ダニ予防の完全ガイド|対策方法とおすすめグッズ
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ダニに対してアレルギーをお持ちだと、ダニを繁殖させないよう様々な努力をされていることと思います。
ただ、自己流の方法ではどれくらいダニ予防ができているか不安になることはないでしょうか?
特に、布団の中で痒みを感じたり、鼻づまりなどの症状が出ると、寝入りばなをくじかれてイヤですよね。
そこで本日は、寝具製造業者でもある私が、ダニの生体にもとづいた快眠のための「家庭のダニ予防」で費用がかからないものをご紹介します。
0. ダニが発生しやすい環境と繁殖のメカニズム
ダニが繁殖しやすい環境は、温度20〜30℃・湿度60%以上・エサ(人の皮脂・フケ・ホコリ)が多い場所です。特に梅雨から夏にかけては湿度が高く、寝具やカーペットの内部に湿気がこもりやすいため、ダニが爆発的に増えます。
家庭で最も発生しやすい場所は以下の通りです。
- 布団・マットレスなどの寝具類(寝汗・皮脂・角質が多い)
- カーペット・ソファ・ぬいぐるみ(繊維の奥にホコリが溜まりやすい)
- 押入れ・クローゼット(換気が悪く湿気がこもる)
また、掃除不足や換気不足もダニ繁殖の原因です。ダニは1匹あたり約300個の卵を産む繁殖力を持ち、条件がそろえば1ヶ月で数千匹に増えることもあります。
これらのダニや死骸・フンはアレルゲン(ダニアレルゲン)として、アトピー性皮膚炎や鼻炎の原因にもなります。
1. ダニの発生メカニズムから考える予防法
ダニ予防を考える上で、どのような状況下だとダニが繁殖するのかを知っておくと役に立ちます。
そもそもダニ自体は家庭のあちらこちらに少なからず生息している身近な存在なのですが、生息環境が高湿度(60%以上)で暖かい温度(20~30℃以上)になり、かつ、豊富な栄養源が揃う ことで大繁殖してしまい問題となります。
特に敷布団とマットレスは、これら3つの要素を揃えやすいため、最大のダニの繁殖地となってしまうのです。
- 湿度 ← 寝汗による湿り(夏)、部屋の湿気
- 温度 ← 人の体温、気温(夏)
- 栄養 ← 剥がれ落ちた皮膚、皮脂、フケ、アカなどの老廃物
ベッド以外にも、絨毯やカーペット、畳なども3つの要素を揃えやすいので、ダニが発生しやすいポイントになります。
しかし、ダニ発生の3大要素とはいえ、温度に関しては避けられない要素なので(冷房を付けっぱなしにするのは非現実的ですよね)、「湿気を溜めないこと」「ダニに栄養源を与えないこと」 の2つのポイントに焦点を当てて、ダニ予防をすることが大切です。
それでは次に、なるべく手軽で費用がかからずにできるダニ予防法をご紹介していきます。
| ダニが大繁殖してしまう原因と詳細、アレルギーの詳細などはこちらのページ『これで絶滅!ダニの発生原因、症状、駆除、予防の総まとめ』でお伝えしているので併せてご参考にしてください。 |
1-1. マットレスと布団のダニ予防対策
おすすめのお手入れ対策を8つご紹介します。念入りに行っていただければ、ダニが発生する可能性を大幅に下げられます。
1-1-1. 寝室を換気する
寝室の空気が湿って淀んでいるとダニが発生しやすくなります。なので、(雨の日以外は)寝室の窓を開けて換気をしましょう。雨天が続く日は、エアコンの除湿モードで部屋の湿度を下げましょう。
1-1-2. マットレスは床に直敷きはしない
マットレスの床への直敷き使用は非推奨です。もし直敷きするなら出来れば毎日マットレスを壁に立て掛けるようにして、マットレス底面の湿気を発散させましょう。
1-1-3. 布団の敷きっぱなしは厳禁
敷布団は出来る限り毎日押し入れにしまいましょう。床に敷きっぱなしにしていると湿気が溜まりやすくなります。また、週に1度で良いので日陰干しできると理想です。
