睡眠

腸活で睡眠の質が上がると考えられる2つの理由

こんにちは、加賀照虎です。

近年、流行っている腸活。

美容に良いイメージが強いかと思いますが、睡眠にも良い影響があると考えられていることはご存知でしたでしょうか。

研究データをもとに分かりやすく解説します。

※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。
著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
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1. そもそも腸活とは

「そもそも腸活って何?」って疑問に思われているかもしれません。

なので最初に、簡単に腸活の説明をします。

intestinal-activity1

腸活=腸内環境を整えることです。

より具体的にいうと、腸内には善玉菌、悪玉菌、日和見菌という3つの菌がいるのですが、善玉菌の数をバランスよく増やすことです。

かなり端折った説明ですが、善玉菌を増やすというのが腸活では大事なのです。


2. 腸活で睡眠の質が上がると考えられる2つの理由

では、腸活をして善玉菌が増えると、なぜ睡眠の質が上がると考えられるかについてご説明していきます。

2-1. 睡眠ホルモン「メラトニン」を増やすから

「腸活をすると睡眠ホルモンが増える」

このように言うと、かなり因果関係が吹っ飛んでいるように感じられるかもしれません。

しかし、きちんとした流れがあります。

  1. 食事によりトリプトファンを摂取する
  2. 午前中に光の刺激を受けると、トリプトファンからセロトニンが産生される
  3. 腸内細菌がセロトニンを脳に送る
  4. 夜にセロトニンがメラトニンを合成する

セロトニンは食物中からトリプトファンを摂取しないと体内では合成できない。しかし、いくら多量のトリプトファンを摂取しても、腸内細菌がバランスよく存在しないとセロトニンは脳内に増えない。なぜならば、脳内にセロトニンの前駆物質を送っているのは腸内細菌だからである。

(引用:「こころとからだの免疫学」 藤田 紘一郎

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つまり、腸活をすることで、より効率的にメラトニンが分泌されるように出来ると考えられるのです。

なお、メラトニンの睡眠への働きのほうも説明をしますと、

  • 直接的に睡眠作用がある
  • 概日リズム(体内時計)を調整する
  • 深部体温(脳温)を低下させる

などなど、まさに睡眠ホルモンと言われるほどの作用があるのです。

メラトニンとは、松果体より分泌される脳内ホルモンで、トリプトファンからセロトニンを経て合成される。昼間は少なく夜間睡眠時に分泌が上昇する。メラトニンは直接的に睡眠作用を持つほか、概日リズム(体内時計)に深く関係し、深部体温を低くする作用があり、睡眠・覚醒リズムの調整に重要な役割を果たしている。

(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)

※腸内細菌がないとセロトニンが枯渇する

ちょうどこの記事を書き終えたころ筑波大学から発表があり、腸内細菌がいなくなると睡眠パターンが乱れるとの研究結果が出ました。

この実験では、通常のマウスと、抗生物質により腸内細菌が除去されたマウスが比較されました。

腸内細菌叢除去マウスでは、正常なマウスと比較して神経伝達物質合成に関係するアミノ酸の代謝経路に有意な変動が認められました。特に、ビタミンB6が有意に減少し、神経機能を調節するセロトニンが枯渇していました。

(引用:筑波大学HP

論文を読むと、文字通りセロトニンが枯渇しているのが分かります。

さらに、ビタミンB6が減少しているのもポイントです。

というのも、トリプトファン→セロトニン→メラトニンという生成の過程でビタミンB6が必須となるからです。余談ですが、アメリカで販売されているメラトニンサプリには、ビタミンB6が一緒に配合されているものがあるくらいです。

なお、実験の結果、腸内細菌が除去されたマウスは睡眠の質が下がりました。具体的に言うと、ノンレム睡眠が減少し、夜間(マウスにとっての活動時間)によく眠るようになったとのことです。

2-2. 悪玉菌が睡眠の質を下げるから

さらに、悪玉菌の増加が睡眠の質を下げるかもしれないと考えられる研究が、ミズーリ大学から報告されています。

この実験では、下記の4つのグループのマウスが用意されました。

  • Aグループ:通常のまま
  • Bグループ:6週間低酸素状態
  • Cグループ:Aグループの腸内細菌を移植
  • Dグループ:Bグループの腸内最近を移植

このBグループの低酸素状態とは、睡眠時無呼吸症候群を模したものです。

睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に10秒以上呼吸が止まるような症状のことで、睡眠中に低酸素状態になるため、高血圧や糖尿病などの病気発症リスクを高めると言われています。

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生活習慣病リスクが高まる

6週間、定期的に低酸素状態にさらされたBグループのマウスは、腸内環境が乱れ悪玉菌が増えることが分かりました。

そこで次のステップとして、腸内環境の乱れたBグループの腸内細菌を、Dグループへと移植しました。そして比較のために、通常通り生活していたAグループの腸内細菌が、Cグループへと移植されました。

その結果、移植後3日間、Dグループのマウスに睡眠時無呼吸症候群に見られる症状が出るようになったとのことです。

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腸内環境が乱れたマウスは睡眠が悪くなった

具体的には、

  • 睡眠時間の増加(睡眠の質が低くなることでの長時間睡眠)
  • 覚醒時の睡眠の増加(眠気の増加)

などのような内容です。

つまり、移植により腸内に悪玉菌が増えただけで、睡眠の質が低下したと言えるのです。

もちろん、増える悪玉菌の種類により、睡眠への悪影響も変わってくることにはなるはずですが、いずれにせよ、悪玉菌が増えると睡眠に対してあまり良い影響があるとは考えられないわけなのです。


3. 腸活(腸内環境改善)のやり方

ここまで読み進めてもらうと、腸活をやりたくなってこないでしょうか。

是非やりましょう。

とても簡単です。

ポイントは以下の2つです。

  • 善玉菌を含むものを食べる
  • 善玉菌のエサとなるものを食べる
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腸活を進める2つのポイント

この2つ同時に行うことが大切です。

というもの例えば、ヨーグルトを食べてビフィズス菌と呼ばれる善玉菌を取り入れても、腸内に善玉菌の餌となる栄養がなければ、善玉菌の定着が見込めないと言われているからです。

そのため、どちらも一緒に同時進行させる必要があるのです。

なお、さらに理想を言えば、善玉菌を減らしたり悪玉菌を増やすような悪い習慣をできるだけ避けるのも大切です。

アルコールの過度の摂取のような生活習慣の乱れや、他にも、ストレスの多い生活でも腸内環境が悪化すると言われています。

・・・極度の不安と緊張にさらされているときには、悪玉菌といわれるバクテロイデス菌が増加していた。・・・心理的あるいは身体的ストレスが善玉菌を減らし、悪玉菌を増やした結果と なった。

(引用:「こころとからだの免疫学」 藤田 紘一郎

ただ、理想を追い求めすぎると、それはそれでストレスになってしまいますので、気軽にできることから少しずつ改善していくことをお勧めします。


最後に

腸活が睡眠の質にどのように関係しているのかご理解いただけていれば幸いです。

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