睡眠

寝る前のスマホ使用が睡眠と脳に与える悪影響【実験データ】

寝る前にスマホを使うことで眠気が遠ざかり、睡眠時間が減り、睡眠の質が下がります。そしてそれにより、起床時の気分や脳のパフォーマンスまで悪くなってしまいます。

「本当かよ、ちょっと大袈裟じゃない?」と疑われていると思います。

そこで本日は、研究データをもとに「寝る前のスマホが与える睡眠に与える悪影響とその仕組み、そして、就寝前のスマホを控える代わりに何をすればいいのか」についてご紹介します。

※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。
著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
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1. 寝る前のスマホは睡眠の質を下げるとの研究データ

中国上海の第二軍医大学が2020年に公開した論文によると、就寝30分前からスマホの使用を制限するだけで睡眠の質が上がると報告されています。

この実験は38人の学生を被験者として行われました。彼らにまず1週間通常通り生活してもらいます。その間、睡眠日誌で通常の睡眠を記録してもらいます。その後、被験者をランダムに19人ずつの2つのグループに分けます。そして、Aグループはいままで通りに、Bグループは就寝30分前(通常の平均就寝時間から逆算)からスマホを一切使わないようにして、それぞれ4週間過ごしてもらいました。

その結果が驚きです。スマホ禁止のBグループは、

  • 眠りに入るのに12分早い
  • 睡眠時間が18分長い
  • 主観的な睡眠の質が高い
  • 入眠前の覚醒度が低い(眠気が強い)
  • 起床時の気分がより良い
  • 作業記憶テストがより正確で早い

と、睡眠の質だけでなく生活の質まで上がっていることが報告されました。

寝る前のスマホのせいで翌朝の気分が悪くなったり、脳のパフォーマンスが下がるというわけでなく、スマホを使わないことで睡眠時間が長くなり、さらに睡眠の質が高まるため、起床時の精神が安定するうえに脳のパフォーマンスが高くなっているのだろうと結論付けられています。

※実験の募集段階では72人の学生からの応募がありましたが、病気、不眠症、睡眠障害を抱えていたり、カフェインの過剰摂取(500mg以上/日)をしていたり、夜勤をしているため不適合とされ、実験対象者は”一般的な人”であるよう選出されています。

1−1. 寝る前のスマホで眠れなくなる人体の仕組み

寝る前のスマホ利用は「光」と「刺激」により睡眠に悪影響を与えます。

Smart-phone-before-sleep
寝る前のスマホで眠れなくなる流れ

スマホ画面から発せられる光が夜間に分泌される睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を抑制しますし、コンテンツ(SNS、ゲーム、動画など)により脳が刺激され交感神経が優位になり脳が活発になります。

そのため、寝つきが悪くなったり、眠れなくなってしまうのです。

1−2. 睡眠不足から生じる数々の悪影響

上記の実験でのスマホ利用の制限時間は就寝前の30分間だけでした。

が、人によってはスマホを使うことで眠気が遠ざかって眠れなくなり、、、とはいえやることがないのでスマホをまた見てしまいさらに眠れなくなり、、、というような負のスパイラルで深夜1時2時まで夜更かししてしまうこともあるかと思います。このような極端なケースでは、睡眠不足がひどくなってしまい下記のような悪影響まで考えられます。

  • 脳の生産性の低下
  • ストレスや不安を感じやすくなる
  • 太りやすくなる
  • 免疫力が落ちて病気リスクが高まる

しかし反対に、ポジティブに捉えると、現在寝る前にスマホを使っていて眠りに問題を感じているのなら、それをやめるだけで睡眠が良くなることが期待できますし、さらにいうと、今までよりも頭のキレがよくなり、精神的にも安定し、スマートな体つきになり、病気にも強くなることが期待できます。

まずは就寝30分前からスマホ断ちをしてみてはいかがでしょうか。

1−3. 「寝る前のスマホ」をやめる代わりにするべきこと

睡眠を良くする観点からアドバイスすると、下記がおすすめです。

  • ぬるま湯に入浴
  • ストレッチ
  • 瞑想

就寝1時間前にぬるま湯に浸かり若干体温が上がると、眠るときに体温が下がりやすくなり寝つきを良くし睡眠を深めやすくなります。ストレッチも同じです。瞑想はリラックス効果がかなりあると報告されています。ただ、人により向き不向き(好み)があるかと思います。特に、瞑想はかなりの効果と報告されていますが、習慣として定着させるにはハードルが高いですよね。スマホに代わってあなたが楽しめる活動が見つかるとベストです。

自分自身の話となり恐縮ですが、私は読書をするようにしています。スマホで調べ物をしたりニュースサイトを見るのが好きですが、夜は控えるようにしています。以前は頑張って本を読むようにしていましたが、仕事の役に立つ専門性の高い領域の本(私のケースだと睡眠や人体に関するものなど)を読んでいるうちに、仕事と実生活にかなりの恩恵を受けることになったので今では習慣です。寝る前のスマホがやめられない方の参考になれば幸いです。


2. 就寝前のスマホとの付き合い方指南

とはいえ、いきなりスマホ使用を制限するのは難しいと思いますし、なんだかんだ使ってしまうことってありますよね。私も読書中にスマホやパソコンにメモをします。そんなときのコツを紹介します。

2−1. スマホは出来るだけ暗くする

スマホの画面の明るさを出来るだけ暗くしましょう。

ダークモードのようにバックライトが暗くなる機能があれば、就寝の2~3時間前からオンになるように設定しておくことをおすすめします。

Dark-Mode-iPhone
(左)通常モード (右)ダークモード

なお、ブルーライトカットはあまり意味がありません。

というのも、ブルーライトはイエローライトやホワイトライトよりも睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を抑制すると報告されているからです(詳細は下記ページを)。とはいえ、光の色による差は微々たるものです。問題なのは明るさです。光の色を気にするより、光の明るさを気にしましょう。

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さらにいうと、スマホ画面の明るさを落としても部屋が明るければ台無しです。

そのため、夕食後は部屋の照明を出来るだけ暗くしたり、間接照明だけにすることをおすすめします。もしかすると、寝る前のスマホをやめるより、夕食後に部屋を暗くするほうが睡眠に良いなんてこともあるかもしれません。

2−2. スマホで見るコンテンツを制限する

仕事関係のメールをチェックしたり、ゲームをしたり、動画を見るのは脳が興奮して眠りにくくなります。SNSはついつい長時間見てしまいがちなので注意が必要です。

特に近年のスマホゲームは、プレイによる興奮の果てに脳の報酬系を刺激して幸福・快楽の刺激がドバドバ放出されることを目指した設計になっているので危険です。夜間には避けるようにしましょう。


最後に

まずはスマホにより失われていた睡眠時間を取り戻し、十分に眠れることを目指しましょう。

そして、睡眠時間が十分になったら次には睡眠の質を高められるとベストです。以下のページでこれまで紹介してきた、数々の研究で実証された良質な睡眠のために「するべきこと」と「してはいけないこと」を網羅的にまとめています。美味しいところ(結論)だけをつまみ食いできる構成になっています。是非ご一読ください。

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