1-1-4. マットレスの底面へ空気を送る
ベッドでマットレスを使っていても油断大敵です。月に1度はマットレスの片側を上げて底面の換気を行いましょう。
扇風機・エアコンの風を当てることでより効果が増します。寝室の湿度が高くなるシーズンは2週間に1度は行うと尚良いです。
1-1-5. ベッドは壁から10cm離す
ベッド・マットレスは壁から10cm離して配置しましょう。壁と密着していると通気が悪くなるので、マットレスだけでなく壁にカビを生やす可能性もあります。たった10cm離すだけでも風が通るようになるので、カビを生えにくくします。
1-1-6. シーツはこまめに取り替える
湿度が高くなるシーズンは2,3日に1度、ベッドシーツを取り替えられると理想的です。空調が管理されている場合や、寝汗をあまりかかないという場合でも、少なくとも週に1度は取り替えましょう。
1-1-7. 清潔に保つ
シーツを敷いていても、布団・マットレスの上での食事は控えましょう。また、あなたの体から出る老廃物は溜まっていくので、こまめに掃除機で掃除しましょう。
1-1-8. 掛け布団はめくっておく
起床時、マットレスの表面は寝汗で湿っています。掛け布団やブランケットで覆ってしまうと乾きが悪くなるので、掛け布団などは足元の方にどかしておきましょう。
1-2. 家具のダニ予防対策
布団を畳に敷いていたり押入れにしまっている場合は、これらの箇所も同様にダニ対策を行い予防しましょう。
①畳を干す
②畳、絨毯、カーペットの掃除
③押入れの換気
※観葉植物はほどほどに
以下、それぞれの詳細をご説明します。
1-2-1. 畳を干す
1年に1度で良いので、畳を天日に干して乾燥させましょう。
外に干すことができない場合は、畳の下に缶などを挟んで底上げした状態でエアコンの除湿モードで換気してあげましょう。また、畳の上にカーペットや絨毯を敷いていると湿気がたまりやすくなるので控えましょう。
1-2-2. 畳、絨毯、カーペットの掃除
少なくとも2週間に1度は掃除機を掛けて清潔に保ちましょう。もし、畳や絨毯、カーペットの上で食事をする場合は、週に2度を目安に掃除機をかけることをおすすめします。
濡れ雑巾で畳を拭いてしまうと畳が湿り、ダニが繁殖しやすくなるのでお控えください。
1-2-3. 押入れの換気
押入れに湿気が溜まらないよう、モノを入れすぎずに整理整頓しましょう。
また、ホコリが押入れないに溜まっていたら出しましょう。押入れが湿気っていたらエアコンや扇風機の風を当てて換気しましょう。
1-2-4. 観葉植物はほどほどに
観葉植物が多いと、どうしても室内の湿度は高くなりやすいです。
1部屋に対して1~2つの観葉植物なら大きな影響はないのですが、それ以上となると部屋が湿っぽくなる原因になります。
ダニ予防を徹底するのなら、ダニが発生しやすい6~8月の間は観葉植物達をベランダなどの屋外に一時的に移しましょう。
1-3. ペットのダニ対策
また、「湿気とダニへの栄養源」とは別になりますが、ペットを室内飼いしている場合、ペットがダニを持ち込む役割を果たす こともあるので注意が必要です。以下のダニ予防をしましょう。
①ブラッシング
②草むらに入れない
1-3-1. ブラッシング
屋外から屋内に入る際に目の細かなモノでブラッシングしてあげましょう。ダニやノミが付いている場合に落とすことができます。
1-3-2. 草むらに入れない
犬の散歩中に草むらに犬を入れていませんか。草むらにはマダニという通常の屋内にいるダニよりも強くて危険なダニがいるので、草むらにいれないようご注意ください。
ペットのダニ予防でコストがかからずに出来るものはあまり多くありません。もしもの場合はペット用防ダニシャンプーを使うなどして防いであげましょう。
2. ダニ予防掃除がもたらす効果
