてはいないでしょうか?
せっかくなので解説いたします。
結論、睡眠を深めるためです。どういうことかと言うと、人は眠るときに汗をかいて体温を下げるのですが、その際に、頭からも蒸気の汗をかいて放熱を行っていて、枕の通気性や吸放湿性の良いとこの体温低下がスムーズに行えるからです。

そのため、寝ているときに枕が汗びっしょりになるほど寝苦しい思いをしている方などは、通気性の良い枕に変えられることで睡眠の質を高めることが期待できます。
最後に
どの枕素材の通気性がいいのか、そしてそれぞれの特徴についてご理解いただけたかと思います。
なお、枕選びは通気性に加えて「高さ」や「硬さ」なども大事なポイントになります。下記のページで詳しく解説しているので是非あわせてご参考にしてください。
関連記事:【熟睡枕おすすめ7選】正しい選び方で相性チェック!よくある質問
Q1. 枕の通気性が悪いとどんなデメリットがありますか?
A. 通気性が悪い枕は寝汗や蒸れがこもりやすく、睡眠の質を下げる原因になります。湿気が抜けにくいことでダニやカビの温床になり、肩こりや血行不良につながることもあります。結果的に快適な寝姿勢を保ちにくくなり、朝の目覚めにも影響します。
Q2. 枕の通気性を高める簡単な方法は?
A. 枕カバーを吸湿性や放湿性の高い素材に変えるだけでも改善できます。また、3Dメッシュ構造のカバーを使う、定期的に陰干しをするなどの工夫も効果的です。高さ調整パッドを外して風通しを良くするのも一つの方法です。
Q3. 季節によって通気性の良い枕は変えるべき?
A. はい。夏は放湿性に優れた高反発ファイバーや3Dメッシュ構造の枕が蒸れを防ぎやすく、冬は吸湿性と保温性のバランスが取れたウールや羽根素材の枕が快適です。季節ごとに枕を変えることで、快適さと睡眠の質を両立できます。
Q4. 通気性の良い枕は衛生面でも有利ですか?
A. 有利です。通気性が高いと湿気がこもりにくいため、ダニやカビの繁殖リスクが抑えられます。さらに陰干しや洗濯の頻度を減らさずに続ければ、常に清潔な状態を保ちやすくなります。結果的に枕の耐久性も向上し、長期的な寝心地改善につながります。
著者紹介

著者情報
加賀 照虎(上級睡眠健康指導士)
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
各種SNSで情報発信中。
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
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