ダニ予防のためにしっかり掃除をすることで、ダニの繁殖を防ぐことはもちろん、ダニアレルゲン(ダニの死骸、糞など)を除去することで、アレルギー症状が改善するとも報告されています。
気管支喘息患者4名に連日の掃除を指導し、1名についてはカーペットの除去、全寝具の更新も行った結果によれば、ダニ密度が比較的低く、軽症であった症例3,4番では、連日掃除によって症例が改善し、掃除によるアレルゲン除去の影響が大きいことが推察された。
(引用:『室内微生物汚染 ダニ・カビ完全対策』 小峰裕己 編著)
つまり簡単に言うと、アレルギー症状が比較的軽症であった2名は毎日のこまめな掃除により症状に改善し 、ステロイド依存性のある重症患者でもカーペットをフローリングに変更し、寝具を買い換えることにより症状が改善された、ということです。
掃除をしっかりすることは、ダニの繁殖をおさえるだけでなく、ダニアレルギーの症状を和らげるためにも大切なのです。
3. ダニ予防グッズ
出費なしで出来るダニ予防法のご紹介でしたが、要望にお答えしおすすめのダニ予防グッズをご紹介します。
ダニ最大の繁殖地となる敷布団、マットレスのダニ予防法なら、迷わず防水プロテクターの使用をおすすめします。
製品:Protect-A-Bed 布団・マットレスプロテクター
価格:5,500円
【購入ページはこちら】
ベッドシーツの代わりに(併用もOKですが)敷くだけでダニ予防ができます。敷布団・マットレスに寝汗、フケ、アカなどが溜まらないようになります。自社製品で恐縮ですが、ダニ対策にイチオシです。
製品:青森ヒバ油10ml
価格:798円
【当製品の販売ページ】
ダニ除けにはアロマもおすすめです。いわゆるヒノキの香りなので森林浴気分でリラックスして眠れると思います。防ダニ効果を人に例えると、100mを40~50秒で走って逃げるほどの忌避効果があります。が、ダニを退治する訳ではないことご留意ください。
製品:ダニ捕りロボ
価格:5,133円
【当製品の販売ページ】
こちらのダニ取りシートはチリダニ、コナダニ、ツメダニにも対応しています(人を刺咬するツメダニに対応していないダニ取りシートが稀にあります)し、内部で使用されているダニ誘引剤が食品添加物などの天然由来成分なので安心して使えます。
4. ダニが好まない環境をつくる工夫
ダニを防ぐためには、湿度を下げ・通気性を高めることが最も効果的です。以下のような習慣で、ダニが生きにくい環境を作りましょう。
部屋の湿度を50%以下に保つ
→ 除湿機やエアコンの除湿モードを活用。梅雨時期は特に効果的。
こまめな換気と空気の循環
→ 窓を1日2回、10分以上開けて空気を入れ替える。
→ サーキュレーターで空気を循環させると湿気が溜まりにくくなります。
寝具やカーペットの通気性を確保
→ すのこベッドや除湿マットを使用し、マットレス裏の結露を防止。
→ 布団は壁に立てかけるだけでも内部の湿気を逃がせます。
天然の忌避成分を活用
→ ヒバ油やユーカリ精油などのアロマには、ダニの忌避効果と消臭効果があります。
→ 化学薬品を使いたくない方にもおすすめ。
防ダニカバー・高密度織りの寝具を導入
→ ダニの侵入を物理的に防ぎ、繁殖を抑制します。
→ 通気性の高い素材を選ぶことで、湿気対策と清潔さを両立できます。
5. ダニ予防に効果的な掃除・洗濯の頻度と方法
ダニは一度発生すると完全駆除が難しいため、「発生させない掃除習慣」が重要です。生活スタイルに合わせた掃除頻度を取り入れましょう。
| 対象アイテム | 頻度の目安 | 方法 | ポイント |
| 布団・マットレス | 週1回 | 掃除機+陰干し | ノズルをゆっくり動かして繊維の奥まで吸引する。湿気が気になる時は布団乾燥機を併用。 |
| シーツ・カバー類 | 週1〜2回 | 洗濯+乾燥 | 乾燥機(60〜70℃)で20分以上加熱するとダニは死滅する。 |
| 押入れ・収納スペース | 月1回 | 換気+除湿剤 | 除湿シートや竹炭などで湿気をコントロール。 |
ポイントとしては、掃除機をかける際は「1㎡あたり20秒以上」が理想的です。また、洗濯時は40℃以上のぬるま湯+洗剤で皮脂汚れを落とし、乾燥をしっかり行うことで再繁殖を防げます。「重曹+クエン酸スプレー」も皮脂や臭いの除去に効果的です。
最後に
これだけ全て習慣づけて行っていただければ、ダニが発生することはまずないと思います。
「少し面倒だな」「手間が省ければな」とお考えの場合、多少出費にはなりますが、寝具アイテム・防ダニグッズを活用するとより手軽にダニを予防できます。
除湿パッドや防水プロテクターを布団・マットレスの上に敷くことで、寝汗による湿気りと老廃物による汚れを防ぐのでダニの発生を抑えられます。
→『除湿シートの効果的な使い方・選び方【ベッド・布団の湿気取り】』
→『【最新版】マットレスプロテクターおすすめ&選び方|防水・防ダニで長持ち』
ただ、ダニが繁殖してしまったら今回ご紹介した予防法ではなく、適切な手順で退治をしなければなりません。その場合はこちらのページ『布団のダニを退治する11の方法と再発防止3ステップ【専門家監修】』で布団とマットレスの10通りのダニ退治方法から、効果的なものをご紹介しているので併せてご参考にしてください。
よくある質問
Q1. ダニが発生しやすい季節はいつですか?
A. ダニが最も繁殖しやすいのは 6〜9月の梅雨から夏の時期です。
温度20〜30℃、湿度60%以上の環境を好むため、湿気がこもりやすい寝具・カーペット・押入れなどで爆発的に増えます。
一方で、冬場は繁殖は減りますが、布団や暖房下の湿気により生き残るダニも多いため、年間を通して除湿・換気を意識することが重要です。
Q2. ダニを予防する掃除の頻度はどのくらいが理想?
A. 家庭でのダニ予防には、週1〜2回の掃除機がけ+月1回の寝具乾燥が理想です。特に寝具やマットレスは、寝汗・皮脂・フケがエサとなるため、掃除機でゆっくり吸引し、陰干しや布団乾燥機で湿気を飛ばすことが有効です。
また、カーペットやラグは週2回以上の掃除が望ましく、アルコール拭きや重曹スプレーで除菌・消臭を併用すると効果が高まります。湿気が多い時期は、掃除と一緒に除湿機やサーキュレーターも活用すると良いでしょう。
Q3. ダニ予防に効果的な温度と湿度は?
A. ダニが繁殖しにくい環境は、温度20℃以下・湿度50%以下です。環境省のデータでも、湿度50%を下回ると繁殖率が80%以上低下すると報告されています。
そのため、除湿機やエアコンの除湿モードを使い、室内湿度を40〜50%に維持するのが最適です。また、寝具やクローゼットの中は通気性が悪くなりがちなので、定期的に換気・除湿剤の入れ替えを行いましょう。
Q4. 防ダニスプレーとダニ捕りシート、どちらが効果的?
A. それぞれ目的が異なります。防ダニスプレーは、ダニの繁殖を抑制・忌避する効果があります。特に、寝具・カーペット・ソファなどの繊維表面に散布すると効果的です。
ダニ捕りシートは、内部に誘引剤を使ってダニを吸着・除去するタイプ。設置後1〜3ヶ月で繁殖源そのものを減らす効果があります。
つまり、スプレー=予防/シート=駆除という使い分けが理想です。寝具全体にスプレーを使用し、押入れやベッド下には捕りシートを設置することで、予防と駆除の両方から対策できます。
著者紹介
著者情報
加賀 照虎(上級睡眠健康指導士)
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
各種SNSで情報発信中。
上級睡眠健康指導士(第235号)。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はこちらから。
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